一生に何度も観る映画「人生フルーツ」こんな豊かな人生を歩めたらと、涙が止まらない映画・レビュー | 編集者 福田清峰の I Love You

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「5年愛される本づくり、そして10年愛される本づくりへ」をモットーに書籍を編んでいます。
ゴルフとバードウォッチングにハイキング、山登り好きです。
そして写真、ライブに演劇、バレエ、映画鑑賞と美術館めぐりが大好きな編集者&カメラマンです。


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以前、ご紹介した「素敵な本を見つけた:ききがたり ときをためる暮らし/今まで出会った本で一番感動したかもしれない!」の主人公であり著者でもあるつばた英子、つばたしゅういちさんご夫婦の豊かな生き様が映画になりました。

その名も「人生フルーツ」。

 

 

人生フルーツ

製作年:2016年
日本公開:2017年1月2日
上映時間:91分

監 督:伏原健之
キャスト:津端英子、津端修一

ナレーション:樹木希林

 

 
「人生は、だんだん美しなる」
という津端修一さんの言葉が胸に刺さります。
 
山深い田舎で営まれている生活ではなく、名古屋から電車で30分の高蔵寺ニュータウンという、住宅街で営まれている生活だというのが最大の魅力かもしれません。
それが、いわゆる郊外といわれる場所だということ。
その生活は、多くの田舎暮らしに憧れる人々に、答えを教えてくれたような生き方でした。
 

 
私自身、都会生活をしながら田舎暮らしに憧れる気持ちと、田舎暮らしだけでは耐えられない気持ちとが常に葛藤して晩年をどうすごすか考えてしまいます。
田舎に引っ込むわけではなく、都会と田舎のダブル生活をするわけでもなく、そのすべてを叶えた津端夫妻が選んだ道は、最高の選択だったと、心がしびれます。

住宅街でも、各個人の家で木を植えれば街全体が雑木林のようになると、それを実践した生活は、妖精が住むような庭と生活を実現しているのです。
 

 

「風が吹けば、枯葉が落ちる

 枯葉が落ちれば、土が肥える

 土が肥えれば、果実が実る

 コツコツ、ゆっくり……」

オープニングから繰り返される樹木希林さんのナレーションが、映画を見終わるころには、おふたりの生活を走馬燈のように蘇らせてくれます。

発売日は2/28です。 

 
つばたしゅういちさんは、体調を崩されたあと、英子さんに言ったそうです。
「母さん、三度三度ていねいに食べて、ていねいに暮らそうね」

この言葉、「ときをためる暮らし」をしてきた人だから言えるのだと、その重みをかみしめずにはいられません。
この言葉に対し、英子さんは著書の中で、こう応えています。
「特別なことのない、いつもどおりの日常。それが何よりの幸せ」
 


孫の花子さんに、できるだけ外の物は食べてほしくないと、ありとあらゆるおばあちゃんの食卓を冷凍にして送ってあげています。
そんな宝物をまとめたのがこちら。
 
 

お金を残すことはできなくても、この土地を残すことができる……。
お二人の作り上げてきた土地というよりも「土」は娘さんが、お孫さんの花子さんが継ぐと言ってくれているそうな。
 
修一さんは二人で作ってきたこの土地について、こんな風に語られています。
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僕たちは、ここの留守番だからね、そのために耕して、よい土にしておこう。
土をよくすれば、次の世代が僕たちよりも、もっと心静かに暮らせる。
大変だけど、生きている間、僕らは一生懸命やろう。
もっとよくしよう。
お金をいくら貯めても豊かじゃないだろう、母さん。
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この言葉をもって、英子さんはこんな風にまとめます。
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ときをためるって、つないでいくことですものね。
自分たちの世代より、
次の世代が豊かな暮らしができるよう、つないでいかないと。
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よく、お金よりも健康が第一ということを言う人がいます。
でも、みんな今のお金、老後のお金と必死にお金に執着しているはずです。
つばたしゅういちさんと英子さんの生活を見ていると、本当に第一に、誰と一緒にいるか、次にしたいことをしよう、そして健康であればいいんだと、素直に思えます。
 
おふたりのことを知って、地位でも名誉でもなく、お金は最低限あればよく、健康が第一だと、胸を張って言えるようになりました。


おふたりの素敵な生活は、おふたりの著書を読んでもらえれば、存分に味わうことができます。
この微笑みの素朴な美しさに、胸が軋みます。
もしも、もしも、来世があるのなら、どこまでも、どこまでも、つばたしゅういちさんと英子さんが歩んだ「夫唱婦随」という道を目指すことを誓います。


2015年6月2日、朝、修一さんはいつもどおり庭仕事をしていた際、貧血がおきたそうです。
床にごろんとして、少ししてから自力でベッドに移り、英子さんと会話したのち……。
英子さんが台所に戻ってしばらくして戻ってきてみると、手が冷たくなっていたそうな。

映画の中で、おふたりの会話があります。
英子さんは、この年になると、どっちが先に逝くのか心配になると。修一さんを気遣います。
修一さんは、なるようになるから考えてもしかたないと、ひょうひょうとしています。
英子さんは男の人は晩年ひとりにするのはかわいそうだと。

「特別なことのない、いつもどおりの日常。それが何よの幸せ」
この幸せの中で修一さんは天国に旅立ったのです。


修一さんには戒名もつけず、お葬式もせず。
そして英子さんは、いつものように寝ているのかと思うようにベッドに横たわる修一さんに語りかけます。
「待っていてくださいね」
と。

こんな恋がしたいと、ただただ、胸が焦げました。
人生が2度あるなら、この人生は選ばないたろう。
なぜかと問われれば……。
君と手を取り合える人生を選び直したいから。
来世、君と逢えたら、必ず、つばた夫妻を越えるような恋をしてみせるよ。
できることなら、幼稚園の頃から一緒に遊ぼうよってね。
 

英子さん、こんな風にも語っています。
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残念に思っていることがあってね。私から「ありがとう」とお礼を言えずに逝っちゃったでしょ。
結婚してから六十数年、食べさせてもらって不自由なく暮らしてこられたから、逝く前にひとこと、言いたかった。
ふだん、そんなこと、やっぱり言えないもの。
言えない、言えない。
それでけっきょく知らないままに。あっというまに逝っちゃって……。
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「なんか、仲よくなってきたね」と言うと、お父さんも「そうだね」って。
まあ、結婚生活はいろいろなことがあるものですよ。
いろいろあったけど、この結婚はよかったと思います。
こうしてふり返ってみれば。
いろんなことが違いますけど、遠くを見る方向は一緒だったのね。
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英子さんのこの言葉に尽きると思います。
いろんなことが違いますけど、遠くを見る方向は一緒
あれほど、息のあったおふたりも、いろいろな点で違っていたのかと、少々安心感も感じながら、そこにはこだわる必要もないと改めて痛感しながら、でも、でも、どうせなら、あえて「何もかも一緒がいいな」と、思わずにいられません。
 
 
 
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