
(2026年追加情報有)『マスターキー 数学I・A・II・B+ベクトル』(河野玄斗著)のレビュー
(2026年最新版の追加情報あり)
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。KATSUYAです。
今回は珍しく、参考書レビューをしてみたいと思います。今回レビューしようと思ったのは、
ひさびさに私に刺さったから
です。同時に、だからこその物足りなさも感じました。
今回はそのあたりを、KATSUYA独自の観点から述べていきたいと思います。
目次(リンククリックでたぶん飛べます)
手っ取り早くレビューが知りたいなら、3.からどうぞ。(出来れば最初から見た方が流れは分かりやすい)
1. 最初に
まず、私は『マスターキー 数学I・A・II・B+ベクトル』の著者である河野氏とは特にかかわりはありません。言語化に非常に優れている方、そして複数科目で超ハイレベルな実力を持つ方として、私が一方的に彼を尊敬しているだけです。
従って、回し者でもないし、忖度もないです。もちろん、悪く言う意図もまったくありません(そもそも、悪く言いたくなる参考書はレビューしない)。それだけ最初に断っておきます。
2.今回レビューを書くに至った経緯
あまり参考書レビューを行わないですが、今回書こうと思った経緯を少しお話ししておきます。
2.1. 参考書レビューを最近しない理由
これまでも新しい参考書は次々発売されていますが、参考書レビューはほとんど行っていません。というのも、なかなか個人的にしっくりくるものがなかったからです。
宣伝になりますが、私自身も、自ら数学の参考書(問題集)を販売しています。
★高校数学の参考書『Principle Piece』シリーズ★
(※ここでは詳しく述べません。興味が湧いたらこちらの拙著の説明動画へどうぞ)
「こういう参考書が受験生時代にあればな」と思って作ったインプット用(解法パターン習得用)の参考書で、個人的にはこの本は良書だと思っています。(自分の本なので、当たり前です)
そして、非常に偉そうなことを言うと、「拙著を超えるぐらい良書だ」と素直に認められる本が出てこなかったため、レビューをしませんでした。
というより、他の本をレビューするぐらいなら、少なくとも自分では良書と思っている拙著シリーズをおススメするよってことです。
2.2. 『マスターキー』が拙著の自信に
今回発売された『マスターキー 数学I・A・II・B+ベクトル』は、個人的にひさびさに刺さったと冒頭で書きましたが、拙著を超えると素直に認めるというよりは、拙著と同じスタイルだったからです。
誤解を招きそうなので先に言っておきます。私がパクったわけでもなければ(拙著シリーズの方が販売が先)、相手が真似したとも微塵も思っておりません。
むしろ、あの河野氏と同じような文言でパターンを言語化している拙著シリーズに、より自信が持てるようになりました。
言い換えると、
神脳と言われ、何より実績のある人から言語化されて出てきたもの
(『マスターキー』では「パターン」の部分)が、
拙著シリーズの「Principle Piece(原則)」に書かれている文言
と似ている部分が多かった
そのため、私にはかなり刺さると同時に、神脳の脳内と自分の言語化の答え合わせをして、思ったより自分の得点が高そうだと思えたってことです。
そのような経緯を経て、今回は『マスターキー 数学I・A・II・B+ベクトル』について、一部拙著シリーズと比較する形で所感を述べようと思い、筆を執りました。
3.『マスターキー 数学I・A・II・B+ベクトル』の書評
前置きが長くなってすみませんが、ここからメインのレビューに入ります。
マスターキー 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B+ベクトル(出版社のサイト)
(amazonサイト:アフィリエイトなし)
3.1.大まかには2部構成
『マスターキー』は、大きく2つに分かれて構成されています。
前半:解くうえで考えるべき「パターン」一覧+それが適用できる代表的な問題
後半:前半の「パターン」を組み合わせて解く演習問題
です。前半がインプットの章、後半がアウトプットの章と言えるでしょう。
3.2.レベル感・対象者
これ以降、3.1.の前半と後半に分けて述べていきます。
前半(インプット)は原則習得書レベル~入試基礎レベルといえます。従って、初学者向けではなく、最低でも教科書+ワーク等で一通りの学習を終えた人、出来れば原則習得をある程度終えている人が対象です。
後半(アウトプット)は入試標準演習レベルです。前半で書かれている解法パターンがいくつか組み合わさった問題が精選されています(過去のKONO模試の問題や、赤門道場の問題も)。実戦形式で解法パターンを自分で使っていく練習ができます。
※原則習得レベル:青チャートなど
※入試基礎レベル:1対1対応など
※入試標準レベル:プラチカ、canpass、重要問題集など
を指します。詳細はリンク(私の姉妹サイトです)を踏んでください。
3.3.問題量・解説
前半の「パターン」は160弱あります。IAIIBベクトルすべて合わせてなので、個人的には少し少なく感じます。また、そのうち問題付きのものは半分強で、60パターンほどは、「パターン」のみがずらっと並んでいます。
この「パターン」が本書のコアでしょうし、個人的にも良書だと感じた一番の理由です(3.4.にて詳述)。だからこそ、「全部問題付きにしてほしかったなぁ」という物足りなさは感じてしまいました。(本当はそうしたかったのではないか、と好意的に見ています)
※追記(26/06/19)
後半の60パターンに関しても、動画で対応する例題が順次追加されるそうです!これはかなりいい改定だと思われます。
後半の演習問題は80題ほどです。こちらは前半ほどではないですが、もう少し多くてもよかったのかな、と思っています。
後半については、解説の随所でどのパターンを使っているかが書かれていて、パターンの組み合わせ方が可視化(言語化)されている所が大きな特徴です。
3.4. 私に刺さった部分は前半の『パターン』
本書が私に刺さった理由は、『マスターキー』内の「パターン」の部分にあります。
このパターンの多くの部分で言語化の仕方が、拙著『Principle Piece』シリーズのコア部分である「Principle Piece」とすごく近しいものを感じました。
こちらのリンクからサンプルが見れますが、その部分を抜粋します。
例えば、『マスターキー』の パターン1には、次のような文言が書かれています。(上のリンクのサンプル9/34,13/34)
1 方程式1つにつき、文字は1つ消せる
一方で、拙著『Principle Piece 数学Ⅰ~2次関数~』のp.47は、次のような原則(Principle Piece)があります。(こちらは自分の本なので、そのまま引用)
他にも見てみます。『マスターキー』の パターン26 はこんな感じです。(サンプル9/34)
26 対数方程式・不等式では、まず真数条件と底の条件を確認して、次に底を揃えよ
拙著『Principle Piece 数学Ⅱ~指数関数・対数関数~』のp.24,およびp.32にある原則(Principle Piece)はこんな感じです。
もう少しマイナーなものも。『マスターキー』のパターン116について(サンプル11/34)
116 多項式の関数方程式は、次数と最高次の係数を比較せよ
一方、拙著『Principle Piece 数学Ⅱ~微分法~』のp.58,p.59の原則(Principle Piece)は次のように書かれています。
aとnこそが、次数と最高次の係数に他なりませんので、考え方が似ています。
こんな感じで、私も似たようなスタイルで拙著『Principle Piece』シリーズを書いているので、個人的にはすごく分かりやすいと感じましたし、
やっぱりそういう風に言語化するよね!
って感じで、本書のスタイルに同意を得られたように(勝手に)思えて、拙著の良さにさらに自身を持つことにもつながりました。
3.5. 刺さったからこその物足りなさ
上のような理由で、本書は良書だと個人的には思います。
ただ、やはり量が少なめなことが唯一のデメリットと感じます。『マスターキー』のパターンの数と、拙著の原則の数(IAIIB+ベクトル)を比べてみます。
- ・『マスターキー』の パターン の数:157
- ・『Principle Piece』の原則(Principle Piece)の数(IAIIBベ):447
なお、拙著は初学者がイチから勉強する用で超基礎から書かれているため、一概に数だけで比較することは出来ません。
また、拙著では2つに分けて原則にしていても、『マスターキー』だと簡潔に1つにまとめてあったりします。
ただ、それを差し引いても、もう少し網羅性があってもよかったのかなと思います。
また、拙著が全ての原則について例題付きだからこそ、個人的には河野氏による全パターン解説を問題付きで見てみたかったという思いがあります。
※追記(26/06/19)
後半の60パターンに関しても、動画で対応する例題が順次追加されるそうです!
個人的には、以下の2つが満たされた状態で(分冊でもいいので)販売されていれば、間違いなく即★5を付けたと思います。
- ・前半のパターンをもっと増やす+全パターンについて対応問題付き(←対応問題は順次追加予定だそうです!)
- ・後半の問題数が倍ぐらい(150題ぐらい)ある
どちらも1冊に入れようとした結果、どちらにも(特に前半に)物足りなさが残ってしまった、というのが私の感想です。(うまいものはたくさん食べたくなる性格なもので)
せめてどちらかのレベルに振り切って、ボリュームがあればよかったかなと。
量(網羅性)を確保して分冊にすれば、前半を原則習得用に、後半を入試演習用の問題集として、勉強段階に応じて色んな人におススメできるのですが、現状だと
「青チャートとかを終えていたら前半は重複しがち」
「かといって完全未習状態で取り組むにはちょっと絞りすぎかも」
という印象が拭い切れないです。
これらを踏まえて、私目線で、本書をおススメできる人は以下の3つの条件を満たす人になります。
- ・難関大(MARCH)以上志望である
- ・青チャートなどの厚物参考書を一通り勉強している
- ・上の内容がイマイチ定着している気がしない or パターンの組み合わせ方が分からない
これでも当てはまる人は(指導経験上)結構多そうですけどね。
3.6. 勉強法(使い方)
3.2.で述べた通り、ある程度原則(パターン)を習得している人が対象。その上で使い方としては
前半は以下の手順がいいでしょう。
- 1.言語化で意識を顕在化させるために読む(←熟読)。ただしパッと見で解けないものはちゃんと解く
- 2.自分の持っている問題集でもパターン該当問題を確認
2.の作業が意外と重要。これがスッと出来ないようなら、体系的にパターンが頭に入っていないです。最初は少し時間がかかってもいいので、そのパターンに該当するであろう代表問題を探す or 思い出す癖をつけましょう。
後半は一般的な演習書とほぼ同じです。
- 1. 1問につき、時間をある程度決めて取り組む。その際、どのパターンを使っているか明確に意識する
- 2. 解説で、何のパターンを使っているも含めて確認する
パターンの組み合わせ方が解説に書かれているのが大きな特徴ですので、そのメリットを存分に活用する方向で取り組みましょう。
4.まとめ:私の自信になった+大盛・特盛で食べたかった
拙著にスタイルや言語化の仕方が似ているという理由が大きいですが、私には久しぶりに刺さった良書でした。同時に、拙著『Principle Piece』シリーズもさらに自信を持っておススメできると思えました。
結論として、これから入試数学を始めようと思う人にとっては、『マスターキー』は手元に置いておいて損はないと思います。
欲を言えば、もっといろんな典型問題で言語化されたパターン、もっといろんな演習問題で組み合わせ方を見てみたかったですね。
おいしいラーメンなのに、並盛で満足することはごめんやけどムリってこと。
しかし、替え玉が食べられる(続編が今すぐに出る)ことは期待薄です。現状では本書を足掛かりに、他の問題(数ⅢCなど)については自分でパターンの言語化、組み合わせ方を試みていくというのが、本書を利用した最善の勉強の仕方になるでしょう。
『マスターキー』前半のパターン的なものをもっと見てみたいという方は、拙著『Principle Piece』シリーズもおススメです。拙著は数Ⅲ・数Cや統計も含めて全分野そろっています。
★高校数学の参考書『Principle Piece』シリーズ★
(詳細は拙著の説明動画へどうぞ)
また、後半の演習が物足りないと思った人は、私のYoutubeチャンネルを活用することで、『マスターキー』でいうパターン(私の動画では原則(Principle Piece))の組み合わせ方はたっぷり学べます。
ということで、最後にちゃっかり自分の宣伝を挟んだところでレビューを終わりにします。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。



