C.S.S.手記

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今日の朝ごはんは、久々の【ジョナサン】



朝メニューちょー美味しいから好きなんです。



窓際に席を陣取り

通勤通学の人々を見下ろしながら

コジャレた音楽を聞き

朝食をいただく。





ふと視線にとまるは美女が1人。


白いパンプス


七分丈の白いパンツ

淡いエメラルドグリーンのシャツか何かは見えなかったが

白いカーディガンと茶色い髪が風にゆらゆら

颯爽と歩いてゆく。



モデルみてぇ。



キレイなー。



なー(笑)




ジョナサンは、東京に来て出会ったファミレス。



此処で食べる【ホットサンドモーニング】が

めちゃめちゃ好きなんです。



いつぶりだろう。


こんなにゆったりと

美味しい朝食を食べる時間があるのは。


いや、時間はあったんだ。


このゆったりした【凪】の様な時間を過ごせる事が


なんか、スゴく幸せで

スゴく怖かったんだ。


だから、だと思う。




いつも仕事の朝は

一瞬で済んでしまいそうな
【ごまかした】朝メシ。



朝食とは言えない

ただの朝メシ。


休みの日でさえ

『何かやらなきゃ』と予定を組み

同じ様な朝メシを済ませてしまう。




飲食やってた時

唯一の【凪】だったから、この時間が。


一種のトラウマとも言える暗黒時代を

鮮明に思い出してしまうから

いつ、今のこの時間が壊れてしまうのか

考えると怖くなる。



でも、だから

こんな時間が愛しくて

心から大切と思えて

幸せだと感じるのだろうか。



ごく普通で当たり前の事かもしれないけど


改めて感謝。



美味しい朝食と


それを出してくれる人と


美味しく作ってくれる人と


居心地よい朝の空間をくれるお店に


『どうもありがとう。』


また来たいから


これらの気持ちを込めて

776円。払って帰ります。


お金を払う、のではなく


お金ではどうにもならない時間をくれる人達へ


それを維持して頂く為に。




『こっちは金を払ってる客だぞ!』


と言う愚か者がたまに居ます。


























おととい来やがれ、お客サマ。








伝令より相次いで報告される五蛇の敗北。

残りはナジュリスただ一人となってしまった。

ユーリは無事か?他の者達は?


倒れてはいけない。皆の士気を下げてはいけない。

私が此処に立つだけで
一言叫ぶだけで

皆は勇気を奮い立たせるのだから。

それはこの国を守る大きな力だ。


しかし敵の数が多すぎる。
寝ずに戦うのもなかなか辛いものがある。

判断が鈍ってしまいそうだ。
おまけに強く叩きつける雨のせいで視界も悪い。

周りを見渡すと、通りの隅に安全地帯を確保した連中が居た。


怪我人を運び治癒魔法を放つ魔導士達と、それに指示を出す者がいる。

的確でいて迅速に、無駄の無い動きをみせる。

彼らのリーダーは冒険者だった。


軍人やボランティアも協力し
その場を保っている。


冒険者や傭兵を嫌う者は多い。

しかし皆が皆同類と言うわけではない。




事実あの場所では、互いに手を取り合う彼らの姿が窺える。

相手が何者であるかなど彼らにとってはどうでも良い事なのだろう。

この状況を切り抜ける為
お互いを必要としている、それだけだ。

そして確実に傷を癒し反撃に移そうとしている者が増えてきた様だ。





傷の癒えた戦士達が再び駆け出してゆく。


傷つけば避難し、魔導士がそれを癒す。


その繰り返しで、地道に抵抗している。


その前線では冒険者やボランティアが敵を寄せ付けまいと戦っていた。






ナジュリスはそれの少し離れたところに敵影を見つける。


下半身は蛇。
上半身は青白い女性の身体。

爪は伸び触れる全てを切り裂いてしまいそうだ。

ガーネットの様に赤く黒く輝く瞳。

まるで生きている様に蠢く髪。

いや、あれは一つ一つがそれぞれの意志で動いている。

それは視る者を魅了し、石に変えてしまう蛇だった。



亡者やヴァンピエールなど闇の住人達を引き連れたラミア達【死者の軍団】の親玉

メデューサが、そこで微笑んでいた。

彼女は冷たく笑いながら
大きな弓を引き天へ向けて放つ。

それは一番高くまで昇りきると、無数に弾け飛び雨の様に降り注いだ。


前線の戦士達は赤黒い輝きを放つ死の雨に射たれ倒れていく。





前線を壊滅させ、間を置かず二撃目を放った。



ナジュリスは安全地帯を見た。


横たわる人々の中、回復役が走り回る。


メデューサの狙いは彼らだ。



そうはさせるか-。



ナジュリスは弓を引いた。

狙いはメデューサではなく、上空で拡散する無数の光。


真っ直ぐに疾走り去る一本の矢は幾つかの光を貫き
そのすぐ後を追いかけるように激しく渦を巻いた風が通り抜ける。


ナジュリスの放った嵐は、禍々しい雨粒の全てを吹き飛ばした。


メデューサは標的を変えた。




Medusa『行キナサイ。私ノカワイイオ人形達-。』




指をさしナジュリスを睨む。



冒険者や軍人、傭兵やボランティア。




目を合わせ魅了されてしまった彼らは彼女の意のままに操られ襲いかかってくる。




魅了を解く方法は-?


ナジュリスは思考を巡らせつつ弓を引き、手近な敵を射抜く。





彼らを傷つけてはならない。

それだけはしてはいけない。

彼らはただ操られているだけだ。


彼らに触れず、敵に攻撃を仕掛ける。



彼らを避けながらメデューサを倒せるか?


不可能だ。メデューサは彼ら越しに攻撃を仕掛けて来るだろう。





メデューサの奇妙な術の効果範囲から彼らを連れ出す。



これが妥当か?


こちらは無傷ではいられないだろうが-。



背後には守り人不在の安全地帯。


下がってはいけない。

では、どうする-?







するとナジュリスの両脇を駆け抜ける影があった。



冒険者達が反撃に移った様だ。

彼らはためらいなく魅了された者に攻撃をしかける。

魅了された者達が少し引き下がると彼らも攻撃を止め下がった。


次の瞬間、魅了された者達を淡い輝きが包み込み、地面へと倒してゆく。



ナジュリスの後ろでは何人もの黒魔導士が睡眠系の魔法を放っていた。




息の合った連携だ。
軍の様に規則的ではないが
アドリブの利く冒険者ならではのそれに感心してしまう。



心強い。彼らがいれば、事態はひっくり返るかもしれない。


しかし、そこにもう一体の【最強】が現れた。


二足歩行する蜥蜴。

その発達した強靭な脚力で戦場を跳ね回り

短い刀の二刀流は動きが尚読みにくい。



グルール・ジャジャと呼ばれたマムージャ蛮族軍のボスだ。


あれが一度跳び跳ねれば
後ろの安全地帯まで行ってしまう。


ここで戦うのはまずい。

グルール・ジャジャに視線を移した瞬間、メデューサはナジュリスへ矢を放った。


避けられない-。


しかしそこへ、ナイトが一人飛び込んできた。

構えた大きな盾は魔法の力も借りつつメデューサの一撃を凌いだ。

ヒュームの女だった。

肩まで伸びた栗色の髪を風に靡かせ、ナジュリスの前に立っている。


ナイト『あかん、盾壊れそぉや~。』


真っ白な鎧に包まれた美女が
状況に似つかわしくない声色で喋る。

そこにエルヴァーンの男が割り込んできた。

男『どうしてすぐふざけちゃうんですか?シュウさんが盾役なんだからしっかりして下さいよ。』


それを機に他の冒険者達がメデューサとグルール・ジャジャへ反撃をしかけてゆく。

合わせて二十名ほど居るだろうか。

敵へ向かってゆく冒険者達をよそに現れた二人は言葉の水をかけあっている。



Syu『レイちゃんやって盾出来るやん。変わってや~。』



Lay『オレ盾持ってませんし、そもそも後衛ですし!』



Syu『そんなん知ってます~。レイちゃんはレイちゃんのカラダ盾にしたらええねん。』




Lay『え?死ねって事ですか?ってかどこのセカイに魔導士を盾にするナイトがいるんですか?気ちがいですけどっ。』



Syu『言うても赤魔導士やろ。白でも黒でも無くっておまけ片手剣二刀流ってなんやねんっ。どっちやねん。前衛か後衛かハッキリしろやー。』


『白黒つけろやー。』


きゃっきゃっと笑い声をあげるナイトと赤魔導士の掛け合いは続く。


Lay『ぇ?え?なんですか今の。ちょっとウマイこと言ったつもりです?』


Syu『おもろいやろ、赤やけど、白黒つけろやー。』

Lay『やめてそのどや顔。なんかちょっとイラッとくるから。』


満足そうな表情のナイトを束の間白い目で見たあとで
レイはめんどくさそうに溜め息を吐きナジュリスへ向き直り話を始める。


Lay『・・・いや・・・なんかすみません。とんだ茶番劇をお見せしてしまいました。申し訳ない。』



Syu『茶番とは?茶番?ちゃばーん?』


隣で賑やかに騒ぎ立てる仲間をよそに、レイは続ける。




Lay『風蛇将ナジュリス殿とお見受けします-。』



頷いたナジュリスに、話を続ける。


『メデューサは、我々が引き受けます。魅了された味方とは戦い難いでしょ?』

『代わりに、マムージャの頭をお願いしたい。』




Lay『我々は15人の編成です。その中から3人ほど、ジェネラルにお力添えさせて頂きたい。』


『あまりごちゃごちゃ加勢しても、あなたの邪魔になっては意味が無い。』



Najelith『どうもありがとう。』


Lay『ボクと-。』


挙手しながらシュウが前に出る。


Syu『シュウですっ。ナイトしてますっ。』


Lay『これからもう1人合流予定です。イレギュラーが起きたようで、まだ姿を確認出来てないが、彼は大丈夫でしょう。すぐ来る。』




此処での戦闘はまずい。そう言ってレイ達はその場を離れた。

メデューサから離れ、安全地帯に影響のない場所へ。

シュウの挑発に乗ったグルール・ジャジャはどこまでも後をついてきた。


激しい二刀流をシュウが盾で防ぎ

ナジュリスが矢を放つ。


二人を治癒し、サポートするレイ。





ナジュリスの攻撃は一度敵の身体を貫いた。

しかし手ごたえは無い。

彼女の矢が貫いたのは、紙を折り作られた人形だったのだ。


サムライと同じく、遠い異国にはニンジャと呼ばれる者達がいる

彼らはヨリシロと言う供物を使い魔力を使わずに奇妙な術を使う。


今、敵が使ったのは
ヨリシロが自らの代わりとなり敵の攻撃を受ける

【空蝉の術】そのものだ。






こんな技を使うとは。



敵との力は互角だ。

一瞬でも油断した方の首が跳ねられる。

しかし冒険者のサポートあって
こちらがやや優勢か。




赤魔導士の男は、私に沢山の補助魔法をかけてくれている。

光の鎧や魔法のヴェール。


おまけにナジュリスだけ、時間の流れが早く感じた。

【ヘイスト】という魔法だ

脳が四肢へと命令を下すその働きを
その早さを数倍にするものだ。



彼らの仲間も合流し

凄まじい速さから繰り出す弓術とその連携に敵は防戦に徹している。



そしてついに、敵は一瞬の隙を見せた。



そこへ風を纏うナジュリスの弓が向けられた時、彼女もまた、動きを止めてしまう。


こちらの勝利で決着が着く筈だった。


敵もまた、その隙を見逃さなかった。


迫ってくる攻撃。


避けなければいけないのに
意識は別のものに釘付けになっていた。


その軌道上に、よく知った顔が見えたからだ。




妖精の様に尖った耳

褐色の肌と輝く白銀色の髪



『彼女』は倒れている我々の仲間を一人抱き抱えていた。



痙攣している仲間の、その首筋に寄せられた口元は鮮血に染まり


艶やかな表情でナジュリスを見つめている。


雨に濡れた青色の瞳は冷たく

見る者全てを凍りつかせる様な眼差しを向けている。




ナジュリスは『彼女』からその瞳を逸らす事が出来なかった。







































※この物語は

SQUARE ENIXがお贈りする

【FINAL FANTASY】 シリーズ初となった

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『FINAL FANTASY XI』を題材にしたフィクションです。


劇中に登場する人物やLSは
実在するプレイヤーとは一切関係御座いません。(・∀・)







「深淵を覗く時


深淵もまた、此方を覗いている-。」











征陸 智巳
























封魔堂前の広場に、ユーリは辿り着いた。






いつもなら人が寄りつかないこの場所も今だけは
敵味方入り乱れる戦場と化している。




本堂の扉は、五蛇将が結界を張っていた。


その五重結界は瑠璃色に輝き
その聖域を護っている筈だった。


しかし今、ユーリの眼に見えているそれは

緑色の輝きでそれさえも弱々しい。

五蛇将達は賊に敗北したのだ・・・



土蛇将ザザーグの茶色

炎蛇将ガダラルの赤色

水蛇将ミリの水色

天蛇将ルガジーンの金色

そして

風蛇将ナジュリスの緑色。



結界を維持しながら戦う彼らが力尽きた時、封印は解かれてしまう。

既に四つが、消えていた。

そして残る一つも、弱々しく今にも消えてしまいそうだ。


ジェネラルが危ない。


今すぐ彼女のもとへ駆け出せば間に合うかもしれない。


しかし、本当に間に合うか・・・?

そうでなければ魔笛は奪われてしまう。


判断するのはこれが最後だ。

今すぐ決めろ、行くなら今しかない-。






答えを出すまで敵は待ってはくれなかった。

マムージャの兵士が跳び掛かってくる。








Yuri『・・・考え事の最中だ・・・。』




『邪魔するな!』


勢いをつけ抜刀する。

握り締めた柄は
間合いへ入る敵の横っ面を直撃した。





そのまま力任せに地面へ叩き付ける。


倒れた敵の肩を踏みつけ刀を素早く逆手に握り脳天を貫いた。




耳鳴りがする。

異常な程強く耳障りなそれは叩き付ける雨音すら掻き消していた。


胸の奥がざわめき心の淵から得体の知れない何かが沸き起こるのを感じていた。



一瞬一秒経つ毎に沢山のものが消えてゆく焦燥感・・・。

焦燥感・・・?違う。
もっと淀んでいて禍々しく黒い何か-。


持って来た得物のせいだ。

これが、私の中の『邪悪』を引き出そうとしている。


はじめてこれを掴んだ時は心底驚いた。
























ナイズル島の地下に太古の文明跡が見つかった。

我々はそれを『アルザダール海底遺跡群』と名付けた。


軍は調査隊を編成し遺跡へと足を踏み入れた。


そこには絶滅したと思われていた動植物や

伝説と言われ存在すら定かではなかった魔物達が生きていた。


その時編成された調査隊に
入隊したばかりのユーリとレックスが参加していた。


その遺跡は地下百層にまで及び、現在も大きな魔力に護られている。



その遺跡調査の際に、抜き身の刀が一振り見つかった。



それを手にした仲間が発狂し
突然傍に居た仲間を斬り殺した。

まるでその者以外の何らかの意図が働いているかの様だった。

その刀は風の吹かぬ地下で風鳴りしていた。

そう、何かを呼び寄せる様に。



気ちがいを起こした隊員を皆で押さえつけ
隊長はどうにか刀を取り上げたが
刀を奪われたその者は自らの剣で隊長に斬りかかり重傷を負わせた。




六人で編成された調査隊は四人になって帰還する。

皇国への反逆としてその者は処刑され、刀は適当な鞘に収め、五蛇の管理下に置かれた。





そのほとぼりさめる頃

ユーリはナジュリスに呼び出され顔を見せた。
そこにはナジュリスだけでなく、炎蛇将ガダラルも現れた。



そして目の前には、例の刀が置かれている。


Najelith『これが何か、分かりますね?』


頷いたユーリに、説明を始めた。


ジェネラルが隊長から聞いた話はこうだ。



刀を隊員から奪った時

まるで憑依しようとするかの様に
自分と入れ替わろうとする何者かの意志が働いていたと言う。


その時、その【何者か】は語りかけてきたそうだ。


隊長はそれに答えなかった。
どうにか持ち帰り、報告すると共に
五蛇に押し付ける形で刀を手放した。


おそらく答えてしまった隊員は
自らの精神を委ねてしまったのかもしれない。

刀は得体の知れない力を、妖しい魅力を放っている。

強力なのであろうが使えなければ意味が無い。


持ち主の居ない戦利品が巡りめぐってユーリの元へ流れてきた。


ガダラルは何も言わずナジュリスの傍にいる。


後ろ手に何か隠している様だが・・・。


私は今、試されているのだろうか。

こんな物は要らない。気ちがいになるのは嫌だ。

ジェネラル・ガダラルはおそらく、得物を手にした私の、その後をみて『動く』つもりなのだろう。


ナジュリスは何も言わずただ見つめてくる。

彼女はきっと私を-。


ユーリは刀を掴んでみせた。


【渇望せよ・・・】


何か聞こえた。


【渇望せよ、破壊を・・・解き放て、我が力を-。】


頭の中へ入り込んでくる何者かの意志。
それと同時に自らの意識は遠退いてゆく。


お前は誰だ-?


【我が名を呼べ・・・風喰らい断つ者よ・・・】



答えるな。何も考えるな。
覗かれてはいけない。



握る手に力が篭る。
違う。握っているのは私では無い。



手放せ。これは危険だ。
今の私では-。

意思とは逆に握る手は刀を離そうとしない。


【渇望せよ・・・解放せよ・・・】


【言霊に示せ・・・我が名は-。】




頭を振り堪えようとする。
ユーリの目の前には刀を握る手が見える。

よく知った構えだ。

しかし、繰り出す剣術は見た事も無い。

それでいて以前から知っている様な『忘れていた』様な

これは・・・私か・・・?


いや、違う・・・。『これ』の知識だ。
記憶なのか?お前は誰だ-?


【言霊に示せ・・・我が名は-。】


遠退いた意識が急に帰ってくる。


ドン!と音を立て刀を床に突き立てた。

Yuri『風斬り・・・。』


肩で大きく息をしていた。

部屋には音叉を打つような風鳴りが響いている。


目の前には、血の気の引いた顔でダガーを握り身を乗り出すガダラルと

腕を伸ばし彼を牽制するナジュリスがいた。




ようやく手放す事が出来た。



Najelith『風斬りとは?』

Yuri『・・・おそらく、それの名前かと。』


Najelith『それの問いかけに、答えたのですか?』


Yuri『いえ。逆に問いかけてしまいました。お前は何者かと。』


なるほど。
ナジュリスはそう呟くと暫く宙を眺めていた。

ユーリはナジュリスのこの顔が好きだ。


何らかの出来事に疑問を抱き

それに何らかの答えを出した時の顔。

その表情は何も知らない子供の様でいて

追求し悟った賢者の様でもある。


嘘偽りの仮面を被らぬ彼女自身が尚、色濃く現れている気がした。


Najelith『それは、持つべき者が居る。』


『それは、持つべき者を捜している。』


『魅せられた者の闇を引き出し、打ち勝った者だけがそれを使役出来るのでしょう。』


『貴女は、それを抑え込んだのです。』


『ユーリ、風斬りは貴女が所持していて。』


こんな物、今の私には扱えない。

厄介は嫌だがナジュリスに言われては断れない・・・。



彼女は、私を見て、私にこれを委ねたのだ。

私にしか出来ぬと。私以外には不可能であると。


再び掴みあげた風斬りは音叉を打つような音を響かせるのみで
再び語りかけて来る事はなかった。



いつか自分が今よりもっとずっと強くなれた時、これを再び掴んでみよう。


その時が来るまで、これには触れない。







ナジュリスは見えなくなるまで、ユーリの背中を見送っていた。


Gadaral『ナジュリス、これっきりにしてくれ。今回の様な事は。』


深い安堵の息を漏らし、ガダラルが言った。



『彼女を殺すところだった。下手したら死んでたのは俺かお前かもしれなかった。』


『寿命が縮んだぞ。』




Najelith『ごめんなさい、ガダラル。でも私は信じていましたよ?』


『彼女の事は勿論、貴方の事も。』




Gadaral『じゃあ何故、俺を此処に呼びつけた?お気に入りを見せびらかしたい訳じゃあるまい。』



Najelith『いけませんか?』


そう言うと
上目遣いにガダラルを見やる。



Gadaral『・・・お前が評価している。彼女はそうゆうヤツなんだろう。』


『あれは魔剣類だな。それを捩じ伏せる己の精神力も大したもんだ、と俺も思った。』


『ただ、あまり入れ込むな。いつ誰が見ているか分からない。嫉妬や羨望は狂気になり易い。』


『お前が彼女を特別扱いしていると思い込んだ何処かの馬鹿が、彼女を陥れないとも限らない。』


Najelith『・・・そうですね。少し、はしゃぎすぎたかも知れません。』

ナジュリスは苦笑いを浮かべた。

Gadaral『・・・それにしても気味の悪い剣だった。』


小さく溜め息をこぼし、ドアの前に立ち、振り返らずに溢した。

『風斬り・・・縁起のいい名前じゃねぇよな。』


Najelith『どうでしょう。』


今のところは、大丈夫。
そう思いたい。

Najelith『ガダ。』


振り返るガダラルをナジュリスは真っ直ぐに見つめ微笑んだ。

Najelith『ありがとう。感謝しています。』







































※この物語は

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劇中に登場する人物やLSは
実在するプレイヤーとは一切関係御座いません。(・∀・)