29年度 中小企業診断士 二次試験 事例Ⅰ
菓子メーカーA社、会社のビジョンは「売上30億の中堅菓子メーカーになること」。
今は「地元」でしか展開してないが、新商品を開発して全国展開したい企業。
第3問
A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略的メリットを生み出したと考えられるか。
「工業団地」といっても、様々な目的で様々な形態のものが作られるので、それによって得られるメリットは異なるだろうし。。。与件文にはその「工業団地」は「地元の企業を誘致対象とした工業団地」という情報しか無い。
まず、県外からの企業を誘致するパターンだと、助成金や補助金などがたくさん得られるだろうが、地元の企業を誘致対象というパターンではそういうのはどうだろうか? 殆ど無いんじゃないかな? と思った。
せいぜい同規模の工場を個別に建てるより、割安で土地を入手できるという程度じゃないかな。
A社は新工場にて「その新工場は、食品製造の国際標準規格であるHACCPに準拠するとともに、銘菓といわれたかつての商品に勝るとも劣らない品質や食感を確保し、現在の3種類のラインナップの焼菓子を日産50,000個体制にまで整備した。」とある。
まずちょっと気になったのは「HACCP」だが、特に意味はないだろうと考えた。ここの記述は、単に「今現在、商品の生産面に関しては問題ない」と強調しつつ、A社に今現在残っている課題が何なのかを考えさせようとしたに過ぎないと思う。
工業団地に移転してから量産体制が整って業績が一気に伸びたのであれば、ここは「規模の経済」のメリットとか考えられるのだが、A社は「創業直後から一定水準の売上を確保(略)、年を重ねるにつれ売り上げを伸ばし続け、今日の規模にまで成長したのである。」とあり、さらに「2000年代半ばには増資して、手狭になった工場を、そこから離れた郊外の、(略)工業団地に移転させた」とある。 つまり、手狭ではあるが既に工場は持っていたわけで、新工場が生産量や売上高にダイナミックな影響を与えたような要素も与件文からは見られない。
また、「人手による作業であった製造工程を大幅に変更し、自動化によって効率性が高められるようになったのは、現在の工場が完成する2005年であった」とあるのだが、ここも紛らわしい。ここの記述は「自動化」ができたのは2005年、そして「現在の工場 (工業団地) が完成」したのも2005年だと判るが、A社が工業団地に「移った」のは2005年だとは書いてない。仮に同じ2005年だとしても、1月頃に移転前の工場において「自動化」は完成していて、12月に移転したかもしれないし、順序が逆ということもありうる。
普通に考えて、新工場のために増資をしたので、増資は移転の前であり、増資も移転も「2000年代半ば」の範囲内に収まるであるということ。 そして新工場「完成」前に全ての「移転」はできない。
私の解釈は、工業団地の建設の話を聞きいて増資し(2004年?)、移転前に「自動化」と「かつての商品と同じ品質」を習得し(2005年?)、新工場へ移転(2006年?)、その後「HACCP」を取得。と考えた。
つまり、生産や売上に関する要素は除外して考えはじめた。
与件文において明らかに新工場移転後に変化したという記述は「HACCP」くらいなのだが、ここでもう一度A社のビジョンが何かと、与件文から見えてくる課題を見つめなおし、その後の問4、問5、の内容を考えると
きっと「HACCP」は関係ねぇ
と判断しました。
そして、もう一度問の内容を確認
第3問
A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略的メリットを生み出したと考えられるか。
うーん。。 「どんな戦略的メリットのために移転したのか?」という問い方ではないよね。
どっちかっていうと、移転して操業してみた結果、「あれ? これって戦略的メリットあるじゃん(笑)」的な、ものかな?
でも、「戦略」ってあらかじめ意図するものであって、事後的に「戦略的なメリットを生み出した」って、変な感じ。何を問うてるのだろうか?
それと、この問い方は「「工業団地、以外の場所」に新工場を構えたら得るのが難しい」ことを指しているのかな?と考えた。
私が書いた答えはこうだ
「共同配送や輸送コスト等の削減」と「他社との密接な交流による情報交換」などの「シナジー効果」について100字で書いた。
これは、A社は既存の商品を既存の市場(地元)でしか販売しておらず、売上30億というビジョン達成のためには新商品を新市場(首都圏をはじめとした全国)に展開しようとしていることを意識しながら考えた。
まず、「共同配送や輸送コスト等の削減」だが、「工業団地」には多数の企業が集まっているので、地元の配送業社側からすると、1台のトラック1人のドライバーで数社分の荷物を積み込めたりして効率がいい。 これによりそれぞれの各企業が個別に契約するよりも割安の配送料で契約することが期待できる。
これにより既存の市場(地元)向けの配送料もコストダウンできているはずだ。加えてこれが東西南北の全国配送する際には、もっと大きな効果を生む。
「他社との密接な交流による情報交換」は、新商品開発や新市場進出のために有効な情報を意識した書いた。
「工業団地」とはどのような特徴があるか、とか一次試験用のテキストに書いてるとこはどこも無いのでは?と思うが、「工業団地」とよく似たものとして「産業クラスター」を思い出した。そしてテキストに書いてあることを思い出しながら絞り出したのが「他社との密接な交流による情報交換」的な回答とした。
過去問の答えのパターンから問1とか2は、与件文に書いてあることを抜き出してまとめるだけっぽいけど、問3あたりから「文中に書いてないことを考えて書く」ものが答えになってくるみたいに思えたので、こんな感じで書いてみた。
本当は「○○化戦略に有効な○○を確保できた」みたいなのが「戦略的メリット」っぽい響きなんだが、しっくりくるものが思いつかなかった。
