もうすぐ平和から令和の時代に突入しようとしていますね。という事で平成最後の投稿です。先週まで当科をローテーションしてくれた初期研修医の佐々木先生が抄読会で読んでくれた文献を紹介します。Critical Care Medicineの3月号からです。

『A Comparison of the Mortality Risk Associated With Ventilator-Acquired Bacterial Pneumonia and Nonventilator ICU-Acquired Bacterial Pneumonia』

院内肺炎はICU内で最も頻繁に報告される感染症であり、人工呼吸器装着患者はその高リスク群です。院内肺炎の中でもVAPは在院日数や院内死亡率の著明な増加と関連している事はよく知られています。VAPに関する様々な報告がこれまでなされてきました。その一方で侵襲的人工呼吸管理が行われていないICU患者に発症する院内肺炎(これをICU-HAPと呼びます)に関するデータはわずかです。そのような背景の中で、VAPとICU-HAPに関連した死亡率を比較検討したのが今回の研究です。同様の比較研究の中では最大のものです。

対象はフランスの23個のICUに入院した、VAPリスク患者(侵襲的人工呼吸管理を開始して少なくとも2日間経過した患者)とICU-HAPリスク患者(侵襲的人工呼吸管理なしでICUに少なくとも2日間入室している患者)です。

結果ですが、7735人のVAPのリスク患者の中で1161人(15%)がVAPを発症し、9747人のICU-HAPリスク患者の中で176人(2%)がICU-HAPを発症しました。そして30日死亡率は、VAP発症群では28.4%、ICU-HAP発症群では23.9%でした。死亡に対するHazard ratioはVAPが1.38に対してICU-HAPが1.82と非常に高く、ICU-HAPは予後と密接に関連している事が分かりました。

結論としてICU-HAPを予防する事の重要性が強調されているのですが、具体的な予防法などは記載されていませんでした。そもそもICU-HAPを発症した患者はどのような患者なのかがイメージしにくかったです。COPD急性増悪に対してNPPVで経過を見ていて、後から肺炎の併発が判明した患者や予定手術や外傷の患者で誤嚥性肺炎を併発した患者なのかなと推測しています。当ICUでICU-HAPを発症した患者を具体的に挙げる事は困難でした。ただし、VAPとは異なるICU-HAPという院内肺炎の存在を知ると共に、VAP以上に注意が必要であるかもしれないという事を学ぶ事が出来ました。佐々木先生、4週間お疲れさまでした。