<ニホンカワウソ>絶滅…昭和まで生息の哺乳類で初 環境省

ニホンカワウソの剥製

 環境省は28日、絶滅のおそれのある野生生物を列挙した「第4次レッドリスト」を公表した。国の特別天然記念物で「絶滅危惧種」に指定されていたニホンカワウソが、30年以上生息が確認されていないとして「絶滅種」に指定された。

 既に指定されている絶滅種の哺乳類は▽オキナワオオコウモリ▽オガサワラアブラコウモリ▽エゾオオカミ▽ニホンオオカミの4種。いずれも明治時代までしか生息が確認されておらず、昭和まで生息していた哺乳類が絶滅種に指定されるのは初めて。

 ニホンカワウソは体長110センチ程度のイタチ科の哺乳類で、かつては全国の川辺に生息していた。しかし、毛皮を目的とした乱獲や開発による環境の悪化 などで激減。正式な確認は1979年、高知県須崎市の川で見られたのが最後だ。飼育下では旧・愛媛県立道後動物園で56~69年の飼育記録がある。

 環境省は過去の調査や目撃情報を総合し、北海道では50年代、本州以南では90年代に絶滅したと結論づけた。

 このほか哺乳類では、沖縄県宮古島で71年に確認されて以降生息情報のないミヤココキクガシラコウモリを「絶滅種」に指定。哺乳類以外にも鳥類1、昆虫 類1、貝類1、植物2の計5種が新たに「絶滅種」に加わった。また、「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されていた九州地方のツキノワグマは、57年 の捕獲記録を最後に生息が確認されないとして、リストから削除し「絶滅」扱いとした。

 今年初めて野生下での繁殖に成功したトキは「野生絶滅」から「絶滅危惧種」への引き下げが議論されたが、国際自然保護連合(IUCN)が「5年以上の状況継続が必要」としているため現状のままとした。