【白露のコラム 子午流注(11)「酉(とり)の刻」(1719)】


■「酉(とり)の刻」(1719

 


漢方では五臓六腑の「腎(じん)」が担当する時間です。

「腎(じん)」は生命力=精(せい)をためている大切な働きを持っていて、エイジングにとても深い関わりがあります。

まずは漢方で考える「腎(じん)」の働きと、17時~19の過ごし方、その対策をみていきましょう。

 

漢方で考える「腎(じん)」の働きは2つあります。

 

(1)蔵精(ぞうせい)作用

 

漢方でいう「精」は、「気(エネルギー)・血・骨・歯・脳・生殖・生命(いのち)などの原料」となると言われています。

「精」は両親からもらいうける「先天の精(せんてんのせい)」、飲食物から体でつくる「後天の精」の2つあります。

どちらの「精」もたくわえられているのは「腎」になります。

「腎精」が足りなくなると、「成長が遅い(発育不全)」「子宝に恵まれない(不妊)」「骨がもろくなる」「聴力・記憶力・泌尿器系」の働きが衰えます。

 

(2)水主(すいしゅ)作用

 

全身の水分代謝をコントロールしている働きです。

身体の水分を巡らせ、不要な水は膀胱に送り体外に尿として排泄します。

この働きが失調すると、「泌尿器系のトラブル(頻尿、夜間尿、膀胱炎など)」があらわれます。

 

 

【 腎の働きを高める17時~19の過ごし方 】

 

(1)食事で精をつける:夜ご飯はこの時間帯に食べましょう。

   特に「精がつく」食材を積極的に摂り入れるのがBEST

(2)腰を温める:「腎(じん)」は腰に位置して、寒さに弱い性質があります。

   夕暮れ時は気温が下がるので、腰回りの温めを意識しましょう!

(3)性のかかわり:房事(性行為)の不摂生は「腎精」を消耗させます。

ご参考までに年齢ごとの目安回数が貝原益軒の「養生訓」に記されています。

  20才は4日に1回、30才は8日に1回、40才は16日に1回、50才は20日に1回、60才は体力盛んならば1カ月に1回」が望ましいそうです。

  「腎精」を消耗させるよりも、補うことにこの時間帯は集中すると良いでしょう。

ちなみに房事を行う時間は、「亥の刻(21-23)」が適しているようです。

 

この「腎(じん)」を労わるポイントとしては、「精」をいかに補い、「精」を消耗させないかがカギになります。

 

「腎精」がつく食材のポイントは2つ!!

 

(1)黒い食材:黒豆・黒ゴマ・黒米、のり、ひじきなど



(2)海の食材:エビ、イカ、ホタテ、牡蠣、のり、ひじきなど

 


「精」は毎日コツコツと取り入れられるとGOOD

楽して補っていく食生活のコツは、「現在の食生活へのちょい足し」が続けられておすすめです♪

 

・黒ゴマをふりかける 

・黒豆茶を飲む

・干しエビ、ホタテなどで出汁をとったスープを飲む

・野菜炒めの隠し味に干しエビや黒ゴマを加える 

 

また、「腎(じん)」をととのえる代表的な漢方薬 として【八味地黄丸(はちみじおうがん)】があります。

 

<効能効果>

 

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:

下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)軽い尿漏れ

 

漢方的には、

 

温補腎陽(おんほじんよう):「腎陽虚」という「腎(じん)」が弱り、寒がり冷え性な体質に使う漢方薬です。

効能効果を見ると、年齢を重ねると気になる症状ばかりですね。

服用は、医師または薬剤師にご相談ください。

 


次回は戌の刻(19-21)です。

担当する心包経とその時間帯の過ごし方について語ります。