さて、飲食M&A動向 〜コロナ禍が飲食M&A市場に与える影響について①~でも書かせて頂いたように、飲食M&A市場は大きく変化しようとしています。
譲渡を検討される方に、今からできることをご紹介します。
M&Aにおいて、買収検討する企業は「事業」と「数字」を見ます。
まず、運営している事業が買収企業にとって魅力的かどうか。
これは今から変化させるのは難しいため(デリバリーや通販などへの転換事例はありますが、まだ一時的な成功であり、将来見通しを立てるのは難しい)、基本的にはありのままとなります。
としますと、今から出来るのは「数字」を少しでも良くすることです。
会社の現預金額は評価に直結します。
ですので、現預金の流出を防ぎ、多く残すことが肝要です。
当たり前のことと思われると思いますが、ここを突き詰めてお考えいただきたいと思います。
緊急事態宣言が明けて、一部の店舗では昨対100%に戻ったという話も聞きます。
売上が戻るお店はバシバシ営業して頂いた方が当然良いですが、売上げの戻らないお店については休業させることとの比較検討が重要です。
休業させることで従業員の働く動機が失われかねない、店舗に休業のイメージが定着してしまうなど、その判断は単に一時的な損益だけで判断できるものではないというのは大変良く理解できます。
あくまでここでは譲渡を検討される方向けに言いますが、やはりキャッシュの流出が少ない方が優先されるべきです。
今後もし第二波、第三波が発生してしまい、再度緊急事態宣言が出されるようなことがあれば、休業し、固定費をできる限り最小限に圧縮し、できる限りの助成金・補助金を取得することが賢明です。
そして、再稼働したときにスタートダッシュできるよう、従業員の動機やお客さんを取り戻す方法を考え、準備すべきだと思います。
休業要請が出ればいとも簡単に100万円~1000万円単位のお金が流出していきますが、これを譲渡時に取り戻すのは至難です。
また、もし譲渡判断をされるなら、早めにご決断されることをお勧めします。
今後しばらく買収候補企業のM&A意欲は上下に波を打つと考えます。
感染者が減って街に人が戻れば意欲が戻り、感染者が増えてまた休業要請などが出てしまうと意欲が落ちます。
この買収意欲の波線は右肩下がりになる可能性があると考えています。
買収候補企業も多かれ少なかれコロナの影響は受けていますので、長引くほど自社の体力が失われ、投資できる環境が失われるためです。
また、譲渡判断が遅くなればなるほどキャッシュの流出が多くなる可能性がありますし、長い期間業績が戻らないとすれば、将来的観測はより悲観的にならざるを得ません。