認知症は治らない。

どのお医者さんもこう言う。どんな本にもそう書いてある。

 

でも父は卒業した。

 

10年以上前、こんな行動から【あれ?おかしい】と感じた。

 

「シャンプーがないよ!リンスがないよ!」風呂場で父が叫んでる。

ドアの外にあるのに。

父のシャンプー。母のも、私のまで。

7-8本ドサドサと置かれているシャンプーにリンスのボトル達。

次の朝も「シャンプーがないよ!リンスもないよ!」と叫んでた。

 

毎月行く会合の場所が分からないみたい、母が言う。

一緒に父と電車に乗って会合へ。

電車の中、父はずっと鞄をゴソゴソ。

ゴソゴソ、またゴソゴソ。ずっとゴソゴソ。

駅に着いた、でも右も左もわからない。

毎月来ているところなのに。

駅からたったの2分の場所。かかった時間は20分。

その時おもわず父の写真を撮った、

その顔は不安に満ちていた。

 

そんな父に変化が見られたのは、大好きな母の葬儀だった。

 

葬儀場に向かうタクシーの中、

なんで喪服なんだ? ママはどこだ? 誰の葬式だ?

誰が死んだ? ママはどこだ? 

これが45分も続いた。

 

棺桶の中の母をみて、父はわんわん泣いた。

そして参列者の前に立ちマイクをつかみ

これはもうしっかりとした挨拶をした。

昔の会社の同僚と、ビシッと背筋を伸ばし対話をする父。

タクシーの中の父はそこには居なかった。

こんなしっかりとした父はもう何年も見たことがなくて

私の目は点になっていた。

 

火葬場

ママはどこだ? なんで骨なんだ!!! 

また私の目は点になった。

 

でも大好きな母の死は、父の認知症卒業への出発点だった。

 

ここから父は少しずつ、回復への快進撃を始めた。

 

認知症が治る病気である とは言えない。

医学的にもなんの論証もないから。

でも確実によくなる人は居る!

父はその一人だ。

 

少しずつ、私の体験談を書き残していこうと思います。