2017年3月に、PMDAがベンゾジアゼピンの漫然投与、長期連用をやめるように医師たちに注意喚起したが、7年経ってもあまり現状は変わっていないようだ。

 

 

私は、2017年2月に、この注意喚起のような動向を知らずに、主治医の態度から自分の不調が、ベンゾジアゼピンの漫然投与による25年長期連用によるベンゾジアゼピン身体依存であることを見抜いた。そのときの状況を振り返る。

 

私は、ずっと一人の心療内科医にかかっていてた。この医師が実はベンゾジアゼピン常用量依存をかたくなに否定していたことをを知らなかった。そもそも、ベンゾジアゼピン承認用量依存の問題など知る由もない。たまたまネット記事にワイパックスを長期連用すると身体依存が生じるということを知ったのが2013年頃である。当時、主治医の心療内科認定医に「これ、長期連用してはいけないんじゃないんですか」と直接聞いたところ次のように答えた。

 

「いや、そんなことはない。パっと切っても大丈夫」

 

2016年の秋ごろに、どうにも腹痛のような痛みがあり、ワイパックスによるものではないかと再三診察で詰め寄ったが、医師は否定する。それでは、突然切っても問題ないのならそうしてほしいと主治医に頼んだ。主治医の言う通りなら、ワイパックスの離脱作用ではなく、別に原因があるはずであり、治療方針を絞り込める。主治医は自信たっぷりに突然処方を中止した。

 

しかし、それから、腹部痛とか非常に不快で痛い症状はますます酷くなり、非常に困った。診察でそう訴える私の様子にかなり医師は慌てだした。私もよくわからず、以前、尿管結石の経験があったからもしかすると思って、泌尿器科専門病院でエコー検査をした。その結果を主治医に告げた。

 

「尿管に石はない。だから、痛みの原因は尿管結石ではないと診断されました。」

 

ところが、主治医はこういう。

 

「いや、小さな石だと見つからない場合もある。造影剤を使ってもう一度検査してもらいなさい。」

 

自分の専門でもない泌尿器科の検査をあれこれと具体的に指示をする。主治医の様子は、私の痛みの原因がワイパックスを突然中止したせいであってほしくないと思っているのがよくわかった。

 

自分が処方している薬のせいで具合が悪くなっていることを認めたくない。しかし、認めざるを得ない実例が目の前にいる。

 

主治医の態度はますますおかしくなっていった。

 

主治医は、自分の長年の方針が間違っていたことを認めたくないために、ワイパックスを再処方して、徐々に漸減するということをしない。本当はそうすれば、だんだん落ち着くはずなのに、離脱もできるはずなのに、やったことがないからしないのだろう。それよりも、「パっと切っても大丈夫」と私に言い続けたためにできないのだ。

 

私がかなり苦しい状況であることを目にしても、私にはそうできないのだ。やってしまえば、自分の非を認めたことになるからだ。

 

この医師は本当に医師だろうか、いや人間だろうか。信じられない。

 

あまりの荒唐無稽な診察態度をとるので、同じ病院でセカンドオピニオンをとった。その医師から「ベンゾジアゼピン離脱症候群」という診断を初診で下された。25年以上の処方歴が完全な電子カルテになっていたからである。

 

数年おきに車の運転中にふっと眠くなるとか、大事故ではないが、ちょっとした物損事故を起こしてしまうのも、実は、ワイパックスのせいであったのだ。

 

そもそも、1993年には、私はこの主治医が勤務していた大学病院心療内科に1、2年ほど通院しただけで軽快していた。したがって、生活環境が変わり、大学病院通院が不可能になったとき、薬の服薬や通院そのものを断っていたのを、主治医がわざわざ通院可能なクリニックへ転院させて継続漫然投与を続けた挙句の結果がこれである。

 

なんてことをしてくれたんだと思う。

 

この主治医は、今も、○○県○○市で、新幹線停車駅の近くのビルでクリニックを経営している。

 

こんなことが許されていいのだろうか。

 

ベンゾジアゼピン依存などの薬物依存は、困った人たちが薬を求めすぎるから起こるという見方は、日本の医療ビジネス主義を理解していない。薬物依存などの薬害を100とすれば99は私のようなケースである。

 

それで、私が1993年に罹患していた病気は何かというと、軽症うつ病とか自律神経失調症である。クリニックへ転院した私がなぜ25年もの長期通院をしたのはなぜか。それは、うつ病再発とかそういうものではない。主治医の抗うつ薬とベンゾジアゼピンの継続長期投与による症状、つまり薬の作用を原疾患やその発展と見誤り続けていたのである。

 

通院初期の頃は、「薬を飲まないとまた再発しますよ」と説明していた。これも通院を長引かせるための方便である。

 

通院が長くなると、仕事も忙しくなる時がある。それを「軽躁がでてきた」という。軽症うつ病ブームの後継が双極性障害ブーム、発達障害ブームであり、医療ビジネス主義に基づいて作られたブームであることはあちこちで指摘されている。

 

結局のところ今私は断薬をして少なくとも5年経つが、医師の診断やそれに関連する予告はすべて外れた。

 

薬を飲まなくなった私の心身は、老化による不調を除けば、すこぶる快調である。

 

病院にかかる方が不健康になるのは現代医療の特徴である。そもそも、衛生状態と栄養状態が改善した現代は、それほど病気になることはない。

 

日本の医師は、とにかく過剰医療で診療報酬を稼ごうとするので、薬害を引き起こす。ベンゾジアゼピンの問題はこの典型例であり、今回の7年ぶりの注意喚起は、医療界に全く自浄能力がないことを改めて示しただけである。