日本で生活していく上で地震から逃れることは不可能ですので、大切になってくる耐震基準。
そういえばあまり知らないなと思って、調べてみました。
なお、知ったかにならないよう気をつけていますが、気になる点がありましたらご指摘お願いします。
3つの耐震基準
耐震基準は実は、建築基準法という法律で定められていて、大きく分けると3度改正されています。
- 1950年~ 旧耐震基準
震度5程度までの地震で修復可能、倒壊なし
- 1981年~ 新耐震基準
震度6強~7の地震で倒壊なし、震度5強程度までの地震で軽度なひび割れ程度
※宮城県沖地震を受けて改正
- 2000年~ (2000年基準)
木造住宅向けに規定を拡充
※阪神淡路大震災を受けて改正
これを見ると一見、旧耐震基準は震度6でアウトに見えますが、必ずしもそうではありません。
これらは最低基準ですので、実際はもっと強い地震でも大丈夫だった、もあり得ます。
家が建っている場所に、大きく左右されたりもします
ただし、気を付けた方がいいポイントが2つあります。
1つ目は「震度6強~7の地震で倒壊なし」が意味することについてです。
これは実は、震度7でも引き続き住み続けられることを意味しません。
お家が壊滅的なダメージを受けても、とりあえずあなたの命は守りますよ、という意味です。
一方で「震度5強程度までの地震で軽度なひび割れ程度」は、住み続けられることを意味します。
2つ目は、これらの耐震基準が想定しているのは1回目の地震ということです。
上では分かりやすさのために「震度6強~7の地震」と書きましたが、正確には「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震」という書かれ方をしています。
すなわち、人生において震度7の地震が2回くることなんて、想定されていません。
1回目の地震でお家がダメージを受けると、2回目の地震には耐えられないという事が起こりえますので、ここは覚えておいてください
適宜、メンテナンスは必要ということです。
熊本地震の場合
では実際に地震が起きたとしたら、それぞれの耐震基準でどの程度の被害なのか?
ここで一例として、熊本地震で被害が大きかった地域(益城町中心部)の、木造建築物の被害状況をグラフにしてみました。
結果は明らかに、新しい耐震基準の建築物ほど、被害が小さくなっています。
もちろん旧耐震基準だから全部バツ、新耐震基準だから全部マルというものでもありませんが。
ちなみに、上のグラフで大破とか中破とか小破とか書きましたが、判定基準は以下のようになっていました。
なんか中破/小破/軽微ってグラフでは一纏めになっていますが、結構差があるような?と思います。
でも残念ながら、これらを個別に集計したデータは見つけられませんでした。
とりあえず、古い建物ほど命の危険がある、と思っておけば間違いないと思います。
出来れば耐震診断を受けて、耐震補強を行いましょう。
また、その際は自治体からの補助金の有無の確認もお忘れなく。
例えば高松市であれば、旧耐震基準の住宅限定ですが、最大で109万円の補助があります
構造耐力
最後に。
建築物は「自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造」となるよう、以下の基準があります。
- 仕様規定
- 許容応力度計算(ルート1)
- 許容応力度等計算(ルート2)
- 保有水平耐力計算(ルート3)
- 限界耐力計算
- 時刻歴応答解析
【建築構造・オープンノート|建築基準法 第20条 構造耐力とはより】
建築物の区分によって守るべき基準が変わるのですが、①仕様規定は全建築物が守る必要があります。
そして木造2階建てなら①(もしくは②~⑥)でいいのですが、木造3階建てのような小規模建築物は②(もしくは③~⑥)への対応が必要です。
中規模建築物なら③(もしくは④~⑥)という感じで、規模が大きくなるほど下の基準への対応が必要となります。
つまり、こういう事です。
普通の木造住宅は①を満たせば適法です。
でもどうせなら・・・②~⑥を満たす方が、基準が底上げされます!
より安全な構造になりますよ、ということです。
もちろんよりお金がかかる話ではあるのですが、それに見合う効果があるのであれば採用を検討したいですよね?
多分、これを読まれている人のうち何%かは「②許容応力度計算」という言葉を聞いたことがあるのでは?と思います。
ということで次回は、許容応力度計算や耐震等級の話の予定です。
終わり。
今回も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
次回の話は、こちらです。