この話はノンフィクションです | ひかりのくに

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3限終了後、














私は財布を持って購買へと急いでいた。



朝、弁当を作る時間がなかったため昼食を持ち合わせていなかったのだ。






購買のパンはすぐに売り切れてしまう。


特に甘くないパンは昼休み開始10分後でも残っているか危うい。























廊下を早足で進み購買の前へ。


すでに凄い人だかり出来ていた。







購買、といってもテーブルが一つあるのみで屋台の様な販売形式。


勿論レジなどある訳もなく、よくあるクッキーの缶がそれ代わり。



缶の中に次々と吸い込まれていく小銭。



チャリン、チャリンと金属同士がぶつかる音は止まない。









そのテーブルに並んだパンを皆が我先にと奪い取る。






















私は人をかきわけて塩焼きそばパンとコロネを掴み、販売員にやっとのことでパンを手渡した。








「215円です。」






その言葉を聞いて財布を開こうとした私は思い出す。





























5000円札しか財布に入っていない事を。













ここがコンビニならば何も問題はない。



しかしここは学校の購買。




クッキーの缶が響かせているのは



・・
小銭の音のみ。








4000円のお釣りなど

返ってくるはずがなかった。










「…?215円ですよ。」








出すに出せない一枚の紙。










途方に暮れる私の目には、虚空を見つめる樋口一葉が妖しく笑っているように見えた。