偽作 白雪姫 19 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい


「 お義母様に 私が ひとつだけ 

  情けを かけてあげましょう 」

  そう言うと白雪姫は 王妃に近づきました


「 何ぃぃい ? 情けだとぅ ?

  お前が かい ? 」

「 そうです これを どうぞ 」

  白雪姫は 真っ赤に輝く 林檎を差し出しました

「 うぬぬぬぅ こっ これは 、、、 」


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「 お義母様は よく ご存知じですよね 

  この 林 檎 を  、、 」


「  む む 、、、、、、 」


「 どんな意味かも おわかりでしょう 」


「  ぐ ぐ 、、、、、、 」


「 本国に送還され わが国民の前で

  恥を晒しながら 屈辱にまみれ処刑されるか 

  、、、、そ れ と も 、、、 」
 


「  ぎ ぎ 、、、、、、、、 」 



「 今 この林檎を 食べるか 

  どちらを 選ぶかは 自由ですよ
 
  お 義 母 様  」


  よく磨かれた 林檎は 

  人を魅惑する 宝石のように 

  眩く妖しく 微笑むように光りました


  王妃は 白雪姫から 

  真っ赤な 林檎を 受け取りました 


「 なんだか ギリシャ神話にある 

” パリスの審判 ” のようだねぇ お~っほほほっ 」

  その神話を知る者は 胸に不吉な予感が過ぎりました
         

「 最高の美女の私に与えられし 黄金の林檎 ! 」

  ざわめきの中 全ての者が王妃を見つめています


「 やがては また 争いの 火種ともなろう 、、、 」


  舞踏会会場は 水を打ったように静まり返りました


「 、、、私 が 


  いなくなって

  これで 終わりだと 思ったら 

  大きな 間違いだよ

  油断していると
        
  い つ の 日 か 

  ガブリと やられるよ 

  この ” 林 檎  ” のようにね 

  お ~ っ ほ っ ほ ほ ほ ほ っ 、、、、、、 」
  

  そう言うと 王妃は 

  濡れたように 艶やかに光る

  林 檎 を ゆっくりと齧りました

  王妃の 顔色は 蒼白になり

  齧った 赤い林檎は その手から落ち

  王妃の体は力尽きたように その場に崩れ落ちました
    

       
  続  く



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  「 パリスの審判 」

    ギリシア神話の一挿話で、

    トロイア戦争の発端とされる事件である。