まだ前職でバリバリの営業マンとして働いていた頃、当時は今とは違って指導は1割、営業9割くらいの配分であった。
とにかく体験があれば取る、凄まじい数字ノルマがあるので、とにかく高額提案を通し、ものすごい数字を達成すれば全国一斉送信メールで祝福、本当に我ながら狂った職場で働いていたと思う。
そんなある日、岡崎高校に通う女子生徒が来た。
志望校は国公立医学部医学科、私立は一切考えていないとのことだった。
ただ残念ながら、偏差値は60に届かないくらいだったので、正直とてもじゃないけれども、そのままでは国公立はおろか、私立で教科を絞り込んでも、医学部医学科は厳しいというのが自分の見立てだった。
もちろん自分は容赦なく、完全1対1マンツーマン、プロ講師で週3指導の提案をした。
月謝はここで言うのも憚られてしまう、大卒公務員の初任給と同等の金額だった。
(※なお余談ですが、もちろん今の当塾でそんな無茶な提案はいたしません。多分お断りします。)
しかしながら、こちらの岡高生、もちろん岡崎高校に合格するくらいなので学習に対する姿勢はしっかりとできていたし、ポテンシャルも非常に高かったので、わずか半年という短期間で偏差値70以上までUP、当初厳しいと思っていた記述対策も何とか間に合って、見事浜松医科大学合格を勝ち取ってくれた。
お父様も大変喜んでくださり、何度も何度も感謝のお言葉をくださったのだが、自分の心には何ともうしろめたい、ばつの悪い感情が生まれた。
とにもかくにも、授業などはお金を出しさえすれば何とかなる。
しかし、時間だけはどうしようもない。
自分は毎年毎年、英単語を覚えないまま高校2年生、3年生になってしまった受験生に出会うのだが、正直かなり厳しい。
人間の能力には限界があって、どんなに記憶力のいい高校生でも、一日に覚えられる英単語は20単語ほど。
それでも、忘れては覚えて、忘れては覚えてを繰り返さなければならず、中堅どころのに必要な英単語を覚えるのに必要な時間は約2年、難関大ともなればプラス半年は必要だと考えている。
つまり、高校1年生からコツコツと積み上げて、やっとその成果が出るのが高校3年生の4月くらいなのだ。
ところがどういうわけだか、英単語の暗記を軽視しているのか?はたまた、英単語なんて高校3年生からとりかかっても間に合うと考えているのか?とにもかくにも、英単語を覚えていない受験生が余りにも多すぎる。
もちろん、最初から高い目標を持って計画的に学習している高校生や、中学受験を体験している受験生はそんなことはない。
そうじゃない受験生は、西尾高校や西尾東高校に受かったという満足感で、ダラダラだらだらと大切な高校1年生、2年生を過ごしてしまう。
本気で2年3年頑張ってきた受験生が積み上げたものを、どうして今まで勉強をサボりにサボった受験生が、たったの数か月で同じ成果を取り戻せるのだろうか?
そんなことは絶対にできない。
あまねくすべての人間の一日は24時間で、1年は365日なのだから、泣いても笑ってもきっちり数か月後には受験本番を迎える。
マラソン未経験者が42.195㎞を2時間30分で完走することは不可能なのだ。
いや、おそらくは4時間でも無理だろうし、完走そのものすらできないだろう。
しかし先ほど述べた、目標をしっかりともって、数年かけて積み上げてきた受験生や中受組は、高校3年生に入るころにはとっくに中間地点を折り返している。
いや、何ならゴールまで5kmくらいの地点にいるのかもしれない。
そんな彼らに、『あと30分しかないですよ~、頑張って追いついてくださいね~。』なんて言われて追いつけるだろうか??
いや、もう走る気すら起きないだろう。
何度も言うが、授業そのものはお金で何とかなる。
しかし、時間だけはお金ではどうにもならない。
今高校1年生、2年生の諸君。
君たちがもうギリギリなんや。
一刻も早くそのことに気が付いてほしい。