floral installation vol.2 『心に描く花』

~能舞台・日本庭園とのコラボレーション~

2018年1月7・8・9日 こしがや能楽堂

花空間デザイナー 林千恵 個展

https://www.flickr.com/photos/163857984@N04/show/

 

 

 

 

 

 

【Place1 花材について】

時節柄、歳寒三友(さいかんのさんゆう)松・竹・梅を用いました。

松と竹は寒中にも色あせず、また梅は寒中に花開く。

 

●松:能舞台の鏡板に松が描かれているのは、松が依代となって神仏や霊が一時的に姿を現す「影向(ようごう)」

という概念の視覚化。松に、ある種霊性が感得されるという伝統がありました。

人間と神、人間界と異界の通路になる「媒介」ないし「霊媒」たることを示します。

 

●竹:節目正しく高く伸びること、四季を通して色が変わらないことから

長寿と子孫繁栄のしるしとして知られています。

竹が古くから人々の暮らしにとけこみ神聖なものとされていたことは、

神の使いであるかぐや姫が竹の中から生まれる「竹取物語」が日本で最古の小説であることからもわかります。

 

●梅:五枚の花びらがそれぞれ福・禄・寿・喜・財の五福をあらわすめでたい植物として文人に好まれました。

「色よりも香こそあはれとおもほゆれたが袖ふれし宿の梅ぞも」古今和歌集 詠み人しらず

梅の花の「色よりも香」というありように美的感興を催している歌

 

●苔梅:古来より神の宿る神木として崇められてきました。

寿命も長く、不老長寿の象徴でもあり、おめでたい席には欠かせない花材です。表面の苔状についているのは、ウメノキゴケ。

 

●柳細長い枝を輪のように結んで作る結び柳は、古きものと新しきものを結び、幸を招き寄せる祈りのかたち。

柳は生命力が強く霊力のある植物とされ、茶花では新年を迎える飾り(結び柳)として用いられます。

 

 

 

個展 見所2(空へのいざない)

floral installation vol.2 『心に描く花』

~能舞台・日本庭園とのコラボレーション~

2018年1月7・8・9日 こしがや能楽堂

花空間デザイナー 林千恵 個展

https://www.flickr.com/photos/163857984@N04/show/

 

 

 

 

 

 

 

【Place2 自作花器 円相】

自分の作品を置かせていただくにしても、何を置こうかと。小さいものとは何か。

考えた末のものが本日の作品となっています。

自作花器といっても、私が手がけたのは用意された土でかたちをつくり、柄をつけ、釉薬を指定するまで。

準備~その後の管理・釜で焼く・色づけなど仕上がるまで全て、陶房の方にお願いしています。

福井 禅寺永平寺近く越前陶工房。

私が日本文化の根底に深く息づく思想と思っているものは、禅の思想に他なりません。

禅の思想を現すといわれる円相をイメージして制作致しました。

 

円相とは:

「悟りや心理・仏性・宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任される。

また、円窓と書いて己の心をうつす窓という意味で用いられることもある」  Wikipediaより

 

「問題は、これらの<かたち>となった心を鑑賞するあなたの心のあり方なのである」

禅-心をかたちに- 町口良敬(花園大学国際禅学研究所所長)一部抜粋

 

 

【Place2 自作花器 制作】

福井から送られてきた箱を開け、花器を手に取った瞬間に、

それは、私の意図をくみ取り、心をこめて仕上げてくださったものということが伝わりました。

越前に移り住み、ものづくりをしながら時を過ごす方。

その方の心と共に。

 

この場は、その日に任せることに致しました。

その日、私は何を想い、何を感じ、何をつくりたいと思うのか。

もしくは、やはり何もつくらずに、この場は皆様の心に託すのか。

今日という天気・その心を、どうぞお楽しみいただけたら嬉しいです。

 

個展 和室(調和・土蜘蛛)

floral installation vol.2 『心に描く花』

~能舞台・日本庭園とのコラボレーション~

2018年1月7・8・9日 こしがや能楽堂

花空間デザイナー 林千恵 個展

https://www.flickr.com/photos/163857984@N04/show/

 

 

 

 

【Wedding Story 4 糸】

2人が好きな演目のひとつ「土蜘蛛」

『私がその舞台で印象的だったのは、役者の品格。頼光を演じられたある流派の家元。

頼光という役柄ということもあり、ただその場にいるだけで醸し出される品格は、

意識的か無意識か、その人がもっているものは溢れ出てしまうようです。

お能の舞台では、その人のあり方、その人らしさがあらわになる、隠しようがないのです』と新郎。

 

2人が習う先生の家で催される「虫干し」という能装束を公開するイベントに参加した時の話

『舞台上ではきらめくごとくピカピカに美しく見えた能装束。実際近くでみてみると、

とても古い感じがします(洗わないので、何十人もの汗がしみ込んでいるらしい・・・)

「艶やかな美しさ」というよりは「心つくされた美しさ」

 

舞台はまさに氷山の一角。

とても地道に堅実に、陰役の人々の支えによって成り立っているのだと。

その場から、装束や小物から立ち上がる空気感がそれを感じさせてくれます。

 

こういう空気の中で育った子供が能楽師として成長し、舞台に立つ。

能楽師のプロフィールには、誰が師匠で誰が親ということが必ず書かれている。

お能で現されるもの・感じられるものは、決してその能楽師本人だけのものではない、

ということがよく分かりました。

 

先人から引き継がれるもの。

さらに、それに関わった能楽師ひとりひとり・陰役の方々の心と魂が宿り、

それらが相まって、表現やエネルギーとして現わされている。

それゆえ、ひと声で時間をさかのぼることができ、室町時代までワープさせてくれる力がある。

 

650年もの間、それが繰り返され、シテ方の家・ワキ方の家・囃子方の家・・・

それぞれの家の個性があり、それが融合し舞台として現される。

その能楽師から発せられるものから、過去をさかのぼることができ、

それを受け継いできた人々の心を感じることができる。

ゆえに、真実に道を究めようと向き合い、鍛練する役者の舞台を見るにつけ、

感動し励まされるのです』と2人は話します。

 

土蜘蛛といえば、やはり糸の演出が印象的。

そんな糸の舞台演出の美しさを、竹ひごで表現してみました。

 

 

 

個展 和室(調和・羽衣)

floral installation vol.2 『心に描く花』

~能舞台・日本庭園とのコラボレーション~

2018年1月7・8・9日 こしがや能楽堂

花空間デザイナー 林千恵 個展

https://www.flickr.com/photos/163857984@N04/show/

 

 

 

 

 

【Wedding Story 3 羽衣】

2人が観た羽衣の舞台は「厳島神社能舞台」と「靖国神社能舞台」

 

厳島神社能舞台、夜。光を受けて反射するみなもの中舞われました。

舞台上での、みなもと光の美しさもさることながら、シテ方(主役)の一歩

「運び」に感銘を受けた、と新郎は言います。

『その一歩に込められた全ては、役者の歩んできた能楽人生の深みと、役に現されるものが相まって、

その美しさに魅了されました。

私が何百回・何千回と練習し、一ミリもずれることなく真似をしようとも、それを現すことはできないでしょう』

 

靖国神社能舞台、その日は秋寒 霧雨、一般参拝客が通行する気配の中での屋外能舞台。

『私はその舞台で始めて、全ての調和を感じることができました』と新婦は話す。

『その舞台を観るまで、私はシテ方を中心に舞台を観ていました。

ですがその日は、ワキ方・地謡方・お囃子方・後見方、舞台上の全て、

そして、その日の天気・まわりの気配、その場の全てが感じられてくる。

そんな中で舞われる羽衣は、その全てをシテ方が感じ、調和させている。

観客が舞台に集中しきれない屋外での舞台が前提にあり、

その経験多きシテ方は、全てを受け入れ、その日にできる最高のパフォーマンスをみせる。

見事に天上界のピュアな美しさをみせてくれたのでした』

  

そんな2人の話を受けて「調和」をテーマに作品をつくりました。

今日の天気は、光は、風は、どのように感じられるでしょうか?