第2回「ヴェールに包まれたキリストと サン・セヴェーロ礼拝堂にある美術品」のセミナーリポート前半 | figlia-del-soleのブログ

第2回「ヴェールに包まれたキリストと サン・セヴェーロ礼拝堂にある美術品」のセミナーリポート前半

第2回「ヴェールに包まれたキリストと サン・セヴェーロ礼拝堂にある美術品」のセミナーリポート前半(2018.8.29)@高円寺ピァッツァイタリア

  ← サン・セヴェーロ礼拝堂にあるヴェールに包まれたキリスト像


何年か前に ナポリ在住のイタリア人とサン・セヴェーロ礼拝堂(Cappella Sansevero)に行きとても感動したので このセミナー第2回「ヴェールに包まれたキリストと サン・セヴェーロ礼拝堂にある美術品」に参加してきました!!

第1回は「サン・セヴェーロ礼拝堂と サングロ家の呪われたライモンド王子」(サングロ家の7代目当主ライモンド王子は massoneria/フリーメイソンだったというお話で 残念ですがこちらは欠席しました)
 
このサン・セヴェーロ礼拝堂はなんといってもil Cristo velato/ヴェールに包まれたキリスト像が素晴らしく 私が友人と行った時も 息を呑む程感動しました 
大理石でベールを掘るなんて...しかも1つの大理石からすべてを彫り出すなんて...どうやって...
また 地下にある「macchine anatomiche(人体解剖像)」の人体解剖のミイラも すごすぎて眠れない程でした~

このサン・セヴェーロ礼拝堂(Cappella Sansevero)は サン・セヴェーロ公家のサングロ(Sangro)家の一族の像等が置かれた 一族を記念するための礼拝堂で sconsacrata(神聖さを失った)のため 今は礼拝堂ではなく美術館(Museo Cappella Sansevero)となっています 

入って一番中心にあるのが このCristo velatoの像です 

ライモンド王子(Raimondo di Sangro)が 彫刻家Antonio Corradini/アントニオ・コラディーニに命じて作らせた バロック様式の大理石像なのですが 彼は84才と高齢だったため 
bozzetto(クロッキー) in terracotta(テラコッタ)をもとに もっと若い彫刻家 Giuseppe Sammartino/ジィゥゼッペ・サンマルティーノに彫らせます 

彼はこのbozzetto(クロッキー)は使わずに 3か月で作ったとのこと
80才まで掘り続けていたのですが 伝説によると このキリスト像よりも美しい像を掘れなくするためにaccecare(盲目にする)されたそうですが...? 真実は違うようです

キリストが磔にされた十字架から降ろされ 瀕死の状態で(morente)まだ息があることを表すため 顔にかけられたベール(velo)が 鼻孔(narice)の中に吸い込まれる(息を吸っているため)
また腹(pancia)は引っ込んでいる そして額には vera(静脈)が浮き出ているのですね
 
実物大の大きさで(grandezza naturale) 1つの大理石からすべてを彫り出しましたが 最初は大理石ではなく 本物のベールではないかと思われた程でした
ライモンド公は錬金術師(alchimista)でもあり 色のついた臭い煙が家から出てきたこともあったそうで 人々は 本物のベールを大理石の粉につけて
大理石化(marmorizzazione)したのではないかと疑ったそうですが 正真正銘大理石(marmo)だと証明されています (科学的調査やナポリ銀行の記録等)

そして ペンチと釘(tenaglia e dei chiodi) いばらの冠(corona di spina)も置かれています 
磔(はりつけ)にされた(crocifissione)時の釘の穴(buco)が 手のひらに空いているのですね...

ぐるっとまわって見るとキリストの表情は 苦しみがとれて 静かなものとなっています 同じ像ですが見る方向で変わるのです

ライモンドは1歳の時に母を亡くし 父はヨーロッパ中を旅してまわり放蕩生活を送り のちに修道院に入りました
なのでライモンドは父方の祖父(nonno paterno)に育てられたとのこと この両親の像もここにあります

彼はフリーメイソン(massoneria)に入りますが 真実はなかなかわからないものであり ベール(velo)はそれをシンボライズするとのこと 
床は迷宮(labirinto)になっていますが 迷宮もやはりフリーメイソンの 人生の困難さを表すものだそうです

     *       *       *

 

後半は 礼拝堂にあるたくさんの像を 写真とともにひとつひとつ説明していただきいた中で ライモンドの若くして亡くなった母 父などの 特に気に入った作品を紹介しますね♪