こんばんは。
帰省先で満月と伊達政宗像を一緒に撮影しようと思ったら、おもいっきり馬のおしりのドアップになってしまってごめんなさいした汐日です。あけましておめでとうございます。2018年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、2017年3月28日のアルスマグナ様の武道館公演、『私立九瓏ノ主学園 平成28年度 全国生徒決起集会』にて踊っていただいた『zen』を公開しました。



●タイトルについて
『zen』は2016年4月頃、ちょうど『-en-』制作の真っ只中にとまとちゃんが作ってくれた楽曲がもとになっています。
当時はまだ『はなびとたいこ』というタイトルでしたが、今回は
①『ミロク乃ハナ』で登場する「全部ほしい」という歌詞の「全」
②『ミロク乃ハナ』の前奏曲にあたるという意味での「前」
の掛詞(かけことば)でお名前をつけてみました。

●ミロク乃ハナとのかかわり
今回のお話をいただいたとき、まず何よりも嬉しかったのは『ミロク乃ハナ』に繋がる楽曲として制作できるということです。
はじめてアルスマグナの皆様のライブに赴いた帰り道、『ミロク乃ハナ』のメロディがどうしても頭から離れず、「あの曲は何て言う曲だったんだろう?」ととても気になってしまいました。
その後、アルスマグナ様の動画をガンガン拝見させていただき、ようやっとたどり着いたときから『ミロク乃ハナ』というタイトルは私の中で忘れられないワードになってしまいました。
それから何か月か経ち、何の前触れもなくいただけたお話だったので、本当にびっくりの一言です。しかも、曲に合わせて剣舞を踊っていただけるという夢のようなプログラムが予定されていました!
(アキラさんは歌の準備があったので、武道館公演の際は残念ながら剣舞を拝見することはできませんでしたが、心の中ではちょっぴりアキラさんの剣舞も見たかったなぁ……と思ってました(笑))

というかんじでこの時点ですでに、楽曲のラストは『ミロク乃ハナ』へバトンタッチすることが決まっていました。したがって、終わりのタイミングでアキラさんが天岩戸から出て来て、あたかも暗い舞台の上に太陽の光が差し込むような光景をイメージして作っていました。

●剣舞について
近頃は刀剣乱舞の舞台やMMDなどの影響もあって、日本の伝統的な武器を使った舞を拝見する機会は増えてきました。
そんな魅力的な剣舞を、アルスマグナの皆さまに踊っていただけるだけでも幸せなのに、そこに楽曲を通して関わることができるなんて……

舞い上がりそうな気持ちは極力抑え(笑)、いつも以上に気を引き締めて臨むようにしました。

一番大切にしたかったのは、刀という武器が持っている緊張感のある存在感を、けっしてこわしてはならないということです。
人を傷つけるために在るにもかかわらず、月明かりを受けて閃く刀は、時に人を狂わせるほど美しいと聞きます。
それを使ってアルスマグナの皆さまが舞うということが、果たしてどういう意味を持つのかを考えたとき、この舞台の特殊性を成立させるための『物語』が必要だと思いました。
だからこそ『zen』は音という信号を通して、例えばお店から漂うお香の薫りのように、はたまた吹き抜ける風や静かな月光のように、人々の心に感情的な何かを呼び起こすファクターであってほしいと願っています。
音の端々から、ほんのりとお香の匂いが漂っていたら嬉しいです(*´ω`)

●それぞれの武器について
さて、今回特に意識したのはメンバーの皆さまそれぞれが操る『剣』についてです。お一人一人の個性にとてもよく合った武器だったので、実際に武器を振るわれるお姿を想像しながら、動きに合ったメロディと切り替わりのタイミング、そして皆さまのカラーに合ったフレーズを両立させることに力を注ぎました。


①00:30~
佇まいの美しさを「魅せる」ケントさんの舞をイメージしたメロディです。
神秘的な気配を、『-en-』のときと同じ琴のトレモロの音色で表しています。
②00:57~
映像とは少し異なりますが、奏さんをイメージしたフレーズです。
月明かりがすっと差し込む静謐な空間と、そこに佇む泉さんのイメージを響き渡る笛の音で表現しました。
③01:22~
どっしりとしたウィトさんの剣舞をイメージしたパートです。
ダイナミックさを表現するため、あえて歌舞伎で使用される「拍子木」や「附け打ち」の音だけを使用しています。
④01:46~
軽やかに飛び跳ねるタツキさんをイメージした部分です。
後半に出て来る、ぽんっと弾むピチカートの音色で可愛らしさを表現しています。

●歌詞について
さらに、せっかく和の世界を表現するのであれば、そこに何かしらの伝統的なソウルを取り入れたいと思い、和歌でいうところの“返歌”のつもりで作詞をしてみようと思い付きました。
『ミロク乃ハナ』を歌うアキラさんって、とっても情熱的ですよね。「君がほしい」「すぐ行こう」と、表向きでは強気に女性へ呼びかけているのですが、ほんの一度だけ「信じていい?」と縋るように問いかける部分があって……その一抹の弱さに強く心を打たれました。
そのため、今作では『ミロク乃ハナ』で旅立つ女性の思いを想像しながら、神様の持つ「揺らぎ」と「人間らしさ」を描きたいと思いました。

歌詞の中の「えにしの糸たぐり」「祭囃子に誘われ」は『-en-』を、「ひたかくした想いの花」は『言ノ華』をそれぞれ象徴していたりだとか……
「鵲の橋」は『ミロク乃ハナ』の「織姫と彦星と」の歌詞を受けていたりだとか(あのときのウィトさん、かわいかったですね(^^))
あとは、よーく耳をすませてみると、02:08~のコーラスは『ミロク乃ハナ』のサビを、02:52~のピアノは『ミロク乃ハナ』の間奏をそれぞれアレンジしたフレーズになっていたりもしますので、ぜひぜひ探して遊んでみていただけると嬉しいです!

●『-en-』とのつながりについて
前作『-en-』ではもっと人間離れした、それこそ浮世から外れた神様のイメージを表現していましたが、『zen』はそのとき描いた「神様が天から降りて来て、人々を『この世非ざる場所』に連れてゆく」という物語を少なからず引き継いでいます。
あえてアルファベット表記にすることで、『-en-』の延長線上にある物語、という意味を強くしてみました。

●ボーカルについて
『-en-』はたくましさと力強さをテーマにして作っていましたが、女性目線を意識した『zen』では「あどけなさ」と「色気」をテーマにしています。
メインボーカルを務めてくださったVY1さんは、透明感のある歌声で儚さと物悲しさを表現してくださいました。
桜の大木から神隠しされる少女、というイメージで動画イラストを制作したのですが、最後の「もういいかい、まぁだだよ」の声が本当に無邪気な幼い少女のようで、歌声を聴くたびに胸がつまったように苦しくなります(/_;)
一方、ラスサビを盛り上げてくれたのはアルスロイドくんとUTAUの戯白メリーさん。二つの異なる世界から互いに呼び合うようなイメージで旋律を絡ませています。

●おわりに
こんなふうにあれこれと想像を膨らませ、皆様と一緒に公演を拝見させていただいたわけなのですが……
いざアルスマグナの皆様の剣舞を目の当たりにすると、今度は己の想像力の限界を思い知るばかりでした!(爆)
無地の背景の上、メンバーの皆さまの姿はほぼシルエットのみまで削ぎ落されていたので、逆にその佇まいの美しさや神々しさが際立っていて……(ノД`)・゜・。
最初から最後まで身体だけでなく心が揺さぶられ、鳥肌が止まらなかったです。

最後にミロク乃ハナのイントロに繋がった瞬間、会場から聞こえた皆様の歓声は、きっとこの先もずっと忘れることができないと思います。
アルスマグナの皆さまと、アルスメイトの皆さまには、本当に幸せなひと時をいただきました。重ね重ね、ありがとうございました。

今年はまだ始まったばかり、なんだか不思議な気持ちがいたしますが、アルスマグナの皆さま、アルスメイトの皆さまからいただいたたくさんのエネルギーを胸に、新しいこと、楽しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思います。
どうかことしもよしなに、よろしくお願いいたします!(*´▽`*)