私たちが雨月古民家を手に入れるまでに数年かかりました。

 まずはインターネットで土地や中古住宅を探し始めてみると、広い庭のある家なら改築が必要な中古の農家が安いということで、1~2年かけてあちこち探してました。
私たちは大の動物好きで、たくさんの動物に囲まれて暮らしたいという夢があって、農家なら希望にぴったりだと思ったからです。ところが普通の一軒家はかなり多く売りに出されているのに、農家はほとんど売りに出されていません。いいなと思った農家はすぐなくなりました。

 そんななか、2ヘクタールの農地付き古民家がかなり安い値段で売りに出ると聞き、競売にも参加しました。場所は小さな街のカフェ。始まる時間の頃には立ち見もでるほどのたくさんの人で、競売が始まると手が挙がり、どんどん値がつり上がり、あっという間に数千万円。競売は別の日にまた繰り返されるそうで、値段は確実にさらに上昇、しかも改築にも数千万円はかかりそうなところなので、私たちは途中退場。

 毎日のようにインターネットで新しい情報がないかを確認しては、良さそうなものは不動産に電話して中を見せてもらっていました。

 もうだんだん嫌になってきたころに、雨月物語ハウスをインターネットで発見。この頃にはもう田舎しかないというあきらめもついていましたし、なかなか本物の古民家が少ないこともあって決めたのですが、最終的な交渉では売り主から売値よりも数百万円高い金額を要求されて、涙目。
こちらでは、買い主希望者同士で競わせて価格をあげるきったなーい手を使う不動産会社多数。
これより安い物件が出ることはないよねと無理に納得するしかなかったです。

日本のように売り主と買い主、それに銀行の人と一緒に司法書士の事務所に行って、延々と長い契約書を読まされてやっと契約。契約書にサインするときは、さすがに私も緊張しました。

 ところが、問題はここからだったのです。どの建築士に頼むのか、工事はどこの会社か、建材や設備などすべて自分たちで決めなければならないのです。
建築士との話し合いもする一方で、釘1本から、ドアや窓はどうする?断熱材は何を使うのかなどなど、時間をかけて勉強し、あちらこちらに出かけて探さなければならないことが山のようです。
どんなことも仲良くすべての考えが一致なんてありえないし、仕事もしているから忙しい中で時間もやりくりしなければならなくなるしで、イライラも募ってきます。
多くのベルギー人カップルの離婚の原因は、家の購入がきっかけというのが、本当に納得できる状況となりました。


$PHOTOGRAPHERのベルギー田舎暮らし-HUIS2

改築前の雨月物語ハウス。前の家主がバラ好きで家のあちらこちらにありました。