邦題:ハウス・ジャック・ビルト
38点。
 
お断り)当映画が好きな人には大変、申し訳が無いのですが…。
「何これ、バッカじゃないの。しょうもな。」
 
 
〜あらすじ〜
1970年代のアメリカ・ワシントン州。ハンサムな独身の技師ジャックは、車の故障で雪道に立ち往生していた女性を修理工場まで送り届ける。しかし、その女性の傲慢な振る舞いに怒りを爆発させ、彼女を工具で撲殺してしまう。以来、アートを創作するかのように殺人に没頭するようになり、見知らぬ他人から恋人まで、手当たり次第に惨殺していく。
(※ムービーウォーカープレスより抜粋)
 
 
以下、ネタバレ。って言うか…。
 
 

 
↑当映画のタイトルはマザーグースのわらべ歌から。性根が悪い。
 
 
□例えば、モナ・リザに髭を書いたら?
かの、レオナルド・ダ・ヴィンチ〝モナ・リザ〟は、私のような芸術に疎いものでも理解出来るくらいに、誰に否定されることは無いであろう美しい作品です。この複製画を用意して、彼女の口元に髭を書き加えて〝L.H.O.O.Q(彼女はお尻が熱い)〟と題した、マルセル・デュシャンの現代アートはどうでしょうか?
 
 
因みに、競売で8500万円で売れたようです。美術品は投機的な側面を持ちますので、一概に作品の価値を測るものでは無いですが、これは、レオナルド、モデルのリザを愚弄していると捉える人も、中には居るんじゃないのって思います。少なくとも私はこれをお金を出してまで欲しいと思わないです。
 
 
□当映画で一番の拘りを感じるビジュアル部分につき。
ウジェーヌ・ドラクロワ〝ダンテの小舟〟は下記引用を絵画にしたもの、それを映画内にて人物配置を模倣して、その内容に沿ったものです。引用の引用の引用です。
 
 
―優れた師は私に告げた、
「さあ、息子、いよいよディースという名の都市が近づいてきた。そこには重罪人たちと悪魔の大軍が控えている。」
 私は言った、
「師よ、もう尖塔の数々があの中、谷の中にはっきりと見えます。まるで炎から取り出したばかりの(灼熱の鉄の)ように真っ赤です。すると師は私に言った、
「この下層地獄の中でおまえの目にする通り、内側で燃えさかる永劫の火が、尖塔を赤々と染め上げているのだ。」
 
(解説)ダンテ「神曲」地獄篇第8歌より抜粋。
 
美しき構図を模倣したとて、それに価値はありません。まして、サイコパスの殺人鬼のお話です。私にとっては、モナ・リザに髭を描く行為と同様としか思えない。芸術は人間が生むものではあるけど、人間自体はただの肉袋って思っている私には、それが芸術とも思えなくて、アートの材料としての理解も出来ない。ってか、何かを作る材料の選定、構想ほどに楽しいことって無いんだけどな。
 
 
□サイコパスの殺人鬼が地獄に落ちる物語。
勧善懲悪ものとして、納得出来るものでも無いです。一部、見せつけるようなえげつのない描写もありますが、基本は、血みどろを見せる映画では無い。勿論、アートとして理解するものでも無い。60人以上の殺人を犯すサイコパスに共感出来るものでも無い。無い無い尽くし。胸糞にもなりませんでしたが、つまりもしませんでした。
 
 

切っ掛けの無礼な女性は、殺すんじゃなくて降ろすのが普通ですよ。

 
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