もう一度観る映画「ライフ・オブ・パイ 〜トラと漂流した227日」不思議なくらいパワーを感じる映画 | 編集者 福田清峰の I Love You

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「5年愛される本づくり、そして10年愛される本づくりへ」をモットーに書籍を編んでいます。
ゴルフとバードウォッチングにハイキング、山登り好きです。
そして写真、ライブに演劇、バレエ、映画鑑賞と美術館めぐりが大好きな編集者&カメラマンです。


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予告編を観たときに、何だかいまひとつな感じがしていたのですが、本編を観てビックリです。
3Dがすごいのか、物語がすごいのか……この作品の秘めたるパワーは圧巻でした。




『ライフ・オブ・パイ』
原 題:LIFE OF PI
製作年:2012年
製作国:アメリカ
日本公開:2013年1月25日
上映時間:2時間7分

監 督:アン・リー
キャスト:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、タブー、レイフ・スポール、ジェラルド・ドパルデュー、アーユッシュ・タンドン、ゴータム・ベルール、アディル・フセイン




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では、感想です(ネタバレあるかもしれません)。

神との対話とかトラがもう1人の自分であり、自分との対話を描いた作品とか、いろいろ壮大な物語も語られていますが、単純に面白いです。

3Dというか、映像もキレイです。
そして、何が気持ちいいって、何だか勇気をもらえるところです。
要所にいろいろな仕掛けはあると思いますが、深読みせずにストレートに観て、十分に楽しめます。

主役のパイが大人になってから、カナダからライターに物語を振り返りながらストーリーが展開します。




前半はパイがなぜパイと呼ばれるようになったとか、いわゆるパイの成長記録です。
ただし、ヒンズー教とキリスト教、イスラム教に感化されていきます。
多感な時期に感じた宗教という不思議な迷宮と神という存在がパイの人生を、ある意味守ったのかもしれません。


父親が経営していた動物園を手放すことになり、動物たちとともにカナダへ移送中に難破して、パイとシマウマ、ハイエナ、オランウータンとトラが救命ボートになんとか残ります。



ちなみに、このトラの名前は、リチャードパーカーといいます。
19世紀に起きたイギリスのヨット、ミニョネット号事件が難破して、17歳の給仕の少年が、船長に殺害され、船員2人らに食人された殺人事件がありました(ミニョネット号事件)。
その少年の名前がリチャードパーカーだそうな。



傷を負っていたシマウマをハイエナが襲い、とがめたオランウータンも殺され、そして、最後にトラがハイエナを襲います。

次は自分の番かと。
パイは救命ボートにあったすのこや手すりを壊して筏(いかだ)をつくります。
荒波にもまれながら生き抜く姿がなぜだかとても圧巻なのですが、それは「生き抜く」という正当性を最大限表現しようとしているからだと思います。
この映画のポイントのひとつは「生き抜く」ことの正当性をどうやって見いだすかということだと思います。



トラよりも強いというところを見せたり、何度もトラを手なずけようとします。




それでもトラ立ち向かってきます。
それは自分の中にいる別人格との対話であり、そして幻か夢想か、現実か……。
子どもの頃に、動物園でトラに興味を持ち友達になろうとしますが、父親にトラは猛獣であり、友だちにはなれないとしかられます。

ハイエナやシマウマ、オランウータンが食べられてしまったという事実、実はラストに衝撃的な告白が待っています。



疲れ切って眠るボートの下を大きなジンベイザメが泳いでいきます。
まるで、神が見守ってくれているかのように。



幻想的なシーンがたくさん出てきます。
夜光虫が波ひとつない海面を覆います。



ザトウクジラが目の前でジャンプをしたとき、その衝撃波で筏に積んであった非常食に大半を失います。



どこまでも幻想的なシーンは、そのすべてが、パイの見ている幻想であり、疲労困憊して見ている夢の世界でもあるのでしょう。



それでもまだ嵐が船を襲い、パイは何かを悟ったかのように神と対話しようと試みます。



そして、たどり着いたのが「人食い島」。
植物でできた島で、ミーアキャットで溢れる島です。
木の枝の中から人の歯を見つけたことで、生き物を食べてしまう島だと気がつきます。
昼間は食料を与えてくれる島ですが、夜になると魚を殺して食べてしまう島だったのです。

これは、昼間の人間と夜になると別の人格に乖離する自分を比喩しているのかもしれません。



そして、食料を積み込んで、島を離れます。



最終的に、メキシコ沿岸に漂着します。



リーチャードパーカーは振り返ることもなく森に消えていきます。



ここからが、物語の佳境なのかもしれません。
あえて、ここを深堀することなく、サラッと描いたところが素敵です。

難破した船の唯一の生き残りのパイに、日本の保険会社から2人の調査員が来て、沈没した事情を聞き出そうとします。

しかし、パイの口から出た話は、漂流しているときのトラたちや浮き島の話であり、調査員たちはそれを信じることはなく……。

パイは別の話をはじめます。
コックと仏教徒と母との4人で救命ボートに乗った話です。
そこで、食べるために人を殺すことが行われた衝撃的なストーリーが展開されます。

カナダから来たライターの言う台詞が大切です。
「シマウマは仏教徒、ハイエナはコック、オランウータンは母、そしてトラは……パイ」

どちらの話にしても沈没した理由はわからないわけですがカナダから来たライターが選んだ物語は「トラたちや浮き島の話」であり、それが神の存在する物語だとパイが微笑みます。

そこに、パイの妻と子どもたちが帰ってきます。
カナダから来たライターが「この物語はハッピーエンドだ?」と問います。
「それはあなた次第」とパイが締めくくります。

生きぬことのたくましさ、辛さ、人間が持つ必死になったときの多面的人格性など、現実的に問うべきことが多いストーリーだと思いますが、神が許してくれたのかと。

深読みしなくても、単純に面白い作品です。

こんなセットで撮影されたそうな。



世界的な文学賞ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」をアカデミー賞監督のアン・リーが描いています。
なかなか見事です。


 

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