患者さんや講演などの受講者、また知り合いの女性たちに、よく聞かれる質問。
「どんな症状があるときに、婦人科にいったらいいですか?」
・・・これが一番困ります。
なぜか? 婦人科の病気の多くは、症状が出る前に検診を受けておけば、
ほとんど怖いことにはならないから。
逆に言うと、症状が出てから受診するのでは遅い場合があるからです。
特に、子宮頚がん検診。
これは、全身のあらゆるがん検診の中でも、最も検出効率の高い(見逃しも少ない)検診トップ1といっていいもの。
(「がん」がしこりを作る前の「前がん状態」でみつけることのできる、数少ないガンです。)
しかし、日本での子宮がん検診受診率はせいぜい20%程度。
なぜ、こんなに受けていないのでしょう?
子宮がん検診を受ける方法は3つ。
1) 自治体の検診で受ける
補助金おりているので、自治体によって金額は無料~2,000円程度。安価で受けられます。
ただし、2年に一回しか受けられないのが難点。
2) 会社(または配偶者の会社)の健保組合の検診で受ける
これも、自身の勤める会社(専業主婦の場合はご主人の会社)の健保組合の人間ドックなどに組み込まれており、補助金が下りているはずなので、比較的安価です。
3) 個人で医療機関を受診して受ける。
検診は全額自己負担なので、値段は1,2に比べて高めですが、
自分の気に行った医療機関を選べ、
1,2のように検診センターで流れ作業の中で受けるというのは避けられることがメリットです。
1,2,3いずれかの方法で年一回の子宮頚がん検診は必ずうけましょう。
どの方法で受けても、検査自体は子宮頸部の細胞を採取して顕微鏡で診てもらうだけなので、
精度には大きな差がありません。
あなたの受けやすい方法で受けていただけば結構です。
ただ、「子宮がん検診」を受けたといっても、とくに1、2の場合、頚がん検診のみで終了し、他の子宮や卵巣の病気(子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍など)については診てもらえないのがほとんどです。
そこで、当院では、子宮頚がん検診と一緒に「婦人科超音波検診」をおすすめしています。
また、やはり、婦人科だけでなく全身の状態も気になりますね。
人間ドックなどで内科系も含めた全身のチェックを受けていれば問題ないのですが、
受けるチャンスがない場合、全身のチェックを含めた検診のメニューも御用意しました。
あなたにピッタリの検診メニューを選べるように、チャートを作ったので、
参考にしてみてください。
※ 当院で、子宮筋腫などのために定期的に保険診療で超音波検査を受けていらっしゃる方には、
子宮頚がん検診(子宮頸部細胞診)のみ、自費で¥3,500(3,625)¥でお受けいただけます。
※ 検診希望で当院を初診される方(特に症状なく自費の検診希望)の方の場合、
「子宮頚がん検診のみ」のコースはご用意しておりません。
上記の理由から、「子宮頚がん検診+超音波検査」が最低限の「婦人科検診」と考えていることに加え、
当院の、「女性の『かかりつけ医』として女性の健康をトータルにサポートしたい」という
理念に反すると考えるからです。
また、子宮頚がん検診は、全国どの施設で受けても細胞診の精度にバラつきはありませんが、
超音波検査は検査機器や診断医が症状から何を疑って検査を行うかによっても
正常、異常の判断が異なってきます。
以上の理由から、当院では中央区子宮がん検診で来院された方を除き、
「子宮頚がん検診のみ希望」という方には受診をご遠慮いただきたいと考えています。