◆「内定への一言」バックナンバー編
「正しき理解が力を引き出す」
こんばんは。これまでの『業界ゼミ』で一番ソフトな内容だった「生命保険」を終え、福岡女子大のF津さんの熱い反応に驚いて帰宅した小島です。
この業界ゼミ、やっていて面白いのが、「志望業界だから」という理由で来る学生さんが少なく、「よく分からないから」、「面白そうだから」という動機で来たにも関わらず、受講後はその業界が志望業界になってしまうこと。
だいぶ僕の予想とは違いますが、それにしても、「保険ってどんなイメージですか?」と聞いたら、「殺人」、「不払い」、「身内に売る」という前評判だったこの業種が、「面白い!」と言っていただけたのは光栄でした。
講師の身としては、一番反応が熱かった回は、第6回の「商品先物取引」ですね。やっぱり。銀行と証券も人気のようでしたが、先物の仕組みにあれほど学生さんが興味深く聞き入るとは、予想外でした。
福岡女子大学では代々、「金融の魅力」を知って道を誤った(?)幸せな学生さんが輩出されていますが、去年のM藤さんに続き、今年はF津さんがそうなるのか…?
とにかく、この業界に行くにしろ行かないにしろ、金融の仕組みを知らずにまともな就活や仕事をするのは不可能なので、ぜひ明日からの後半も一緒に勉強していきましょう。
それから、kumamotoさん、慶應義塾大学のTさん、横浜国立大学のKさん、お友達のご紹介、どうもありがとうございます。最近は遠方の方からの教材申込もちょこちょこ増えつつあり、有り難いことです。
ほとんどは、全国的に名を知られた学校の方々ばかりで、やはり大都市圏の学生さんは動きが早いのかなぁと感じます。
九州・福岡も負けていられませんね。先取りで余裕を作り、自信を育てていきましょう。
さて、「経済誌の記者」といえば、世間では知られていませんが、FUNの中では有名な仕事です。なぜなら、顧問の僕が以前やっていた仕事だからです。
就職を話題にしたメルマガを書いておきながら、当の僕は会社勤めを3年しか経験したことがなく、それ以降は、もっぱら経営する側で社会を見つめてきましたが、記者の経験がどれほど役立っているかは、言い表せないほどです。
「たかが3年で何が分かるの?」と、30代、40代の人から何度も言われましたが、その時は「10年、20年も人のアイデアで食べさせてもらって、恥ずかしくないんですか?」と答えてきました。
読者の皆様の中にも、ひょっとしたら「記者」の仕事に興味をお持ちの方がおられるかもしれないので、今日は記者、とりわけ経済雑誌の記者職について、その取材・営業・企画面をご紹介します。
まず、「記者」と聞くと、ほとんどの人が「新聞記者」を連想します。
しかし、経済誌の記者は、新聞記者とは決定的に性質が異なります。それは、「起きたこと」ではなく、「起きるであろうこと」を取材することです。
新聞にも「経済欄」がありますが、それはむしろ「経済事件」や「経済犯罪」を報道するもので、経営分析や事業計画の取材はやりません。日経新聞は例外ですが、新聞の経済部と経済誌の記者は、集める情報の属性が異なります。
僕がいた会社は、会社設立5ヶ月目、雑誌発刊4ヶ月目という状態の弱小ベンチャー出版社でしたから、誌面も広告も関連サービスも、ほぼゼロの状態から作る、というありさまでした。
この点でも、「無名で、不安定で、小さい会社」という僕の志望動機を完全に満たしていて、社員の身でありながらも、創業期の会社に起こることを体感でき、その後の独立には非常に役立ちました。
まず、経済誌の主要目的は、「読者である企業に新規取引の機会を提供し、有益な経営手法や経営的発想を紹介すること」です。これが経済誌が提供する第一義的な問題解決です。
もちろん、雑誌という紙媒体だけに、「広告」や「特集企画」といった収益手段もありましたが、まずは「読む雑誌」ではなく「使う雑誌」としての質を確保せねばならず、記者時代には随分経営や会計を勉強したものです。
経済誌の特徴は、新商品や新サービス、新技術、特許、決算情報、事業戦略、経営者発想などを取材して加工し、掲載することで、当然ながら、接する人の9割は「経営者」です。
しかも、一つのアイデアを取材して、それで終わりということはなく、そのアイデアがその後どうなったか、そこで駆使した技術がどう生かされたか、結果的にどういう副産物をもたらしたか、なども継続的に取材できます。
もし「事件」なら、原因と波及する影響を述べればそれで終わりですが、経営自体を話題にするため、そのテーマは絶えず生成発展し、変化し続けます。
僕は初年度は「テープ起こし」を数多く担当し、併せて編集ソフトも練習したことから、営業・取材・編集・校正・発刊・HP作成までの全ての手続を覚えることができました。
ちなみに、このノウハウは今、某企業取材サークルにほぼ完全な形で相続されています。
また、記者というと「取材」だけが仕事のように思われがちですが、実際は「年間購読の提案」、「広告掲載の提案」、「マッチングサービスの提案」といった営業活動も担当し、一緒に経営を発展させるお手伝いもします。
日経ビジネスや東洋経済のような大手経済誌になれば、広告部門や営業部門、編集部門は細分化・専門化されていますが、僕のいた会社は入社時には6人しかいなかったため、一人でやる作業量も膨大でした。
中でも、最年少の僕は、毎月月末になると「配本」係も担当し、相方のKさんが免許を持ってなかったため、博多駅前のレンタカー屋で車を借り、早朝から夕方まで、市内の書店30店を回ったものです。
トーハンやニッパンに取次を頼めば、書店のエレベータ前とかレジの前といった「一等地」を取ってもらえるものの、そんなリッチなルートに乗せる予算もなく、書店の店長に「お願いします。いい場所に置いて下さい」とお願いしていたものです。
書店では、有力雑誌や書店の手数料が多い雑誌は「平積み(表紙が全部見える形で置く形式)」や、「面出し(上3分の1くらいだけ見えるように書架に立てかけるコンビニ形式)」にしてくれますが、弱小雑誌は「突っ込み」といって、本棚の奥の方に差し込むだけ、という形式もあります。
さらにひどいのが、これは業界用語で何と呼ぶのかは知りませんが、最初から「売れない」と見込んで、下の棚に入れておき、来店者から請求があった時だけ、「ありますよ」といって出す方法もあります。
某書店では、4ヶ月連続で「棚入れ」を食らい、非常に悲しい思いをしたものです。だって、必死で作った雑誌を手に取ってももらえず、納品時と同じ冊数で引き取ることになるんですから…。
お客として立ち寄るだけでは何も感じなくても、実は「本屋」さんという強力な集客力を持つ店舗では、水面下で「いい場所取れ!」、「これで目立つぞ!」という、「お花見の場所取り」のようなバトルが繰り広げられているのです。
このバトルで、到底大手誌や有力誌には勝てなかった僕の会社は、年間購読や「ギフトセット」、「マッチングの特典」という新たな売り方で販路を広げたのも、懐かしい思い出です。
まぁ、そんなこんなで、時には運送屋、時には回収業者、時には取り立て屋、時にはコンサルタント、時にはお茶汲み、時には宴会予約係など、様々な下働きを経験した小島記者ですが、最も楽しかったのは、やはり取材です。
社長さんという人種は、気まぐれで「うまく書いてて」と言いながら、いざ出来上がった記事を見せると、「ここ変えて」という傍若無人な人も多いものです。あるいは、今では僕もそうかもしれませんが…。
なんど「直前校正」を食らったか、数え切れないほどですが、会計用語集や経済辞典、実務書、経済小説などを読みまくり、徐々に腕を上げていくと…。
「君の記事、コピーして全国の営業所に配布したよ!」
「君に取材してもらって、初めてウチが何の仕事をしているか、よく分かった!」
「君の文章を、社員研修や会社案内で使わせてもらってもいい?」
といった評判を頂くようになりました。
初めは「どんな仕事のどの部分が、どう面白いのか」を抽出し、読者企業から「問合せの電話」が来るようにと、そればかりを考えて必死に記事を書いていたのですが、思わぬ副作用に、僕自身もとても喜びました。
だってそれは、「仕事を再定義した」のと同じことですから。
それまでは「社員がすぐ辞める」、「みんな、朝はきつそうなのに、夕方は楽しそうだ」、「若い人が入社してくれない」という悩みを抱えていた会社が、「ウチの仕事は、そもそも何をしているのか」を再定義した結果、見違えるように社内の雰囲気が良くなった、と聞いたのです。
古い言い方ですが、「記者冥利に尽きる」と有り難い思いでした。
社長さんの中には、ズバ抜けた営業センスをお持ちなのに、中卒で貸借対照表がよく分からない、という方もおられます。
技術の知識はピカイチなのに、販売となると制度も分からない方もおられます。
僕は日頃から、読者でありながらお客様でもある数多くの社長さんと接していたため、読者の視点、つまり「販売店の利益」、「代理店の利益」、「競合他社の視点」、「異業種の視点」など、様々な視点を組み合わせて、できる限り「仕事の本質」を文章化することを心掛けました。
例えば、ある通信回線の代理店があったとして、その会社が「NTTの代理店です」というニュースを前面に押し出しても、さほど効果がない時がありました。
「NTTの代理店って言えば信頼も得られると思ったのに、なかなか難しいもんだね、小島君。」
僕は「果たしてそうか?」と、あれこれ思いをめぐらせました。
NTTという、誰もが知る大手企業の代理店というニュースは、信頼強化にはつながるでしょうが、そもそも、商品を瞬時に察するには無理があるフレーズです。
そこの商材の根本的問題解決手法は「時間とコストの節約」にあったわけですから、顧客の視点から「1日半の仕事が1日で終わる」という分かりやすいメリットを提示すると、以前より反応が増えるようになりました。
売っているモノではなく、提供しうるコトを基準に、コミュニケーションのインターフェースを更新するのが、経済誌記者の仕事だといえるでしょう。
自社の仕事や相手の仕事の本質を、会計の側面から正しく理解せねば、社長の想像も社員の努力も方向を間違い、多くの無駄が生まれます。
「メーカーはモノを作っている会社だ」という無意味な理解で、どの社員がまともな仕事が出来るというのでしょうか。
「エプソンはプリンタのメーカーだ」という表面的な理解で、まともな営業ができるのでしょうか。
「雑誌とは、読むものだ」という先入観で、果たしてどれほどの雑誌経営が出来るのでしょうか。
これらは皆、「モノ」の視点に囚われた偏狭な理解に過ぎず、会計から見た業務の本質とは程遠い理解です。自社の社員にそのような業務説明しかしていないのに、収益が上がるはずがありません。
僕は「愚痴」や「対立」が起きているコミュニケーションの断層を注意深く観察して翻訳し、それを「取引先や従業員と共有可能な文章として翻訳する」という業務に、生きがいを感じるようになりました。
自分のやっている仕事を正しく理解すれば、その人は見違えるような笑顔で働き、かつ、必ず以前より良い成果を出すからです。
それはあたかも、「大学は遊ぶところだ」と思っている学生と、「大学は夢のテーマパークだ」と思っている学生の生活が、同じ4年間で決定的に異なるのと同じくらい、絶大な影響を与えます。
世の中には「会社やめたい」、「仕事がきつい」と言っている社会人がごまんといます。僕の友人にもそういう人はいますが、それらの人は、ほとんどといっていいほど「モノ」からの視点で自分の仕事を見ています。
聞いてみれば、「それで楽しいわけがない」と思わずにはいられないほどの理解です。
だから、「君の仕事は、要するに棚卸資産を適正化して現金化の速度を上げ、クライアントに余剰時間と新しい事業機会を創出する仕事じゃないか」という意味の説明をすると…。
「なるほど!オレの仕事は、そんなにすごかったのか!」と言ってくれます。
会計が分かれば、全ての業種が志望業界になり、さらに、消えずに育ち続ける「永遠の志望動機」を持つことができます。
全ての問題は会計に照らして考えればたちまちのうちに解け、そこには必ず、お客の喜びと自分の充実感が一致するポイントがあります。
自分がやる仕事を正しく理解することが、力を発揮するために一番大事なことなのです。
経済誌記者では、原発と葬儀屋さん以外、全部の業界を取材しました。今、FUN業界ゼミでは、49の業種について毎日違う講義を行っていますが、その内容は僕が記者時代に、その業界の社長さんと直接会って聞いた「業務の本質」が元になっています。
だから、受からないわけがないのです。
その仕事を創業した人や、その仕事で成功して心から「楽しい」と言っている人と同じ目で仕事を見た時、その仕事が楽しくないはずがありません。
内定など、一回得てしまえばすぐに忘れることです。問題は、その意欲が入社後数年を経ても続くかどうか。
「お客様と幸せを共有できるという充実感の元、自分を成長させていける志望動機」を持つためには、会計的視点から見た本質的な業務理解が欠かせません。
参加された皆さんはお分かりでしょうが、どの業種も、会計と問題解決手法の側面から見れば、思わず小躍りしたくなるほど楽しく思えてきますよね。
創業者やトップ営業マンは、皆、そういう風に銀行や証券会社、先物取引会社、保険会社の仕事を捉え、日々活躍しているのです。そのような理解をしてこそ、くじけない志望動機が育っていくのです。
僕は今、毎日の業界ゼミに使命を感じています。それは、来てくれた学生さんの選択肢が毎回確実に増え、その業界に愛着を持ってくれるからです。
そして、どの学年のどの学部の学生さんが来ても、等しく「面白い!」、「興味が出た!」と言ってくれるのを見て、二重に確信を強めています。
得た経験と知識を総動員し、誰もが志望業界に内定し、内定後も幸せに成長していける「仕事事典」を、きっと作ってみせる!
毎日、そんな決意でレジュメ作りに携わっていますが、その原動力は、毎日ちょこちょこ集まってくれる学生さんの笑顔です。
今日は記者の仕事には少ししか触れませんでしたが、今後はエントリーシート提出や面接も近付いてくるので、色々な仕事の見方や実務知識について、少しずつご紹介していくことにします。
経済誌の記者も、①企業トップに会いたい、②経営や会計と、その適用事例を実地で学びたい、③表現と説明の力を磨きたい、④新たなビジネスチャンスを描きたい、という動機をお持ちの方なら、ぜひ挑戦する価値がある仕事です。
社会で起きていること、新たな経済の胎動、新ビジネスの産声…それらを経営と会計の本質から文章化し、新たなチャンスを読者やクライアントにお届けする「未来の情報の出前配達人」が、経済誌記者の仕事です。
今思えば、学生さんのサークルを応援することにもなったので、記者の仕事で蓄積した経験と知識が、このような若い方々の勉強にいささか貢献できているのも、思わぬ喜びの一つです。
書くのが好きで、マメなのは、記者の仕事をする前からの性格ですが…。
貿易会社(海外勤務)と出版社、それに人材コンサルティングに興味がある学生さんなら、僕にも経験があるので、いつでもベローチェで相談に乗りますから、お気軽にどうぞ。