完落ち
「完落ち」(赤石晋一郎・文藝春秋)は最近読んだ本の中でおもしろかった。
数々の難事件を解決してきた伝説の刑事の大峯泰廣氏の取調室の秘録だ。
たとえば、1988年から89年にかけて起こった東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件。
犯人の宮崎勤を完落ちさせるやり取りが実に生々しい。
マンガとビデオで埋め尽くされた宮崎の自宅の写真を当時、週刊文春で見た記憶があった。
いずれにしても、日本中をバブル期に震撼させた事件であった。
この事件の裏側で、刑法上は犯罪の累は他人に及ばないとなっているが、現実の社会では建前通りにはいかなかったのであろう。
宮崎の公判が進み、宮崎の父親は重い罪を犯した人間の父として責任を感じ、自ら橋の上から身を投げている。
長女は予定した結婚を破棄している。
次女は看護学校を退学している。
宮崎は2008年の6月に死刑が執行されているが、こうした事件の解決に向けて、大峯刑事が地道に動いていたことに心から敬意を表する。
そして、被害者はもちろん、加害者の家族も大きな苦しみの中で生きていかねばならないことを、この本は教えてくれている。
私は、昭和を30年、平成を30年生きてきたが、まさに、大事件が数多く起きた。
三浦和義のロス疑惑、オウム真理教による地下鉄サリン事件等の大事件の現場に大峯氏が捜査員として関わった記録である。
大峯氏の完落ちさせる時の人間的優しさを感じさせてくれる本でもある。
その優しさに少し救われるのは私だけではないだろう。
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