北にて歌う 2024~その6 石の段 大桃小やゑ(札幌興風会) 涙してゐるとも見ゆる眼の下の剥落白し技芸天の美し 菩提樹の深き香りにつつまれて時過ぐるなり秋篠寺に 白秋の碑にきざまれし水樽󠄀の歌くちずさむ 唐招提寺 いにしえの奈良の都の鹿に逢ふ春日大社の二の鳥居前 運慶の「大日如来」拝すべく山道をゆくバスに揺られて 六月の宇治川大きくうねりをり木曽義仲の滅びたる思ふ 薬師寺の塔を照らせる月のなく六月の雨静かに降りをり