歩けメロス 2 | 藤花のブログ 詩と

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この胸に 湧き上がる気持ちを 言葉にして あなたに贈りたい



 「 やばいよ やばいよ !

   とにかく この市から 一刻でも早く出よう。
 
   おいら ここの市民じゃないから 関係ないもの

   くわばら くわばら 」




   しかし たちまち彼は、

   パトロール中の警吏に 職務質問されました。



 「 おい、こら ! そこの不審者 とまれ ! 」



 「 え~っと オイラのことですかい ? 」



 「 お前以外に 誰もいないだろう

   夜間に荷物を背負って 何をしているんだ ? 」



 「 オイラは ただの羊飼いですぅぅ 」



 「 嘘をつけ 背中に荷物を担いで 

   口の周りには 無精髭 

   古典的なコントの泥棒にしか見えないぞ、

   百歩譲って 羊飼いとしても  

   夜に何の目的で お城に向かっているのだ ? 」



 「 しまった 道を間違えちゃった 

   オイラ うちに帰りたいだけなんですよぅ 」



   メロスは 迂闊にも道を間違え、

   城の方向に向かってしまったのです。

   花嫁衣裳などの持ち物を調べられました。

 

 「 なんだぁ こりゃぁ ウエディングドレス ? 

   お前は コスプレイヤーか ? 」



 「 いえ 妹の衣装です ~ 」



 「 妹 ? やっぱり おまえに似て ブサイクなのか ? 」



 「 失礼な オイラに似て それはもう かわいいんですよ、 

   妹の結婚式のために、色々と買い物をしていたんですよぅ、

   まだ ネットでショッピングという時代じゃないんでね 」



 「 嘘つけ ! 

   おまえに そっくりだったら もはや 

   その容貌は 人間の範疇を超えるだろう。

   嫁にもらうような そんな奇特な馬鹿な奴が

   いるわきゃないだろう ! 」


 「 失礼な ! オイラも妹も 人間ですよだ ! 」


 「 いや その顔じゃ 人間失格だな 」


 「 ひどい ! 」


 「 おまえは きっと

 ” 恥の多い生涯を送って来たんだろう。

   自分には、おまえの 人間の生活というものが、

   見当つかないのです ” 」


 「 こらぁああ ~!

   変なパロディは 太宰ファンが怒るぞ ! 」


 「 おやぁ ? おい ! これはなんだ !  」


   メロスの懐中から 短剣が出て来ました、

   警吏は 騒ぎ立てます。


 「 やっぱり、お前は 変態コスプレイヤーで

   おまけに テロリストなのだな !

   コノヤロウ ~! 逮捕する ~! 」


   けれど 田舎の村に住む 羊飼いの彼が 

   色々な用途のために 短刀を持っていても 

   なんら不思議ではありません。



 「 オイラ いつも短刀を もっているんだよ、

   木を削ったり、ロープを切ったり、

   チーズや ハムを切ったりするのさ。 

   オオカミだって 出るかも知れないし、

   お願~い 見逃してちょうだ~い 」




 「 ダメだ ! 言い訳は 王様の前でするんだな

   けっけっけ ~♪ 」



   警吏は 犯罪者摘発のノルマがあるために、

   これ幸いと メロスを逮捕しました。



 「 誰か たすけて ~!

   物凄~く 悪い予感が するんですけど ~! 」



 「 うん その予感は 当たってると思うぞ けけけけけ ♪ 」










   メロスは 残虐な王の前に 突き出されました。

   その王の 眉間のシワは 刻み込まれたように深く、

   険しい陰鬱な顔は、病的に蒼白でした。



 「 じぇじぇじぇ ! 」


   狂気と言われる王を 目の前にして、   

   これから 我が身に振りかかるであろう 

   恐ろしい事態を想像して メロスは戦慄しました。




   嗚呼 メロスの運命は どうなってしまうんでしょうか ? 




           続 く