ピピウが生まれてから59 〜ほんの気持ち〜 | 憧れの(?)Italia Firenze生活

憧れの(?)Italia Firenze生活

イタリアはフィレンツェに住みつき早十数年。
日本語を教えながら、イタリア人の夫と息子と暮らしています。
私の平凡なイタリア生活の実態を御紹介♪

イタリア、フィレンツェにて、イタリア人の夫と暮らしています。
2017年春に第一子となる息子ピピウ(仮名)を出産。
ただ、26週というかなりの早産で生まれてしまった息子。
息子が生まれてからNICUを卒業するまでの過去の出来事を当時の日記をもとに書いています。


〜ほんの気持ち〜

ピピウの退院を控え、私とダンナはてんてこ舞いでした。

私は朝から晩まで相変わらずNICU。
ダンナは仕事。

でも、ダンナの仕事の合間や、ある日はNICUを少し早めに出て、家で使うベビー用品を買い揃えました。

出産前に友達から譲り受けたベビーベッド。
使えないかもしれない…
そう思って、家の端に組み立てずに置いていたのですが、仕事から帰って来たダンナが組み立てました。

この時、私たち夫婦は"親"になってすでに7ヶ月経っていましたが、私たちの家はまだ"赤ちゃんのいる家"ではありませんでした。


息子はいるのに一緒に寝たこともなければ、24時間一緒にいたことがない。

お腹にもういないのに、家にもいない。

でも、ちゃんと"いる"。

不思議な感覚です。



そのピピウが家にやってくる。

7ヶ月経って、やっと一緒に暮らせる。

本当の親になれるような気がしました。



この7ヶ月間、今まで生きてきた中で一番辛い思いもしました。

ピピウが手術を受けるたび心臓が握り潰されるように痛くなり、
レントゲンや造影剤検査を受けるたび死刑宣告をされるのではないかと恐怖で震えていました。

そんな中でも、毎日NICUに行き、ちゃんとピピウと向き合えたのは、NICUで知り合った素晴らしい両親たち、そしてNICUスタッフのおかげです。

NICUスタッフはピピウの命を救い、私たち夫婦を支えてくれました。

ピピウは私たち夫婦にとって初めての子供のうえに、普通の赤ちゃんとはちょっと違います。

どう接すればいいか、手とり足とり教えてくれたのは彼らでした。

7ヶ月間、NICUは私たちの家であり、スタッフは家族でした。
いや、本当に。


そんなNICUスタッフに何かお礼はできないものか?

そう考えて…

思い浮かんだのが寿司寿司でした。


NICUでスタッフと話してて、よく「フィレンツェの和食レストランならどこへ行けばいい?」「寿司を家で作ることもあるの?」と日本食について聞かれたんですよね。

話をしてると、みんな寿司が大好き。




10月だったので暑くはありませんでしたが、冷蔵庫があるか一応確認して、完全な生ものは使用せず、巻き寿司を作りました。

エビ巻巻き寿司
ツナ巻巻き寿司
スモークサーモン巻巻き寿司


NICUスタッフはドクター、看護師、アシスタント…結構な人数のスタッフがいます。




ピピウの退院2日前。

NICUから帰ってから、中に入れる厚焼き卵やら具を用意。

炊いたお米は一升以上。


まきまきまきまきまきまきまき…


夜中2時半まで巻き巻きしました。


翌朝、巻き巻きした巻き寿司を切り、具の説明を書いて、具別にラッピング。

保冷剤を大きな袋に詰め込み、そこへ巻き寿司を入れ、NICUへと行きました。


NICUに着くと、いるのは朝6時から勤務のスタッフたち。


「寿司を作って持ってきたよ。みんなで食べて。」

と、その日の朝ピピウ担当だった看護師さんに渡すと…


がっしりハグされました。笑



「みんなー!ピピウのお母さんが寿司を作って持って来てくれたわよー!」


私もスタッフの休憩室まで行って具の説明。


少し手のあいた看護師さんやドクターから休憩室に来て、
「今、時間帯的に朝ごはんだけど…朝、6時から働いてるから、私、今食べる。」
と看護師さんたち。

(イタリア人は朝食に塩辛いものを食す習慣がありません。朝食といえば、甘い菓子パンやビスケットにカプチーノが定番。)


その日は朝から晩まで入れ替わり立ち替わり、スタッフが私のところへ来てくれて、お礼の言葉とキスをいっぱいしてくれました。笑

予想以上に喜んでもらえて、私も本当に嬉しかったです。

でも、スタッフがピピウと私たち夫婦にしてくれたことを考えると、全く比になりません。


ピピウの退院は翌日の午後。

シフトの関係で会うのがこの日最後のスタッフもいて、挨拶をしに来てくれました。

泣けてきました。

スタッフも泣いていました。

前日からこんなで、退院当日はどうなることやら…






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