和牛とは? ~日本で生まれたアフリカ象はニホン象になれるのか?~
お肉。おいしいです。
和牛。魅惑的な響きですよね。(笑)
和牛のおいしさというのは脂の甘味と肉の柔らかさにあるといって過言じゃありません。
某有名なグルメ漫画に『牛の脂は口の中で溶けない』とまことしやかなウソを書いておりましたが、
ちゃんと育ててある和牛は、室温でも溶ける脂肪酸を多く含んでおり、
よっぽど悪い粗悪な和牛か、偽装された外国牛を食べたに違い
ありません。
そのグルメ漫画は、結構噴飯もののウソが多いですね。あの漫画は、
どこにウソが書かれているのか、ウソを見つけた時にツッコミを
入れるというのが本当の楽しみ方というものです。(笑)
さて、牛の美味しさ、美味しい牛の見分け方はまた別の機会に書かせて
いただきます。今回のお話を記憶の片隅にでも入れていただいたほうが、
きっと理解していただけるかと思いますので。
今回は和牛についてです。
モウ?呼んだ?
『和牛』と聞きますと、『純国産』『美味しい』『高い』と思われるかと
思います。大体は当たっておりますが、実は意味がちょっと違うのです。
同じような言葉で『国産牛』というのもあります。
『あれ?こんなのあったっけ?』『なんか見たことあるかも』
中々気にしませんよね。
スーパーに行きますよ、オーストラリア牛などと一緒に大体和牛と
国産牛が並んでいます。
実は、和牛とは国産の牛という意味ではなく品種名なのです!
あら?そうなの?
和牛というのは、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の
4品種のことを指し、和牛表示のガイドラインでは、これら同士
の掛け合わせ、掛け合わせたものとこの4品種との掛け合わせ
までを和牛と呼ぶこととされております。
農林水産省 和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン
http://www.maff.go.jp/j/study/katiku_iden/06/pdf/ref_data2.pdf
これらの牛は、日本古来の牛というわけではなく、明治時代に
日本古来の牛と西洋の牛とを掛け合わせたもので、日本古来の
牛は、ほとんどいなくなってしまいました。
(鹿児島県口之島産の口之島牛と山口県見島産の見島牛だけ)
国産牛というのは、その名の通り日本で育った牛のことで、
1.乳牛だったが、乳の出が悪くなったので食肉に回されたもの
2.親のうちどちらかが和牛であるいわゆる雑種
と大まかに分けると2つに分けられますj。どちらにしても、
日本で3か月以上育てた牛のことで、
育った場所を表す言葉で、和牛そのものを指すわけではありません。
厳密にいうとちょっと違うのですが、日本の動物園で生まれ
育ったアフリカ象でも『ニホン象』ではないし、ドイツで
生まれ育ってもアフリカ象のまま、のようなものです。
本来の意味からすると、和牛とはどこで生まれどこで育とうが
和牛のままなのです。
実際に外国産の和牛というのも存在し、アメリカ国内で流通
しています。ただ、日本の場合は食肉流通業界の自主規制と
農林水産省の指導によってそのまま『和牛』として流通する
ことは無いようです。
今のところ日本国内で『和牛』と名乗れるのは、厳密な
管理をして日本国内で育てた血統的にも和牛と名乗れるもの
だけです。
なのでさらにややこしい話になるわけです…。
図式で書くと
国産牛≧和牛
となります。
こういうことをするから余計に混乱が広がるような気も
するのですが、今の日本ではこういう状態になっております。
国産牛と和牛そのものにはこんな違いがあった、というお話
でした。
ちなみに、国産牛だからと言って和牛より味が必ずしも劣る
わけではありません。牛の味は育て方にかなり左右されますので、
絶対的な味の優位というのはありません。
こういう事実もまた、消費者に知らせるべきではないかと思います。
国産牛には、さらにさらに深い話が…。それはまた別の機会にでも。
にほんブログ村