• 30 Dec
    • 山室静 『アンデルセンの生涯』

      どんな人でも生涯の中に一編のメルヘンを持つ 北欧の小国、デンマーク。 面積約4.3万km2(グリーンランドなどを除く)、人口およそ530万人。面積は九州、人口は兵庫県くらいですが、世界的に有名なものが2つあります。 1つはレゴブロックの本社があること。 そしてもうひとつ(ひとり)は「童話の王様」、ハンス・クリスチャン・アンデルセンが生まれ、活躍した国であること。 アンデルセンとその童話は世界中で翻訳、出版されています。 彼の童話作家としての地位を不動のものとした「人魚姫」、「親指姫」「マッチ売りの少女」「皇帝の新しい衣装(はだかの王様)」、童話というよりは小説に近い「雪の女王」、「氷姫」など150編あまりの童話を創作しました。 創作童話は彼に始まると言ってよく、彼がいなければ童話の現状もかなり寂しいものになっていたことでしょう。 まさに童話の王様。 デンマークでは彼は童話作家であるだけでなく、国民的詩人であり、ロマン派の小説家でもありました。 そんなアンデルセンはどんな生涯を送ったのでしょうか。 彼は『自伝』の冒頭でこのように述べています。 「私の生涯は一編の美しいメルヘンである」 しかしそのメルヘンは美しいだけではなく、辛く悲しいものでもありました。 貧しい靴職人の息子として生まれ、早くに父をなくし、洗濯女の母親の愛情のもとに成長し、多くの人の援助を受け成功したアンデルセン。 一方で野卑で貧しい階級のままで終わることを恐怖し、無謀といえるまでに上昇気質を持ち、何歳になっても純なロマンティストで、何人かの女性を愛しつつも報われなかったアンデルセン。 彼の生涯を眺めると、私たちはそこに有名な童話の原型をいくつか見出すことができます。 報われない愛を描き、報われぬからこそ、そこに神の救いを描いた「人魚姫」 生まれるところを間違え、いじめられながらも、最後に幸せを得る「みにくいアヒルの子」 無学ながらも彼を愛した母親は、母親自身の幼少期も含めて 「マッチ売りの少女」 「あの女はろくでなし」 「ある母親の物語」 などで描かれています。 彼の生涯が幸福であったか、不幸であったか、それは本人しかわからないことでしょう。が、その悲しみや辛さを美しさに昇華し、そして彼の作品と生涯が輝かしいものになったことは確かです。 彼の境遇、生き方は現代のわれわれにも通じるところがたくさんあります。 多くの夢を見た若い日、 たくさんの悲しみを感じそれでも生き抜く現代、 多くの他人に支えられながら生きてゆく今。 彼の生涯はまさしくメルヘンでした。ならば私たちもメルヘンを奏でることができるはずです。 タイトル: アンデルセンの生涯

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  • 29 Dec
    • アンデルセン 「ある母親の物語」

      「愛」なんて軽々しく使っちゃあ、いけない。世の母親の前では。。。 いまだにクリスマス気分の抜けない私。 いえ、仕事は忙しいんですけれども。なにせ塾ですし。受験前ですし。 ただ、なぜか手に取る本がどことなく普段と違っているのです。 話は変わりますが。 以前中学生に英語を教えていたときがありました。 みなさん、日本人が誰でも知ってる英語の文って何だと思いますか。 そう、      I love you. あれはいつだったか、黒板に I love you. と大きく書いて、説明したことがありました。  私  love =「愛する」という意味なんだけど、これは別に男女の恋愛に限ったことじゃあない。 思春期の彼らのことですから、「愛」なんてまじめに言っただけでクスクス、ニヤニヤ。かまわず続けて  私 友達同士の友情だって love だし、人間がペットをかわいがるのも love 。何より親御さんが君たちを思う心が love 。 そしておもむろに一人の生徒(男でも女でも構わず)に向かって  私  I love you. 映画俳優気取りで語りかけると爆笑の渦。それでもかまわず全員に向かって 私  I love you all. いつもこの手で生徒の笑いと関心をとっています。 いや実際、映画で最も感動したせりふのひとつが I love you. でして、特に親がわが子を抱きしめながら言うせりふがいいのです(たとえば”ネバーエンディングストーリー第2章”のラストなんか)。 まだ子を持つ親ではない私ですが、観念的かもしれませんが、親が子に持つ「愛」ほど美しく、時に重いものはないと思っています。 そんなことを考えるとき、その背景にはいつもこの作品があります。 病気の子供が死神にさらわれ、必死で後を追ってゆく母親。 夜の精霊や森のイバラなどさまざまな存在に死神の行き先を尋ねながら。 彼らは無償では教えてくれません。交換条件としていつも歌っていた子守唄を歌うことを、美しい髪を、目を要求してきます。 気がせいている母親はそれらすべてを提供し、死神に追いつくことができたのでした。       「なぜお前はこんなに早くたどり着けたのだ」   「母親ですもの!」 いやまことに母は強し。迫力です。 しかし死神は神様の命で働いているに過ぎないのでした。 最後に彼女はその場にひざまずき神に祈ります。 「どうか御心のままになさってください、もし私が御心に反することを願っても、お聞き届けにならないでください。  どうか、御心のままに!」 果たして、母親は子供を取り返すことができたのでしょうか、できなかったのでしょうか。 だらだらと内容を書きすぎました。拙文を読むよりはぜひ本文に当たってください。アンデルセンの他の童話とはちょっとカラーが異なり、観念的な話ですけれども、根底にある弱者への優しさは変わりません。 聖書の『ヨブ記』などもそうですが、悲しい目にあったとき、つらい運命に打ちのめされたとき、信仰を持つ人はこのように考え、行動するのだな、と思いました。 著者: アンデルセン, 大畑 末吉 タイトル: アンデルセン童話集 (2)

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  • 28 Dec
    • ファラデー 『ロウソクの科学』

      クリスマスに送られた美しき実験講義 クリスマスも終わり、あっという間に年の瀬。 。。。なんですが、私の頭の中はいまだひとりクリスマス。 クリスマスにいただいたキャンドルに火を灯し、 久しぶりにファラデーの『ロウソクの科学』をひもといたりしてます。 1861年のクリスマス休暇に、ロンドン王立研究所が主催した連続6回のクリスマス講演。すでに引退を決めた大科学者ファラデーの記念公演。 科学者の公演なんて堅苦しいな、と最初は構えて読んだのですが。。。 ファラデーは燃える一本のロウソクを前に、その材料、歴史などの薀蓄を交えつつ、ロウソクはなぜ燃えるのか、そして、燃えたら何ができるのかを実験を交えながら解説していきます。 誰にでもおなじみの、クリスマスのキャンドルを手に優しく科学を説いてゆくファラデー。 この時代、科学はまだ若く、希望をもったものでした。 人々も若く、好奇心旺盛でした。 鍛冶屋の息子として生まれ、苦学を重ね、偉大な業績を成し遂げたファラデーですが、ここで語りかける口調は優しく、特に次代を担う子供たち、若者たちに夢を与えています。 あなたたちも自分の世代において、ロウソクに比べられる存在になりますように。あなたたちが、ロウソクのように、まわりの人々にとっての光明となって輝きますように。そして、あなたたちが行動のすべてにおいて、仲間の人類に対する責務を果たすにあたり、その行いを名誉ある役立つものにすることで、小さなロウソクの美しさに恥じない存在となりますように もしもお宅にキャンドルがまだあるなら、ひとつ灯してみませんか。 そして本書を広げ「科学」を夢見てみませんか。 1962年発行 角川文庫 357円(税込) 著者: ファラデー, 三石 巌 タイトル: ロウソクの科学

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  • 26 Dec
    • オールコット 『若草物語』

      大人になってから読んだから心にしみた名作 『若草物語』です。 Little Women いわずと知れた名作で、何度か映画化され、アニメにもなりました(未見)。本を読んでいなくっても内容をご存知の方も多いでしょう。 実は私もそんな一人で。。。 小学生の頃、子供向けにリライトされたものを「見た」ことはあるんです。あちこち拾い読みしただけなんで、読んだうちに入らないんです。 「女の子向けの本」に分類されていたから、でしょうか。 そろそろ思春期に差し掛かり、「名作」ものが鼻につくようになったからでしょうか。 で、新潮文庫(松本 恵子 訳)を読んだのがつい先日。 成人男性が電車の中で読むのって不気味かなあ(以前、電車内で読んでいる本―『ゴキブリ3億年のひみつ』のことでえらい目にあったので)とやや躊躇しながらも読み出しました。 クリスマスのプレゼントのことから物語が始まります。 あああ。 やっぱり名作だ。 泣けてくる。 汚れちまった心が洗われてゆく。 変なオッサンと思われようがかまわぬ。 もっと早くに読んでおけばよかったなあ。。。 と、とことんのめり込んだのであります。 心に残るシーンは多々あります。 そのなかでも私の教訓となった、マーチ夫人の言葉を。 My dear, don't let the sun go down upon your anger. Forgive each other, help each other, and begin again tomorrow. (怒りを翌日に持ち越してはいけません。互いに許しあいなさい、助け合いなさい、明日からやりなおしなさい。) 著者: 松本 恵子, ルイザ・メイ・オルコット, Louisa May Alcott タイトル: 若草物語

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  • 25 Dec
    • The Gift of the Magi

      本当のクリスマスプレゼント メリークリスマス! 。。。本当は昨日、イブに書きたかったんですが。 The Gift of the Magiは「賢者の贈り物」。オー・ヘンリーのあまりに有名な、クリスマスイブのお話です。 『クリスマスキャロル』と並び、クリスマスのお話の中でも最も有名なもののひとつではないでしょうか。そして、オー・ヘンリーの作品の中でも「最後の一葉」と並ぶ有名作。様々な形で出版されています。 私は最初絵本で、次に新潮文庫で読みました。 三度目は意外な形で。 学生時代、塾講師のアルバイトをしていたときの事。一番最初の授業(英語)で教えたのがThe Gift of the Magi。当時の「ニュークラウン」に載っていたのです。 One dollar and eighty-seven cents. That was all. ではじまり、5ページほどでしたでしょうか、中学生向けにリライトした、それでもつぼを押さえた英文が続きます。 ただ、塾でやるのはあくまで授業。英文を切り刻み、直訳してゆくのです。 授業前には教師も予習します。 好きな作品だけに、無骨な手で解剖されるような無残なあつかいにちょっぴり哀しい。名作との出会いがこんな形では、せっかくのリライトも意味がない、と思い、新潮文庫版の訳文をコピーして生徒に配ろうと思いました。が、 「それって著作権侵害」 塾長の言葉、誠にごもっとも。そこで古本屋で文庫本を大量に買い込み(1冊10円~100円)、配布しました。幸い、それほど大きな塾でなかった為、負担はそれほどでもありませんでした。 今回、ペーパーバックで作者自身の英文に触れ、感激もひとしお。 先ほどの冒頭は教科書と同じ。一挙に懐かしい日々が思い起こされました。途中難しい語もたくさん出るのですが、短くても2度と忘れられない筋です。頭の中に残っているあらすじを頼りになんとか読了。 最愛の相手にプレゼントをするため、お互いが犠牲を払うお話ですが、そこには微塵も「悲哀さ」は感じられません。作者のスタンスは温かく、明るい。 一つには「若さ」。貧しくともお互いに愛し合っている。お金が無くても上手く工夫して暮らしている(鏡とか)。前向きな夫婦です。 もう一つはお互いが犠牲にしたものの設定。確かに唐突な話ですが、決して取り返しのつかないものでなく、クリスマス前日にお金が入る、無理ない手段になっていると思います。 My hair grows so fast.(私の髪はとても速く伸びるの) このセリフが大好き。本の前で思わずエールを送ってしまいます。 このセリフを含め、なんと、教科書と全く同じ文が5文も。教科書のリライトてすごいです。 クリスマスはなぜか優しい気持ちになれる日。 主人公の若夫婦とともにこの特別な日を過ごしてみませんか?

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  • 23 Dec
    • 原ゆたか 『かいけつゾロリ ちきゅうさいごの日』

      おならパワーが ちきゅうを すくう いよいよクリスマス。 皆様はもうプレゼントの購入はおすみでしょうか。 先日稲田務/え 宮武頼夫/ぶん『なつやすみ虫ずかん』に登場のわが甥M君、小学1年生。プレゼントのリクエストを聞きましたところ、 「本」 幼児のころより本を贈り続けて数年。M君の中では「本はおじちゃん、おもちゃはおじいちゃん」となっている模様。 「何の本がいいの」 「かいけつゾロリ」 「『ゾロリ』のね、『ぜったいぜつめい』と『めいたんていとうじょう』と…」 あわわ、待ってくれ。メモメモ。。。 「ごめん、もう一回言っとくれ?」 「『ゾロリ』のね、『ぜったいぜつめい』と『めいたんていとうじょう』と、んとんと『ゆうれいせん』と『けっとうゾロリじょう』!」 4冊も。 「いまね、10冊持ってるんだよ!」 14冊も。。 いやはや、恐れ入りました。子どもたちをこんなに夢中にさせる「かいけつゾロリ」。いったい何者? さっそくM君が持ってきていた『ちきゅうさいごの日』をめくってみました。 納得。 これなら子どもたちに人気の出るはず。 主人公はご覧の通りキツネの「ゾロリ」。でもたちまち変身して「かいけつゾロリ」颯爽の登場とあいなる。。。わけですが、どこか憎めないキャラクタ。 「怪傑ゾロ」(私はアラン・ドロンのを見た)ばりのマスクをつけ、奇想天外な発送で地球を大彗星衝突から救います。 原ゆたかさんのにぎやかなイラストと、子供の視点に立った文章。あちこちに仕掛けが凝らしてあり、「ウォーリーを探せ!」みたいな隠れキャラ(その中の一人は原さん自身!)を探す事も出来ますし、パズルがあったり、親父ギャグがあったり、もうてんこ盛りです。 そして究極の「おならパワー」。 (本作でどこでどう使われるかは、読んでのお楽しみ) 小さい子って、好きなんですよねえ。そおいうのが。 アニメ、漫画から本への橋渡しとして、このシリーズは貴重でしょう。 どちらかと言えばアウトドア派のM君も何度も読んでいました。 本が好きになるのも嫌いになるのも作品によりけり。 このシリーズ、応援してゆきます! 1992年発行 ポプラ社 945円(税込)

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  • 22 Dec
    • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

      最後のスマイルマークに読者もスマイル The Curious Incident of the Dog in the Night-Time (Vintage Contemporaries) 私が英語の本を選ぶ基準は ・邦訳が出ているもの ・表紙が面白いもの ・お気に入りのシリーズを先取りできるもの といったところです。英語力がないため。 この長いタイトルの本、『夜中に犬に起こった奇妙な事件』という題名で早川書房から邦訳が出ているらしいのですが、未読。探したんですけれども、なかなかありません。 6月くらいに書店で平積みされているのに手を伸ばしました。ご覧の通りなかなかシンプルかつユニークな表紙です。実は表紙にはもう一つ、青い表紙に犬がホークを突き刺されて仰向けになっているバージョンもありました。中身は同じなのですが、表紙で選んじゃいました。 物語は 15歳の自閉症の少年クリストファーが真夜中の散歩中、隣家の犬が殺されているのを発見。そこから犬を殺した犯人を捜そうと、様々な人と関わっていきます。 クリストファー君、実にユニークな性格をしています。 まず、この本はクリストファー君の一人称で語られるのですが、章立てが2章から始まり,3,5,7,,,と続いてゆきます。途中本人の説明もあるのですが、素数で続いているんですね。そして事件を追っていく章と、数学、学校などに関する章が交互に続いていきます。 彼には様々なこだわり(赤はいいが黄色はだめ、とか、他人に触れられるのがだめ、触れられると引っかく、、、とか)があります。 このことからもわかるように、彼は理数の天才で、本人もそのことにプライドを持っています。思考も理系そのもの。ですから英文も簡素ではっきりしています。ところどころ幼児語も入っています。ちなみに私はこれでweeとpoohという単語を覚えました。 邦訳未読の私でもどんどん読み進めてしまうのは一つにはこのわかりやすさによるところ大。 もちろん物語り自体の魅力も読者をどんどん引っ張ってくれます。決して単純な犯人探しの物語ではありません――とはいえ、ちゃんと犯人は突き止められます。意外な犯人が。――他人と交わることの苦手な少年が自ら他人の中に入り、成長していく物語です。 先ほど「ユニーク」と書きました。それは「面白い」というより「独特」といった意味が強い、「ユニーク」です。クリストファー君は、われわれが見慣れているもの、意味を感じないものにもユニークな見方をします。 ただ、人間、誰でもどこかしらユニークではないでしょうか。人それぞれ物の見方は違うはずなのに、他人に合わせているときってありませんか。 さてさて、この本はクリストファー君がはじめて書いた(という体裁になっている)物語ですから、どんでん返しのある筋立てをここで述べてしまうのは野暮。一つだけ私が強く心に残っているシーンを最後に紹介するにとどめます。 (元は英文なのですが、その要旨だけを)感動のシーン。 思わず「苦手なのはわかるけど、ちょっとだけ抱きしめさせて欲しい」という相手に 「やだ」 と拒絶し、いつものように手と手を合わせるだけにするクリストファー。 普通なら抱きしめられ、涙の感動のシーンなのでしょうが、あくまで自分を崩さないクリストファー君になぜか深い感銘を覚えてしまいました。 Vintage Books 2004年5月発行 1167円(税込) Mark Haddon

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  • 21 Dec
    • 太平洋戦争研究会 『満州帝国がよくわかる本 』

      大日本帝国の野望から生まれ、消えていった「国」 社会人になりたてのころは先輩に連れられていろいろな店に行き、よく飲み、食べ、語り、歌いました(カラオケ)。学生寮にいたこともあって、酒は強いほうでしたが、飲み食いよりは話をしたり聞いたりがメインで、様々な人と出会い、話を聞くのは好きでした。 他愛のないおしゃべりが主でしたが、ほとんどの方が人生の先輩でしたから、ときにはお説教されたり、有意義な話を聞いたりすることもありました。 なにぶん昔のこととて、どこにどんなお店があったかの大半は忘れてしまったのですが、どんな人がいたかということはよく覚えています。もっとも、その人たちが今どこでどうしているのかはわかりませんが。 そのお店には一二度行ったきりでした。カウンターだけのお店で、初老のマスターが一人きりいるだけ。そのときは客も、先輩と私の二人だけ。静かな店でした。覚えているのは私が「侍ニッポン」というかなり古い歌(昭和6年)を歌ったことと、その後、マスターがあるメロディーを口ずさんで「満州国の国歌だよ」と教えてくれたこと。子供のころ満州にいたそうです。 「満州国」。大日本帝国が中国東北部に作った傀儡国家。多くの人と同じように私にも、あくまで教科書の中でのみ存在した「国家」でした。 その国歌を覚え、口ずさんだ人がいる。 その当時の話を聞くより何倍も生々しく「満州国」を感じられました。 満州国とはどんな「国」だったのか。なぜ大日本帝国は、当時の国民は満州に固執したのか。 思えば満州事変から日本はおかしくなってしまったようです。満州国がなければアメリカとあそこまで対立しなかったと思えます。 15年にわたる戦争の、その発端となった満州事変、そして満州国を20の質問に答える形式で解説。満州事変や当時の世界、日本の状況はもとより、満州開拓団や満州の産業、中国のゲリラ活動など様々な事項が盛り込まれています。当時の写真やデータも豊富に載っていてこの値段はかなりお得ではないでしょうか。 それにしても改めて思い知らされるのは、当時の日本(大日本帝国)の時代錯誤といってもいい世界観。思い上がりといっていい世界観です。当時はまだまだ帝国主義列強が力を持っていた時代でしたが、それでも日本のやり口とその根底に流れている考え方は、既に半世紀も古いものでした。 もう一つは当時の日本人にとって満州は日本の一部だったということ。一部の人たちを除いて、多くの国民の認識だったということ。 満州国が消滅したのは日本が戦争に負けたとき。それから60年。長い年月ですが「歴史」としてあつかうにはまだ新しいのかもしれません。私たちは当時の出来事をまだ冷静に分析するスタンスを得ていません。これからの課題でしょう。 「あの戦争についていろいろな人がいろいろなことを言うけどね。僕はあのころ生きて生活していたんだ。好き勝手言うのはいいんだけどね」 マスターの呟きが今でも聞こえてきます。 2004年12月発行 PHP文庫 700円(税込)

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  • 20 Dec
    • はしゃいでます

      たけぼー様とゆぅはぎ様の懇切丁寧なガイドにより、トラックバックがよおく理解できた私。 「よっしゃ、わかった!」と思うとすぐに濫用してしまってます。まるでサル。 いやいや、でもなかなか面白いものですねえ。トラックバック機能。 自分と同じ、または類似の話題の記事を書いている人に読んでもらう。 読んでもらってコメントまでもらえちゃうこともある。 自分が知らなかったことを教えてもらえることもある。 欲を言えば。 「検索」機能がチョトワカラナイ。いや、使い方が下手なんでしょうか。 例えば「太宰治」や「ハリーポッター」で検索してみると、ザクザクヒットするんですね。いや、それはもちろんだと思うんです。なにせ太宰ですからね。ハリポタですからね。 でも結果リストの順番がわからない。古い記事も新しい記事もランダムに並んでいるみたいです。チョト使いづらい。です。 う~~ん、私がサルなのかなあ。

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  • 19 Dec
    • 「駆け込み訴え」 太宰治 『走れメロス』 斎藤孝の音読破〈2〉より  ネタバレ有

      音読といったら太宰でしょう! 長いタイトルでスミマセン。 先日に引き続き齋藤孝さんの本です。正確に言えば齋藤さんの編集した、太宰の珠玉の短編集です。 「名作を音読で読破しよう」というこのシリーズ。大きな活字とルビが特徴。第1弾の『坊ちゃん』に続き、2弾が本書、3弾目が『銀河鉄道の夜』。さすが齋藤さん、とうならせるチョイスです。 漱石の豊かな漢籍、英語の素養からくるリズム感のある文体。「山がうるうる盛り上がって」などのような豊かな擬音語、擬態語を駆使した童話作家賢治。 そして太宰。彼の文章に触れた人はわかると思いますが、読者を楽しませるのを第一とした(『人間失格』だけは「自分のために書いた」そうですが)その文体は流れるよう。すらすらと読み進めてしまいます。 そんな太宰の作品の中でも、この本に収められている5作品(走れメロス/駈込み訴え/女生徒/新樹の言葉/富岳百景 )はどれも音読に適した一級品。「走れメロス」は中学校の教科書にも載っている「明るい太宰治」の代表作。教科書に載っているくらいだから、音読に最適なのは言うまでもありませんね。 富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晁の富士も八十四度くらい、けれども、陸軍の実測図によって東西及南北に断面図を作ってみると、東西縦断は頂角、百二十四度となり、南北は百十七度である。 という、実に歯切れの言い文で始まる「富岳百景」。「富士には、月見草がよく似合う。」という一節も聞いたことがある人が多いのではないでしょうか、御坂峠の文学碑に刻まれています。 さて、「駆け込み訴え(駆け込み訴へ)」。あまり知られていない作品かもしれませんが、すごいエピソードがあるのです。 <【昭和】十四年の十二月、炬燵に当つて、盃を含み乍ら、全部口述して出来た>(津島美智子【太宰の妻】「御崎町から三鷹へ」八雲書店版全集第四号附録、昭23・12)*【 】内註、傍線引用者 すごいですね。 音読するしないの前に、太宰の口から一気に語られたのですね。 音読してみればそのすごさがわかるでしょう。 (新潮文庫版で20ページほどあります) ページを繰ればその1行目から圧倒されます。 申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷い。酷い。 タイトルどおり駆け込み、息せきって、畳み掛けるような文章が続きます。 はい、はい。申しおくれました。私の名は、商人のユダ。へっへ。イスカリオテのユダ。(←ネタバレ。読んでない人は飛ばして。気になる人はドラッグして。以下の部分も同様) のラストまで、それこそ息もつかせぬほどの流れでぐいぐい引っ張られていきます。このラストでわかるように、イエスを裏切ったイスカリオテのユダの物語(まあ、聖書を読んだ人なら1,2ページ読めばすぐにわかってしまうのですが)。 この物語のすごいところは、ユダの、イエスに対する愛憎がめまぐるしく、くるくる変わりながら訴えかけられる点。あるときは「傲慢だ」「バカだ」とそしり、すぐに翻して「美しい人なのだ」と賞賛する。これが二転三転して繰り返されるのです。 そしてユダのこの叫びは太宰自身の叫びであり、「傲慢」でかつ「美しい」「精神家」であるイエスもまた、この世の中を急いで駆け抜けていった、太宰の鏡像なのだと感じずにはおれません。きっと太宰は親戚の者からそのように見られていた(と自身で感じていた)のでしょう。だから貶めたり、持ち上げたりする。 このように太宰自身のシルエットがあるときはユダに、あるときはイエスに投影されているのです。ラストの偽悪ぶりは、その含羞は、 太宰そのものです。 2004年10月発行 小学館 齋藤孝 編 840円(税込) 新潮文庫「走れメロス」1967年7月発行 420円 (税込)

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  • 18 Dec
    • 齋藤孝 『勉強なんてカンタンだ!』

      語り継がれる技がある 著者: 齋藤孝 タイトル: 勉強なんてカンタンだ! 齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第(1)巻 「勉強」、こわもての言葉ですね。 「勉強」、大嫌いでしたねえ、私も。 「勉強」、でもなぜか大人になると「も一度学校に入りなおしたいな」なんて思うときもあるんですよね。 あの「声に出して読みたい日本語」でブームを巻き起こした齋藤孝さんが、小学生むけに書かれたこの本。いやいや、中学生、高校生、場合によっては大人が読んでも役に立ちますよ。 子供に語りかけている本だけに、うそやごまかしは効かない。やさしくストレートに、勉強とは何か、勉強する意義は、仕事をするってどういうこと? を説いています。 私は今、勉強をさせる立場に立っています(塾の先生)。おそらく過去の私が見たら冷笑、過去の私を知っている人が聞けば爆笑されるでしょうが。 そんな私にとってこの本はまったく心強い味方。 「ほら見、センセがいつも言うてることがちゃあんと本に書いたるやんか」 なんて自慢げに紹介。しかし敵もさる者、 「先生がこの本に書いてあることを真似しているだけでしょ~」 「先生が言っていることよりずうっといい事書いてあるよお!」 。。。 お説ごもっとも。古来より「学問に王道なし」。勉強のやり方、モチベーションのあげ方などに裏技はそうなく、私の言っていることも私の親や教師、先輩、友人、学生向け雑誌(懐かしの『中1時代』とか)が言っていたことを自分なりに解釈し、アレンジしたもの。 思えば勉強の仕方はこのように累々と伝えられてきたのでしょうね。 それがぷつんと切れてしまった。そんな境遇にいる子供もいる。そんな子にはぜひ読んでもらいたいです。 2004/03/20発行 PHP研究所 1000円(税込)

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  • 17 Dec
    • JKローリング 『ハリーポッター』シリーズ

      一時代を築いたファンタジーであることには間違いない いつかは書こう思っていましたが、本日コンビニでDVDを購入しましたので。 いやあ、まさか今日入手できるとは思いませんでした。終電で帰るメリットですかね。 はやる気持ちを抑えつつ、この社会現象までになった作品について振り返って見ますと。。。 賛否両論はあれ、やはりすばらしい作品であるといえましょう。 たくさんの子供(と大人)を虜にしました。小中学生の子供たちと接する機会の多い私(塾の先生)。それまでも読書好きの子供さんと本について語り合うことはあったのですが、この作品ほどたくさんの子供たちと語り合えたものはありません。大人と子供が同じ体験をし、語り合うなんてめったにないことだけに、これはすごいことだと思います。 また、洋書を読む人が増えました。多くの人が洋書コーナーに足を運びました。何を隠そう、この私も本格的に読み出したのは「the Philosopher's Stone (賢者の石)」からです。 たしかに、この作品は完全なものではありません。キャラクタが類型的過ぎるかもしれません(読み手によって意見は異なるのですが)。4巻、5巻は話が長すぎるかもしれません。商業的な仕掛けが施されているのかもしれません。しかしそれを補って余りある魅力があるからこそ多くの人に読まれているのでしょう。 不安なのはやはり今後の動き。発売年次が遅れる様は、もうひとつの社会現象となった「ドラゴンクエスト」シリーズを思わせます。どちらもよりよいものを、とする作り手側の意気込みのせいでしょうか。 また映画やゲーム、お菓子などあまりにも各種業界に展開してしまったため、逆にそれら商品が原作に影響を与え、形を変える心配もあります。 ファンとしてはローリングさんの ・原作のイメージを壊すものは許可していない ・シリーズのラストシーンは金庫に保管してある を頼りに、待ち続けるしかありませんが。 さあてDVD見よっと 邦訳 静山社 松岡 佑子訳 現在5巻まで刊行 6巻の邦題は「ハリー・ポッターと混血のプリンス」!

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  • 16 Dec
    • The Child Called It

      切なさ、悲しさ、怒り、気持ち悪さ、、、英語で読むとすべてが倍増! 私は、ベストセラーとか感動なんて言葉には弱い。そのような言葉を見たり聞いたりしたら、なるべくその本は読まないようにしています。 なぜなら  ①本当に泣けたら困るし(たいてい本屋で立ち読みしているため)  ②泣けなかったらがっかりだし 。。。 スミマセン、過去の記事(『『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』)のコピペです。。。 いや、でも、本当に泣いてしまったんですよ。困ったんですよ。 本屋でうずたかく平積みされたこの本(翻訳版)、ふと手にして読み始めたらとまらなくなって。涙がこぼれそうになって。 さらに鼻水までとまらなくなってしまいました。 周囲の人が私を避けて歩いているのがわかります。 でも、でも、仕方ないじゃないですか。 実の母親から想像を絶する虐待を受けた、その本人がつづっているんです。 どのくらい想像を絶しているか、というと。。。 ガスコンロで腕を焼かれ 赤ん坊の排泄物を食べさせられ ナイフで腹を刺され。。。 いや、もう書けません。思い出すと泣けてくるんです。勘弁してください。 もちろんシリーズ2冊(当時)とも買いました。また3作目も後に買いましたよ。 1冊目だけしか読んでいない方、ぜひ残り2冊も読んでください。 虐待から逃れ、里子になった後に、さまざまな葛藤を経ながら見事大人になってゆく姿が感動的です。 さて、今回紹介するのはその原書。 翻訳版を読了した当初から 「原書で読みたい、著者の生の文章が見たい」 と狂おしいほどに探し、求めました。こんなことは初めてです。 やがて大手書店の洋書コーナーにこの本が大量に並べられ、早速購入。 (また立ち読みして、恥の上塗りはいやですからね。) 1作目は虐待を受けていた幼児期~少年期の視点で書かれているため、文章もシンプルで読みやすい。中学卒業程度で読めると思います。 私は洋書は辞書なしで読みます。わからない単語がゴマンとでようが、とりあえず読み進めればちょっとはわかるさ、という主義です。 この本について言えば、翻訳をあらかじめ読んでいたこと、またその内容があまりにも衝撃的で良く覚えていたので、辞書なしでも読むことができました。ただ ただ、日本語よりも苦労して読むせいでしょうか。何回も読んで免疫がついているはずの虐待の描写が、いぜんより生々しく迫ってきます。何度本を伏せ、熱いため息をついたことか。。。 今年になって、講談社さんの英語文庫にもなりました。こちらは単語リストがついているのでさらに敷居が低くなっています。 英語の本にチャレンジしたいという方、どうですか? ペーパーバック Omaha Pr Pub Co 1993出版 ¥859(税込) 英語文庫 講談社インターナショナル 2004年8月出版 ¥788(税込)

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  • 14 Dec
    • まねっこ

      ああ、みなさん、とっても頭いい 今日は早起きしちゃいまして、モーニングコーシーすすりながら記事を書いてます。 今回もなかなかすごい記事を見つけちゃいました。ゆぅはぎ様です。 ご自分のブログに目次を作っていらっしゃる。 ステキな似顔絵も載せていらっしゃる。 すごいなあ。 私もやってみようと。。。 でも 整理整頓の苦手な私。 はたしてうまくできるかなあ。。。

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    • ロバート・アスプリン&ジョディ・リン・ナイ 『今日も元気に魔法三昧 !』

      成長しても謙虚な(そしておぼこい)スキーヴが魅力 お待たせされました。 シリーズ13巻め(番外編1巻あり)のこのシリーズ。 翻訳第1巻が出たのは原作よりかなり後(20年位後)なので、最初のうちは3年間で11巻までポンポンとテンポ良く発行されていたのですが、そこで原作に追いついてしまい、番外編、12巻、13巻、とその後4年で3冊のペースに。 最初速いペースに慣れていただけに、待たされるのは辛い。。。 ないものねだりとはわかっていても辛いッす。 それでもその間隔は、1年半、2年、10ヶ月。原作のほうもまた執筆されてきてペースがやや戻りました。 さてさてこのシリーズ、冒頭の文にも書きましたように、主人公スキーブ君の成長が楽しい。もちろん、シリーズが進むにつれて増えてくる個性的なキャラクタも嬉しい。会話も楽しいどたばたファンタジーです。 さらに日本語版には水玉螢之丞画伯のイラストが楽しめてしまう。 私も久しぶりなので大筋はともかく、細かいところはだいぶ抜けておりました。 そしたらなんと、巻末には小事典が! いたれりつくせり、ですね。 初めての方は1巻から、、、がもちろんいいのですが、7巻あたりくらいから初めても十分楽しめます。 さすがに最新刊だけだとつらいかな。各キャラのキャラクタがわからないと。 2004年12月発行 ハヤカワ文庫FT ¥630円(税込)

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  • 13 Dec
    • モブログ(改訂新版)

      お友達から ”お前の文章はカタすぎる”って言われたから やわらかい文章にしてみたよっ ちなみにケータイから投稿したよっ ボクのケータイは顔文字が最初から登録されているから 苦手な顔文字もカンタンにできるよっ (^ー°)b(^ー°)b(^ー°)b でも、何のテーマについて書こうかなあ ケータイで文字打つのってメッチャ疲れるんだ しかも電車の中だからマナー違反なんだっ いけないよねえ。。。(*_*)(*_*)(*_*)(*_*) というわけで歴史人物相似形 徳川光圀と徳川吉宗にするよっ 水戸黄門と暴れん坊将軍だねっ (^ー°)b(^ー°)b(^ー°)b(^ー°)b(^ー°)b(^ー°)b ちょと恥ずかしいので一部訂正しました!!!

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  • 12 Dec
    • 旧人類に救いの手

      TB恐れるに足らず いやあ、私のようなOT(オールドタイプ:「やっぱりCDよりレコードさっ」のアナログ人間)にとっては救いの記事です。たけぼー様、ありがとうございますっ! 以前、mowさんの記事にTBをしたときに、やり方がよくわからずに同じ記事に二重につなげてしまい、ご迷惑をかけてしまいました。 「ヘルプ」をみてもよくわからなかったもので。。。   練習のつもりで とおおらかなお言葉に甘えて今挑戦中! これがうまくいけばトラックバック恐るるに足らず。。。のハズ

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  • 11 Dec
    • レモニー・スニケット 『世にも不幸なできごと』シリーズ

      不幸だけれど暖かなユーモアあふれるシリーズ 祝! 映画化! いや~、まさか日本でも公開されるとは。絶対見に行こ! ハッピーエンドの物語がお好みの方には、本書はおすすめできない。ドキドキはらはらが苦手という方も、おやめになるのが身のためだ。なぜなら本書は、ビーチで遊ぶ三姉弟妹に、世にも恐ろしい知らせが届けられると、あとはみじめでイバラ、不幸のオンパレードだからだ。知恵と勇気で悪の魔の手と立ち向かう子供たち。しかし、ああ、なんたること!その結末は・・・・・申し上げるまい。ただしもちろん、ハッピーエンドは、なしだ。(シリーズ第1巻『最悪のはじまり』紹介より) の第1巻にはじまり、各巻必ず不幸な結末が待っているこのシリーズ、世界中で大人気なのです。 次々と起こる不幸な出来事、それを知恵と勇気とチームワーク、そして運で切り抜けるボードレール家の三人兄弟。 発明好きの長女バイオレットは行動派で3人のリーダー。本の虫クラウスは頭脳派。そして何でもカミカミしてしまう末っ子の幼児サニーはこのシリーズのマスコット的存在であり、思わぬ活躍をしてくれます。 そして両親が残した莫大な遺産を執拗に狙う悪役オラフ伯爵。第1巻でのその悪パワーはすごいもので、途中読むのがつらくなるほど。しかし、巻を追うごとにお間抜けぶりも増してきて、姿が見えないと物足りなさを感じるまでになります。 不幸を前面に出しているこのシリーズ、しかし決して悲惨な、じめじめした、暗い話ではありません。不幸に打ちひしがれそうになりながらもがんばる子供たち。どこか間抜けな悪人たち。目の前の真実がわからずにだまされ、右往左往する大人たち。 そしてシリーズを追うごとに出てくる謎。 1巻が主要人物紹介、世界紹介とすれば、続く2~6巻までが前半。さまざまな家(や学校、村)に引き取られる3人とバレバレの変装で(でもなぜか大人たちには気づかれない、真実を見ようとしないから)付けねらうオラフ伯爵。楽しい、ある種マンネリズムが続くのですが、7巻がターニングポイント。 8巻以降は世間から追われ、身を隠すのは3人、逆パターンになります。 原書では表紙見返しにオラフと3人の肖像が必ず載せてあり、各巻での変装振りが楽しめます。 もっとも、日本語版のほうが挿絵がかわいいとの評判です(原書のサニーは少しおっかない)。 このシリーズ、13巻完結とか(こんなところにも作者のこだわりが)。現在原書は11巻まで、翻訳は8巻まで出ています。 1.『最悪のはじまり』 2.『爬虫類の部屋にきた』 3.『大きな窓に気をつけろ』 4.『残酷な材木工場』 5.『おしおきの寄宿学校』 6.『まやかしエレベーター』 7.『鼻持ちならない村』 8.『敵意ある病院』 宇佐川 晶子 訳 草思社 版 ところで。 ハリーポッターでもそうでしたが、映画では登場人物がかわいくなりすぎ。 特に長男坊クラウス。メガネがない!

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  • 10 Dec
    • 徳川光圀と徳川吉宗

      "水戸黄門"と"暴れん坊将軍"のことです。 ドラマのファンの方、怒らないでください。。。 来年のNHK大河ドラマの主人公は「源義経」。 私にとっては思い出の人物です。 あれは小学校5年生、転校して間もないころ。。。 読書好き、という共通項があり、転校してまもなく仲良しになったI君。彼が読んでいたのが「源義経」。子供向けの伝記でした。 刺激された私も同じ本を読みました。 これが歴史とのファーストコンタクトでした。 義経の次は秀吉、信長……と主に伝記から入っていったのです。 もし、I君がいなかったら、この経験がなければ、私は(私の嗜好は)自然科学系へ進んでいたでしょう。 さてさて、源義経。 のめりこみました、日本にこんなかっこいいヒーローがいたなんてと。 何度も何度も読み返しました。 しかし、読んでいるうちにこんな疑問がわいてきました。 「なぜ義経は敗れ、死んでいったのだろう」。 戦争の天才であり、美男子であり、品行方正でありながら(伝記にはそう書かれていたのです)、実の兄に疎まれて、、、とここまでは理解できました。頼朝や梶原景時の嫉妬が原因だと(実はこれは誤りなのですが)。 理解できなかったのは家来の武士たち(正確には頼朝の家来、御家人)が、源氏方の武士たちがなぜ義経を助けなかったのだろうか、ということです。 「義経ってあんがい人気がなかったのかもしれない」 1年くらいたつと、かすかな疑念を持つようになりました。 やがて 中学に進み、吉川英治さんの『源頼朝』や司馬さんの『義経』、またいくつかの歴史雑誌を読むようになり、伝記には描かれなかった義経の実像を知りました。  戦争の天才でありながら、政治音痴だった事  その天才も当時の常識ではシロウトの発想と紙一重だったこと その他にもいろいろありましたが、このころには私の脳内義経と頼朝、すっかり立場逆転してました。 「義経ファンなんてシロートだよ」なんて嘯いてみたりもしました。・・・なんてかわいげのないお子様でしょうね。 今考えてみると、子供ながらにショックだったのかもしれません。初めて価値観の逆転を経験し、本に書いてあることがいつも真実とは限らない、と知ったのですから。(それでも少年向けの伝記にはヒーローは必要だと思います) さて本題。 光圀も吉宗もテレビドラマの主人公として高い人気を誇っています。人気の面では光圀のほうが先輩で、講談、映画の時代から人気者でした。私も小学6年生のころはテレビの大ファンで、講談の「水戸黄門」も読みました。吉宗のほうは私の知る限り、松平健さんの「暴れん坊将軍」ではじめて国民的人気を得たのではないかと思います。当初はどこまで続くかと不安でしたが、いまやパチンコにまで登場するほどの人気を得ています。 歴史上の2人はどうだったでしょうか。 まあ少なくともお忍びやチャンバラはテレビの作り事としても、やはり名君ではなかったか。。。というと、そうも単純にはすまないようです。 何をもって「名君」とするかは人により違うでしょう。しかし、批判を恐れず述べますと、私には2人が名君であったとは思えません。光圀のほうは暴君ではなかったかとさえ思っています。 大石慎三郎さんの『徳川吉宗とその時代』[中公文庫¥462(税込)]によれば自分の藩の収入も考えずに「大日本史編纂」を企て、年貢をバンバン取り立て、庶民の怨嗟をかったそうです。隠居も自発的なものでなく、幕府の意図だったかもしれないとのこと。 確かに「大日本史編纂」は偉大な文化的事業でした。しかし、私見ですが、その勤皇思想は、御三家の一つである水戸家で幕末、血で血を洗う政争が起こったことの遠因にもなりました。(尾張徳川家も勤皇思想が強く――むしろこちらが元祖なのですが――、幕末に「青松葉事件」という粛清事件が起こっています) 吉宗はどうでしょうか。 「暴れん坊将軍」というのはドラマのタイトルから来た名で、それまでは「江戸幕府中興の英雄」という評価と「米公方」(公方は将軍のこと)というあだ名で知られていました。家康は別格として、徳川将軍の中では一二を争うほど有能でありました。 でもそれはあくまで幕府から見た立場、または直接利害のない後世のわれわれの立場から見たものです。 当時の人々から見ればどうだったでしょうか。 さすがに光圀ほどむちゃくちゃはやりませんでしたけれども、(単純に言えば)年貢率を引き上げました。その結果、天領(幕府の領地)で初めて一揆が起こったほどです。また「百姓とゴマの油は絞れば絞るほど出るものなり」という暴言を吐いた勘定奉行神尾若狭守はこの吉宗の時代に活躍した人です。 また都市部では、もちろん、見るべき政策もありましたが、総論でいえば猛烈なデフレ政策をしています。結局、幕府は黒字になりましたけれども、同じ手が2度も通用しないのはその後の「寛政の改革」、「天保の改革」が物語っています。 吉宗は当時の人から  「公方、乞食に似たり」 とまで皮肉られています。 さらに光圀と同じく後世に要らぬ混乱の種をまいたものとして、「御三卿の成立」をあげることができます。もっとも、「御三卿」がすべてそろったのは吉宗の死後ですが。 御三卿は御三家と違い、将軍家の部屋住みの立場。御三家のような自分の藩を持っておりません。あくまで血のリザーブとしての存在なのです。御三家なら自分の領地を富ませる、などやることはいくらでもありますが、御三卿は将軍になれなければ意味がなく、そのため御三卿成立後の将軍家のお家騒動が陰湿の度を増していったのも当然でありましょう。そしてその最もたるものが有名な「安政の大獄」なのです。 この御三卿、吉宗が自分以後の将軍家を己の血統で独占したいがため、御三家(特に尾張家)を排除するために設置したとの説が有力です(もしそうでないなら、なぜ分家――藩を持たせる――にしなかったのでしょうか)。 誤解しないでいただきたいのは、以上は私の感想で、「それでもやはり名君だった」という人もたくさんいます。私も吉宗は「あと少しで名君」だったと思います。 さらにドラマ、小説と史実はあくまで別物です。史実のほうも今後どう変わるかもわかりません。ご意見、ご批判は受け入れますが、この点、ご容赦ください。 それでもフィクションの力は大きいものだと改めて感じます。 忠臣蔵の浅野家も重税で藩民からはうらまれていて、取り潰しの際は赤飯炊いて祝ったという話も残っています。 だがその同じ忠臣蔵で今の赤穂市が潤っているのも事実。 子供向けの伝記に偉人(それが虚像を含んでいても)が必要なように、大人のわれわれにも美しいフィクションが必要なのかもしれません。

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  • 07 Dec
    • 安富和男 『ゴキブリ3億年のひみつ―台所にいる「生きた化石」』

      女子高生に笑われ、ヨッパライにからまれ このクリスマススペシャルはステキなデザインですね。でも せっかくデザインを変えたのに、その一発目がこれではひいてしまうなあ。。。 さてさて この虫が大嫌いな、大多数の方スミマセン! 私は今昆虫・虫本にハマっています(冬なのに。。。)。 虫本の中でも、我が家にはミツバチ、アリ、チョウ、ゴキブリ、クモ…… の順に冊数が多い。もちろん所有者(すなわち私)の嗜好を反映しているのです。が、実際、ミツバチは益虫として古来より人間の付き合いも長く、研究史も長いので、本も多く出版され、かたやゴキブリは害虫として古来より…(以下同文)。 かと言って、私がゴキブリが好き、というわけでは決して、決してありません。どちらかといえば嫌いです。あまりお目にかかりたくありません。ただ、あまりの嫌われぶりはともかく、それに伴う誤解には同情します。 また、「ゴキブリのような汚らしい人間」、「社会のダニ」などの比喩を見聞するたび、そのようなダメ人間にたとえられる彼らが哀れでなりません。 それはさておき、 私がこの本を購入したのは7~8年前。今回再び手にして、あの、恥ずかしい思い出が蘇ってきました。 当時は地下鉄通勤をしておりました。職業がら(学習塾で働いております)、通勤ラッシュにはほとんど無縁なため。往復2時間弱の時間は読書に当てております。電車内では手の疲れない、場所のとらない、文庫本、新書が主体。 行きの電車の中で。 その日はテスト期間中のためか、昼でも制服姿の学生がちらほら。 そんなことはお構いなしに、どっかりと腰を下ろすと、鞄から本を出し、読み始めました。 しばらくすると、 「クスクスッ」 軽やかな忍び笑いが。 しかし私は読書中。気にはしても頭は上げず、なおも読み進めていると、 「ほら、あれ、あの人」 「ゴキブリの本を読んでるよっ」 「きゃ~だ!」(キャーダと私にはそう聞こえた) も、もしかして私のこと? 顔を上げれば左45度前方、ドアー付近に数人の女子高生が。もしかしなくても私のことでした、彼女らが見ていたのは。 目が合った瞬間、 (このままではオタクと思われてしまう。なんとかせねば! なんとかしろ!) で、紳士らしく、にっこり会釈を返したのです。 すると 「ギャハハ~~」 キャ~でもキャハハでもなく、思いっきり笑われてしまいました。 目的地でもなんでもない、次の駅で降りてしまった私を誰が責められましょうや?  ・ ・ ・ しかし、悲劇はそれだけにとどまりませんでした。 帰りはいつも終電になります。 女子高生もいない、帰りの電車の中で。 今度こそゆっくり読みましょうと鞄から本を出し、読みふけっていると。。。 「あ~~、 コイツ、ゴキブリの本読んどるでえ~」 いきなり大きな声をあげたオッサン。 「ゴ~キブリッの本、読んどる~~」 だいぶお酒をきこしめしていらっしゃるご様子。 (だれがどんな本を読もうと、勝手だろうが~~!!) とは思いつつも、警察と酔っ払いには逆らっちゃいけませんとの親の言葉を思い出し、 「ではでは」 と会釈をしながら目的地でもなんでもない、次の駅で降りてしまった私を誰が責められましょうや? って。。。? 「しまった、終電じゃねえか! 畜生!」 紳士らしからぬ暴言を吐いたこと、どうかお許し願いたい。 それにしても。 ゴキブリってだけで、人はなぜ、かくも過剰に反応するのでしょうか? 今まで電車内でいろいろな本を読みました。 マンガも読んだし、少女マンガも読んだし、絵本も読んだことがあります。 しかし、いずれの場合でも(心中どう思っているかは別として)、人は私をそっとしといてくれました。 ゴキブリの本以外は。。。 1993年04月発行 講談社ブルーバックス 861円(税込)

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