■「内定への一言」バックナンバー編
「月を取りに行け。たとえ取り損ねても、
そこからさらに大きな星を目指すことができる」
(フランクリン・ルーズベルト)
その①
今日は夜から一人で赤坂ベローチェにこもり、昨日買った本をじっくり読みました。好きな本を誰にも邪魔されずに読む…至福のひとときです。
夕方に行ったスタバに続き、ベローチェでも横に「就活中の学生さん」が。スタバで見かけた学生さんはSPIの問題を解いていて、ベローチェで見かけた学生さんは「ねぇねぇ、自己PRってさぁ、何言ったらいいと?」と話していました。お友達は「さぁ、よう知らんけど、サークルとかゼミのことやない?てか、別に他にないし」との答え。
話題は合同説明会に移り、スーツに移り、面接を経て、静かになりました。これからいろんな経験をして、多くの悩みを乗り越え、話題の質も成長していくんでしょうね。
さて、今日は昨日のチャーチルの言葉に続き、ルーズベルト大統領の言葉です。ユダヤ系で初めて大統領になったルーズベルトは、最後は小児麻痺で心身を害されますが、在任中は多くの重大決定を下し、世界史を大きく変化させました。
戦時中の指導者については色々と思うことがあるのですが、今日はそういう内容は省き、彼が残した言葉から、「努力と継続の産物」について考えてみましょう。
僕は、経済誌の記者時代に六三○社を取材し、起業してからは数百社を営業で訪れ、今までに二千社近くを取材や営業で回った経験があります。別にこの数は、営業の世界では多くも何ともない数字ですが、取材目的だったので各業界・業種の詳しい仕組みや収益モデル、商品の原価率、販路拡大方法、業務提携体制などについても、かなり詳しく勉強することができました。
そんな経験と知識を持ったまま、仕事と掛け持ちでFUNの顧問になったわけですが、最初の代の三年生が就職活動の時期を迎えた頃、「業界を絞るべきか、広げるべきか」と悩んでいるのを知りました。
僕はそんな学生さんの姿を見て、「ということは、業界が違えば仕事の内容も世界も全く違うと思っているんだろうな」と感じました。そうでなければ、こういう選択で迷うはずはないからです。そして、「今○○業界を選んだら、他に少し興味がある△△業界の選考で不利になると考えているんだろうな」とも思いました。
多くの学生さんは、「絞ることはデメリットを生む」と考えているようでした。しかし、これらの問題は全く「心配無用!」です。なぜそうなのか、その理由を以下、ある「就活シミュレーション」を用いて証明します。
その前にまず、「仕事」を定義しましょう。仕事とは「問題解決」で、世の中のあらゆるお金は、必ず問題解決能力に対して支払われています。他人の悩みを解決し、要望に応える主体(企業や個人)が、その奉仕の対価として「お金」をもらうわけです。
あなたは今日、ジュースを買いましたか?それは、「喉が渇いた」という問題を抱えたからですよね。あなたは今日、シャープペンの芯を買いましたか?それは、「字が書けなくなる」という問題を抱えたからですよね。あなたは今日、病院に行きましたか?それは、「体調を回復させたい」という問題を抱えたからですよね。
このように、「問題ある所、ビジネスあり」で、「非・不・未・無から新ビジネスが生まれる」というのは有名な話です。だから、「世の中のあらゆる企業は、問題解決のために存在している」という図式が成り立ちます。これは絶対的な前提で、「問題の新規創出・複雑化・長期化」を専門とする「お役所」以外のあらゆる組織に当てはまる便利な尺度です。
…というのは、読者の皆さんが「大学一年生」や「高校生」だった時からFUNのみんなに教えてきた「基本中の基本」。そして、「業界を絞るか広げるか」という悩みは「応用問題」のようなもので、この基本をちょっと派生させて考えれば、すぐに解決されます。
例えば、あなたは今、「マスコミ」を目指しているとしましょう。理由は「それしか知らない」から。友達から「業界決まった?」と聞かれ、あなたは「あぁ、一応マスコミやけど」と答えて、「自分はそれなりに、行きたい業界は決めている」との安心感に浸っています。
そんなあなたも「エントリー」の時期を迎え、「…てか、マスコミとか言っておきながら、自分はテレビしか知らないじゃないか。大体、さんまのからくりTVが好きなだけやん…やばい」と焦りました。そこで、あなたは「なぜ自分はテレビが好きなのか」をじっくり考え、結局「若手の芸人さんや俳優を応援したい。そして、人気番組を作りたい」ということが主たる動機だと気付きました。
あなたは、仕事に詳しい社会人の先輩に尋ねます。「先輩!可能性がある若手の俳優さんを応援したいなら、テレビ局に就職したらいいですか?」。先輩は答えました。「局に入っても、番組制作以外にたくさんの仕事がある。番組制作やキャスティング、時間確保に一番の影響力を持っているのは、スポンサー企業だ。本当に人気のある芸人を生かした番組が作りたいなら、広告代理店に入って番組を支援する側に行くのもいいぞ」。
あなたは、「どうやら、テレビ局自体は何の収益も生まず、全ての収入は広告という名の協賛費で賄われ、テレビ局は番組枠という部屋を販売する分譲マンションみたいだ」と悟りました。「オレが毎日見ていた番組の裏では、そんな駆け引きが行われていたのか…すごいぜ、広告代理店!」。
ウハウハのあなたは翌日、自分の得た知識を友達に披露しました。すると友達は、「え?マスコミじゃなかったと?」と言います。あなたは、「おまえ、もうちょっと業界研究した方がいいぜ。実は、テレビ局には番組枠の仕入れや販売があってな…」とシステムを友達に説明し、得意満面の表情です。
しかし、友達は言いました。「それって、商社と一緒やね」。あなたは驚き、反論します。「商社?商社って言ったら、英語がしゃべれて海外を飛び回り、アタッシェケース片手に国際電話って感じで、テレビと何の関係があるんだよ?オレの柄じゃないね。第一、英語苦手やし」。
友達は、「だから、それがテレビと一緒なんだって。商社マンは自分がホールセールの立場に立って、販売力を強化したいリテイラーと、面白いモノを求めるエンドユーザーと、成長性がある商材を持つサプライヤーをつなぐ仕事じゃないか」と譲りません。
英語が苦手なあなたが、「英語は分からん!日本語で言え」と言うと、友達は「ホールセラーは卸、リテールは小売店、エンドユーザーは消費者、サプライヤーは製品や一次産品の売主とかメーカーだよ」と教えてくれました。
あなたは、「ってことは…テレビ局、広告代理店、視聴者、番組制作会社の関係と同じじゃないか…!すごいぜ、商社!」と感動し、先ほどまでウキウキ気分で語っていた新・志望業界の「広告代理店」はどこへやら。今日からは「商社」を目指すと決意しました。
商社の魅力を知ったあなたは再び、仕事通の先輩に近況を伝えに行き、「先輩!まだ世に出ていない商材を見つけて、小売店に売れ筋商品を卸して応援していく商社の仕事って、すごいっすね!英語苦手っすけど、勉強したくなってきました」と、最近の興奮を伝えました。
先輩はじっくりあなたの話を聞き、「確かにそうだね。だけど、小売店の問題は売れ筋商品の有無だけじゃない。商品だけで店が繁盛するとも限らないんだ」と教えてくれました。疑問に思ったあなたは、「どうしてですか?たくさん商品が売れれば、お店も儲かるじゃないですか」とさらに尋ねます。
先輩は、「それはそうだが、あくまで一部なんだ。商店街や町工場などの小規模事業所は、なんといっても資金繰りが一番大変だ。せっかく売上が上がっても、すぐに借入金返済に消えていくばかりで、いくら売っても事業が好転しないお店もある。手形の決済でヒヤヒヤ、なんてこともよくある話だぞ」と説明してくれました。
あなたが、「手形って、銀行が厳格な審査で当座預金口座を開設するから、よっぽどのことがないと不渡りにはならないと勉強しましたけど」と答えると、先輩は「不渡りは最悪の結果だ。問題は、中小規模の事業所は仕入れでも立場が弱く、支払の際に後回しにされやすい、ってことさ。つまり、手形取引じゃないと商売をしてもらえない立場でありながら、手形決済まで生き延びる十分な資金が確保できないから、高利の借り入れに頼る必要が出てきてしまい、それがさらに経営を圧迫することもあるんだ。街の金融業者に手形を割り引いてもらったところで、二~三割は持っていかれる。小さな店の売上の二~三割っていったら、死活問題だぞ」とさらに詳しく解説してくれました。
あなたはまたまた驚き、「…先輩、オレの実家は実は田舎で、帰省するたびに商店街のシャッターの数が増えてて、故郷を愛する自分としては、育った街がさびれていくのは寂しい限りなんです。そういう小さなお店を支援するのに、商社よりももっと適した仕事はないんですか?」と尋ねます。
先輩は、「商社でも十分支援することはできる。全ての仕事は問題解決なんだから、どの分野であれ、お客様を助けないと成り立たない事実は変わらない。しかし、おまえがもし、もっと即効性のある支援業務に携わりたいと思うなら、リース会社も面白いぞ」と、新たな業種の存在を教えてくれました。