オリックス2023 野手 個人的寸評 | 長嶋茂雄の現役時代を知らない君たちへ〜 500のメッセージ〜(俺も知らない)
茶野
育成から開幕スタメンを勝ち取り、4月頃には打率ランキング1位に躍り出る等、序盤は主に1番バッターとして不可欠な活躍をした。特に広島戦で放ったプロ初アーチとなるグラスラは印象的。しかし大不振に陥り7月には二軍へ。
二軍生活を経て、8.2楽天戦ではショートの頭を抜けるサヨナラ打を放った。
しかし復帰以降も序盤のような活躍とはいかなかった。二軍選手として迎えた優勝決定試合では、ビールかけ参加を辞退。翌日のファームの試合に備えた。
ドラフトで指名され、育成から最速で這い上がり、開幕スタメンを手に入れ、シーズン序盤はトップクラスの成績を出し、サヨナラ打も放ち、トータルで見れば充分優勝にも貢献している。この1年でこれだけのことをクリアしてきているのに、茶野は全く満足していない。求道者であるが故に自分を精神的に追い込んでしまいそうで心配だが、真のレギュラーとして優勝に貢献し、喜びを爆発させる茶野が見てみたい。

開幕戦で決勝本塁打を放ち、今年は15ホーマーは打てるんじゃないかと思ったが、終わってみれば2本。21年は9本打つ等身体能力が高いだけにこの辺は残念。今年は不調期が長く、セカンドゴロでのアウトが多かった印象。守備も春先は怪我してるのか疑うくらい精細を欠き、スローイングでのやらかしはシーズン通して見られた。
本人としては中々しんどいシーズンだったと思うが、それでもチームで3番目となる122試合に出場(サードのリザーブが薄いというチームの弱点も浮き彫りになった)して、打率.245。絶不調ながらも最低限の仕事はしているあたり彼のレギュラーとしての意地を感じた。日本シリーズでは好守連発し、本来の宗らしい姿が見れた。

中川圭
昨年復活を遂げ、真価が問われた今年。不調期もあったが、.269で12本、しっかり自分の地位を確立した。日替わりオーダーの中で打席数563は圧倒的チーム1位。茶野がエネルギー切れしてから1番バッターが誰も結果残せず苦しんだが、中川が1番でいい仕事をして、適性の高さを示した。
あとは今季特筆すべきは得点圏打率.322という勝負強さが頼もしかった。

俺にとっての2023年のプロ野球ってなんだったか一言で表すと、森友哉を大好きになった1年だった笑
開幕戦では絶対絶滅の場面から一振りで追いつき、いきなりオリックスファンの心を鷲掴みにすると、その後も本当に大事な場面で打ってくれた。特に9.14仙台で打った決勝ホームランは俺の目の前に飛んできて忘れられないわ。
守備では春先はオリックス投手陣の球に慣れてなく捕逸が目立ったが、徐々に改善。
超大物FA戦士なのに、怪我から復帰後はチームのために外野も守る等、献身的な姿も素晴らしい。
あと、めちゃくちゃ走塁が上手い。このタイミングで次の塁陥れることってできるんだ!って、長年走塁ベタなオリックス野手陣に見慣れたファンは、森の走塁センスには本当驚かされた。足でもチームにいい影響与えている。
そして1番注目して欲しいのは、時折り見せる悔しそうな顔。悔しさと、負けん気の強さと、怒りと、冷静さと、攻撃性が混ざったあの表情できるヤツ、今の球界に他にいるか?いないだろ。これぞ戦う男。本当のバトルフェイスってこういうことやで!

頓宮
昨年初の2桁本塁打を放ち頭角を表したが、今年はシュウィンデルやマーゴの補強もあり、頓宮にとって勝負の年となった。
オープン戦好調だったが、開幕前に離脱。それでも早期復帰して、いきなり代打で貴重な追加点となるツーベースを放ち存在感をみせた。
そっから1年凄かったな。去年まで高めのストレート投げとけば空振ってたバッターが、詰まりながらもヒットにする技術を身につけ大ブレイク。6月くらいか?首位打者に躍り出たの。そっからじわじわ打率下がったけど、最終的にバットマンレース逃げ切ったもんな。首位打者おめでとう。

杉本
杉本裕太郎は巨人時代の清原みたいだなと、今年思った。打たないと一番ボロクソ言われるのは杉本。だけど豪快な一打で全てをチャラにする、ギャンブル性の高い魅力がある。その現代では数少ない存在感は、あの頃の番長の立ち位置に似ている。
今シーズンも死んだり生き返ったりを繰り返した忙しない男。
シーズン前半は好調とは言えないがホームラン王争いをした。甲子園では豪快な勝ち越しホームランを放った。ランニングホームランもあった。オールスターにも選ばれた。エスコンで初回先頭打者本塁打も放った。
記憶に残る活躍も多かったが、打撃も守備もグチャグチャになった。そして後半は長期間二軍で過ごすことになる。
優勝目前になって杉本は帰ってきた。優勝決定試合では反撃の狼煙を上げるタイムリーを放ち、シーズン最終戦では小学生並みの作文を読み上げ、CSでは大暴れしてMVP。
しかしCS最終打席で足を負傷し、MVPの受賞式や選手会長としてやるべきデカクラッカーの音頭等、晴れの舞台に不在の主役。
どこまでネタに尽きないんだこの男は。

紅林
「紅林と太田は.260 10本は打てる。二遊間がこんだけ打てるのが今年のオリックスの最大の強み。吉田の穴は全員で埋めることができる」とシーズン前に俺は言った。
太田は怪我で離脱したが、紅林は.275 8本という成績を残した。立派だと思う。
オープン戦で結果が残せず、開幕を2軍で迎えた。中嶋聡は、大切な秘蔵っ子をライオンの親のごとく自らの手で崖から突き落とした。ここから這い上がれるか否か、紅林がプロ野球人生で迎えた最大の局面だった。
自らの手で1軍に舞い戻った紅林は、5.24の9回裏にはここまで防御率0.00の松井裕樹から特大のサヨナラツーランを放ち、中嶋聡から愛情溢れるヘッドロックを喰らい、そのあたりから成績も一気に上昇。一時期は3割に乗せ、オールスターにも初選出された。
ピークよりも打率は下がったが、一流選手へ駆け上がる大きな足掛かりの一年だったと思う。

若月
俺が選ぶ今年のMVP。
同い年の森友哉の加入で立場が苦しくなった今シーズン。春先森がオリ投手陣の荒れ球の捕球に苦しむ中、球界屈指の壁性能の高さで捕手としての存在感を見せた。森離脱時には毎日マスクを被り、そしてよく打った。
バッティングの成長は去年1年だけのものでは無く、.255 6本の成績を残し、本当の実力だと見せつけた。
特に4.30ロッテと同率首位に導いたサヨナラヒットと、7.22神戸でライトスタンドにぶち込んだサヨナラホームランは印象的。
そして何よりファンを喜ばせたのは早い時期の来季残留宣言。オリックスの黄金期継続には絶対この男の存在が不可欠だっただけに、最高の知らせだった。

ゴンザレス
開幕戦でマーゴを初めて見た時は、大丈夫かこいつ?と不安になった。
内野ならどこでも守れて、6年前にはレギュラーとして世界一に貢献した(しかもあの時のアストロズ)メジャーリーガーというのは、かなり胡散臭い笑
どうせアデルリン・ロドリゲスのようにどこも守れず、アダム・ジョーンズのように怪我して往年のプレーはできないんでしょ?って思った(それでもAJはオリのレジェンドだ)
そしてこの無表情な感じは、ブレント・モレルを彷彿とさせるし...。
しかし、マーゴは違った!本当に内野どこやらせても上手い。
打つ方は.217 12 38という成績だけ見ると何とも言えないが、特筆すべきはその12本塁打の内容。
先制弾3本、同点弾2本、勝ち越し弾1本、1〜2点リード時の追加弾3本と、喉から手が出るほど点が欲しかった場面で嬉しい一発を何度もプレゼントしてくれている。
来季も残留なんだよね?福良さん頼みますよ。

セデーニョ
獲得が決まりマイナー時代の動画を見た時から、ええの獲ったわ!と期待していた。
これまでミドルヒッター外国人を色々獲っては失敗していたオリックスだったが、久々の見るからに長距離砲候補に興奮した。
ただ育成契約だったから出てくるのは来年以降なのかなと思っていたが、5月に早々と支配下に昇格。一軍昇格すると、森友哉不在の7月に4番として大暴れ。4試合連続を含む月間7本のホームランを放ち、カブレラ級の活躍を見せた。
その後は不調になって2軍降格もあったが、CSでは全試合4番に座り、ホームランを放つ等、頓宮がスタメンで出れない苦しい打線を救った。
来年以降も成長が楽しみ。

宜保
春先から高打率を残していたが、出場機会に恵まれない状態が続いた。
しかし、マーゴ離脱時の7〜8月、宜保にチャンスが回ってきた。連日スタメンとして名を連ね、7月終了時点で.318、8月終了時点で.291と立派な成績。宜保がしっかり穴を埋めたことはチームとして本当に大きかった。
最終的には.279、セカンドでのスタメン出場数はチーム2位の37試合に出場した(1位のマーゴが44試合。セカンドは固定できなかったな)
ただCS、日本シリーズのラインナップに彼の名前が無いのが残念でならない。

太田
昨年の日本シリーズ第7戦。プレイボールの声と共に放った太田のバックスクリーン弾。
あれを見た瞬間、「ああ2023年は太田椋が主人公だな。彼の飛躍を見守る年になるな」と確信した。
2月、キャンプが始まると太田は由伸から右中間深いところにホームランを放ち、これはとんでもないバッターになってきたと期待をさせた。
しかし、開幕のラインナップに太田の名前はなかった。その後記憶に残ってないが、春先は一軍に居たらしい。らしいって言う程記憶にない。
そこから行方不明になった太田を久々に見たのは、8.8ロッテ戦。初回先頭打者としてフェン直ツーベースを放ち勝利に貢献。翌日もマリンのライトスタンドにぶち込む一発を放った。凄えよ太田椋、パワーも技術も圧倒的に進化している。優勝への最強のラストピースや!
と思っていたら、直様手首の故障で今季終了のお知らせ。あまりにも残念だった。
しっかり治して、来季こそはグラウンド狭しと暴れまくってくれ。

野口
オープン戦で結果を残し、開幕戦では1番ショートに抜擢され、チーム初打点となる同点タイムリーを挙げた。しかし、低迷し一時降格。その後は主に外野での起用が主になったが、茶野失速後のチームにとっては大事な役割を担った。
9.20ロッテ戦では勝ち越しタイムリーを放ち優勝決定に貢献した。
76試合で.226 2本。残した数字以上に戦力になっていると思うし、2年目としては及第点。侍ジャパンも経験し、さあ勝負の3年目。

小田
今年も一年、安心と信頼と実績の小田裕也だった。
今年はバッティングに大きな成長も見られ、なんと.290(62打数)を記録!
守備では4.19楽天戦で9回ツーアウトから同点を防ぐウイニングバックホームを決め込んだ。あのプレーは今年のオリックスのNo. 1ファインプレーだと思う。

西野
昨年終盤は5番を打つ等チームに欠かせないピースとなっただけに、今年は期待をしていた。しかし低空飛行の期間が長く続いた。
ようやく本領発揮したのは9月から。9月は月間で.292を記録し、秋口には頼りになる男なんだなと認識を改めた。
日本シリーズ第2戦では先制のタイムリースリーベースを放った。西野は年齢も俺の1つ上だし、今年も苦労してたから、その姿に観ていて泣きそうになった。

廣岡
5.17にKとのトレードで入団。5.27西武戦では1番に抜擢され、初回いきなりツーベースで出塁し先制点の足がかりとなる。最終回には、ピンチの場面でサード廣岡がライナーをジャンピングキャッチしゲームセット。この日は廣岡のためにあるような試合だった。
その後は徐々にドアスイングのため高めのストレートが打てないことが露呈し、結果を残せない場面が増えた。現地観戦した6.9横浜戦ではサードで衝撃の悪送球をかまして俺も頭を抱えた。9月頃から結果を残し始め、日本シリーズでは怪我のラオウに代わってスタメン出場。ここで廣岡は輝きを放った。シュアなバッティングでヒットを積み重ねた。守備では俊足強肩を活かし良い動きをみせた。4戦目サヨナラ負けの瞬間はレフトからバックホームして、諦めない姿勢をみせてくれた。

福田
36試合で.191。足を上げてポイント前にしたり、かなり迷走していた。
ほとんど二軍で過ごしたが、鼻折っても試合出たり、ポジティブに練習に取り組んでいたりと、福田らしさは失われていなかったみたいでそこは安心した。
優勝決まってから一軍に戻ってきていいヒットも出ていた。
このまま終わる選手じゃない。

石川
伏見、大下がいなくなってオリベンチの盛り上げ役は誰が務めるのか、不安だった頃にイシリョーはやってきた。
試合にはほとんど出ていないが、シーズン通して、ベンチで積極的に声を出し、守備から守ってくるナインにはひとりひとり声をかけ続けた。そういう点で彼の貢献度は大きい。
日本シリーズ4戦目では代バンという難しい仕事をやってのけた。
来季は1試合でもいいから、ヒーローになる活躍を見たいね。

シュウィンデル
獲得が決まり映像を見たら、これは間違いないと確信した選手だった。
ただ俺の確信は怪しいところがある。かつてモレルをマートン級と評したり、メネセスに太鼓判を押した人間だ。
しかしこのシュウィンデルはホンモノだと信じたかった。コンタクトの良さ、そして軽く振ったのに伸びる打球、メジャーでの実績、愛嬌の良さ、これはイケるだろうと。
絶対当たり外国人であってくれ!という願いも込めて、オンラインショップでオーダーしましたよ、シュウィンデルのビジターユニ。
今年はお前にかけた、開幕からガンガンやってくれ!
と思ったら、怪我で出遅れ少し不安に笑
しかししかし、4.19楽天戦で初出場すると、いきなりの猛打賞!しかも3本目は低めの難しい球をうまく拾いこの日の決勝打に!
ほれ、見たことか!神助っ人や!
その後波はありながらも、5.5西武戦には2本のタイムリーでお立ち台にあがり、同カードの5.7では初ホームランを放ちニコニコだった。
5月終了時点で、20試合出場.188 1本11打点。数字は良くないがコンタクト出来てるし、打点もある程度稼げている。日本野球に慣れたこの6月以降が本当の勝負だ!
6月は初めて京セラに俺も観に行く。そうだ、そろそろ注文してたシュウィンデルユニが届くはずだ!アレ着て京セラで応援だ!
と思ってましたよ。
結局、ユニフォームが届いたのは、京セラから俺が帰ってきたら後になりました。
そして、シュウィンデル自体試合に出てませんでした。
それもそのはず、だって6月以降彼は1試合も一軍で出てないんだから.....笑
6月後半には持病の腰痛が悪化し、遂にファームの試合からも離脱。
7月後半にはアメリカに検査で帰国。
そしてそのままシーズンが終わり退団となりましたとさ。
...というわけで、5月終了時点の成績が彼の今シーズンの成績になります。
昨年のラベロ(.138 1本)以上、バレラ(.205 1本)以下。
そしてマッカーシー(.225 4本)には遠く及ばないという結果でした。そんなアホな。
ただ、万全だったら、すごい成績残したんじゃないのかなーって期待させるモノはありました!
最後にシュウィンデルさん、
あなたが帰国した後も某ビジター球場で、絶対に出場する事の無いあなたの23番のユニを着て、オリックスを応援していたジャパニーズボーイが居たという事は覚えといてください。
あとアメリカでも頑張ってください。腰治せよ。
グッバイ、フランク・ザ・タンク!