本日は、「処暑」。
“ 陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也 ”(暦便覧)
暑さも少しずつ和らぎ、朝晩の風に秋の気配を感じる頃となりました。
処暑の節気は「暑い季節」から「涼しい季節」への移り変わりの時にあり、自然界の陽気は「疎通・排泄」から「収斂(しゅうれん)」に向かいます。
人間の身体内部の「陰陽の気」の盛衰もそれに伴って変わるので、「日常生活」「仕事」「休息」もそれ相応に調整する必要があります。
秋に入り、まず確保したいのは「睡眠時間」であり、「早寝早起き」は夏の疲れをとる上でもとても大切になります。
また、秋は「乾燥」が気になる季節です。
影響を一番受けやすい臓器は「肺」です。
中医学でいうところの「肺」は呼吸機能だけでなく、「水分代謝を調節する機能」「体温調節機能」「外邪を寄せつけない免疫機能」といったさまざまな役割を担っています。
秋は乾燥(燥邪)で身体が乾き、水分が不足するため「肌の乾燥や発疹・じんましん」、「せきや呼吸器」の症状が目立つようになります。
その他、漢方医学の理論では、人間の感情変化を「怒・喜・思・憂・悲・恐・驚」という七情にまとめられています。
この七情の感情変化はそれぞれ特定の臓腑や季節と密接に関連し、それぞれの機能に影響を与えて病気を起こすことがあります。
中国最古の医学書『黄帝内経』には、「憂傷肺=憂(悲しみやうつの状態)は肺を傷める」と記述されています。
長期にわたる過剰な憂いと悲しみは、肺の機能を弱めます。
「慢性の咳」「喘息」「結核」などの疾患は、過度の憂いや悲しみによって起こることがあります。
この時期に肺を養う食材は「白いもの」や「辛みのあるもの」を召し上がると良いでしょう。
「大根」「ねぎ」「蓮根」「かぶ」や「白木くらげ」「百合根」、「はちみつ」「もち米」「白胡麻」に、「梨」「柿」「ぶどう」といった旬の果物、「松の実」「銀杏」「栗」などの木の実がおすすめです。
激辛など刺激の強いものは、身体を乾燥させてしまうので、控えめにしましょう。
