「田森理生」という可能性 | 池袋フィールドのブログ

池袋フィールドのブログ

ライブハウス 池袋フィールドです。
アーティストとしても活動中の店長・山石敬之が
日々の出会いやエピソードを語っていきます。

今月は池袋フィールドの出演者の中から、

代表的なアーティストをピックアップして、

紹介、分析して行こうと思う。

(あ、もちろん本人に了解を得て書いてます)

 

第一回目は「田森理生」

彼とは創業直後からの付き合いだ。

最も長くフィールドに出演しているアーティストで、

私とこの5年ほどの中で、2枚アルバムを共に作った。

大学を卒業後、一旦は就職したが、

音楽の夢のため、退職し、この世界に飛び込んだ。

そのため若干遅咲きだ。

本格的な活動は、20代中盤から。

しかし精力的に全国展開し、各地でイベントに呼ばれたり、

地方アーティストとの付き合いの中で、

細かいエリアまで出掛けて「泥臭い」活動をしている。

 

音楽的には、ギター一本の弾き語りスタイル。

しかし決してフォーキーでは無い。

どちらからというとHip-Hop色の濃い、

グルービーなサウンドが特徴。

フリースタイルのラップで会場に「熱」を送る。

自分の弱さとひたすら向き合い、

そこからの脱出、解放にのたうち回る姿を訴える。

攻撃的ではあるが、伸びやかな歌声と、

メジャー感に溢れたメロディーラインが、

拡がりのある世界を表現する。

代表曲は、学生時代に数ヶ月かけて旅した、

インド一周の中で生まれた「ソングバード」。

何気ない日常の中から、自分と外の世界との関係性を

俯瞰し、己の立ち位置を見つめた「世界を眺める僕の横で。

閉塞感の中でのたうつ自分自身、そして仲間たちへ

「顔を上げよう」という力強いメッセージを込めた「時は来る」。

あくまでアコースティック・ギターをメインとしたサウンドで、

「ザクッ」とした感触が心地良い仕上がりのアルバムは、

バラエティーに富んだ楽曲たちで、聴く者を飽きさせない。

 

しかし彼にも弱点がある。

それはしっかりとした音楽知識が無いため、

微調整が難しい。

ちょっとしたメロディーやアレンジの変更が簡単には出来ない。

感覚で行ける部分は対応出来るが、

理論で作り上げる作業は不得意だ。

なので一定の自分の世界の外へと、

はみ出して行くキャパシティーが少ないと言える。

もっと音楽を分析し、理論武装する必要があるだろう。

 

しかし彼はチャレンジャーだ。

常に「次」を考え、プランを温めている。

現状に煮詰まっている仲間にとっても、良い先例となるべく、

皆んなの先頭を走ろうとしている。

彼の周りには、先輩も後輩もよく集まり、

その面倒見の良さから、愛されるキャラクターとして、

池袋フィールドの善き兄貴分だ。

決して鋭角的では無いが、

着実で力強い歩みを、これからも進めて行くだろう。

ぜひ一度彼のステージに触れ、

その「熱」を体感してみて欲しい。

きっと「あの頃」のように、

胸が熱くなっている自分に気づくだろう。