新型コロナ感染者の増加を受けて、東京都は医療機関に感染者の受け入れ等を要請する事に決めた。


要請を受け入れない機関には勧告を、そして最後は医療機関名を公表するという。


本当にバカ。


新型コロナ感染者が病院から溢れ、「制御不能」な状態になっているので、その危機感を理解して貰うための措置との声も聞かれるが、要はこれまでの自分達の無策を、最も頑張ってくれている医療機関に責任感転嫁しているに過ぎない。


そんな緊急事態下でオリンピックもやったし、パラリンピックは今日もやってるんだよね?


そのツケも病院に回すの?


そもそも、新型コロナに対応するための「野戦病院(という呼称は私は好きではない。仮設病棟が妥当では?)」を作るのは世界中が1年以上前にやっていた事だ。


それを日本だけが未だに迷っている。


政府自民党が無能だからだ。


そのツケを、まだ新型コロナ患者を受け入れていない病院に押し付けようというのだ。


新型コロナ患者を受け入れていない病院は「悪」ではない。


それぞれが病院として採算を取らなければならないのだから、新型コロナ患者を受け入れないというのも当然の選択肢だ。


こういう事態を想定せず、公立病院を次々と潰した政府の責任だ。


自民党の票田である日本医師会が仮設病棟に反対しているとも言われているが、いよいよ医師会も知らんぷりはしていられない状況となった。


様々な理由はあるが、政府は国立病院や国立大学病院を独立行政法人化し、つまり「もう政府は補助しないから、あなた方は自分で自分の食い扶持を稼いでね」と突き放した。


政府の補助でも受けていれば新型コロナ患者も受け入れるが、独立採算でコロナ患者を受け入れたら病院が潰れてしまうかも知れない。


でも政府も誰も助けてくれない。


コロナ病床一床に付き1,000万円とか2,000万円の補助金を出すと政府は言っていたが、高機能の人工呼吸器は1,000万円を越える。


土地建物やその他の設備、人員を考えたら2,000万円では全く足りない。


都立病院を潰しまくったのは石原都政だ。


それをコロナ禍で都立広尾病院から200人の妊婦を追い出し、新型コロナ病棟に変えてしまった。


有事に備える事を知らない石原都政が招いた悲劇だが、その息子の大臣は無症状感染なのに平気で入院した。


父親が東京都のベッドを減らしまくったのに、息子がその貴重なベッドを埋めてしまう。


最早ブラックジョークだ。


以前も書いたが、日本の医療体制は、欧米に比べて感染症病床や集中治療室が少ない。


急性期病床は多いが、それに見合う数の医師が揃っていない。


そもそも30年以上前から、ホームドクター制に移行するべきと政府は話している。


体調が悪くなったらまずは「かかりつけ医」にみて貰い、症状に応じて専門病院を紹介して貰う。


これにより、「2時間待って5分診療」という地方病院の不便さが解消される。


だが誰がかかりつけ医になるのか?


かかりつけ医は総合診療医としてあらゆる病気に精通していなければならないし、医師の少ない地方都市では24時間営業を強いられるかも知れない。


規定の診療報酬しか受け取れなければ、収入はどうなるだろう?


これ以上「医師の頑張り」だけに頼っていてはダメだ。


問題点や課題はいくらもあるが、この30年余り日本の医療行政は全く進んでいない。


その結果を新型コロナが炙り出してくれた。


これまでの無策を国も都政も、ギリギリで頑張ってくれている医療機関に押し付けようとしている。


考えられない暴挙だが、厚顔無恥な政治家は何でもアリだ。


もうこれ以上医療機関に迷惑をかけないで欲しい。


医療従事者の皆さんは本当にギリギリの所で踏ん張ってくれているのだから。