前川孝雄の"はたらく論"

「人が育つ現場づくり」の専門家集団(株)FeelWorks代表取締役の前川孝雄が、この国の人材育成・キャリア支援をあるべき方向に持っていく処方箋を書き綴ります。


テーマ:

最近の僕たちFeelWorksの強い関心事の一つが

中高年のキャリアです。


そんななか、ドンピシャのタイトルに惹かれ

日本の雇用と中高年 (ちくま新書)/筑摩書房
を読みました。
***********************

・日本でも欧米諸国も、1973年に石油危機を被り、
 深刻な雇用問題が発生した点は共通ですが、
 労働市場で不利益を被った年齢層は対照的だったのです。

 日本では人件費の高い中高年労働者の排出が進み、
 中高年失業者が大きな雇用問題になったのに対して、
 欧米諸国では技能の低い若者が就職できないまま
 失業者として滞留しました


・欧米の若者の問題は、まず何よりも仕事を遂行するための
 スキルが乏しいことであり、それゆえにほとんど唯一の
 入口である欠員補充で「職」に就こうとしても、
 スキルの高い中高年にはじき出されてしまうため、
 失業や不安定雇用にとどまってしまう


日本の雇用問題の中心である中高年問題とは、
 人件費が高くつくがゆえに、現に働いている企業から
 排出されやすく、排出されてしまったら
 なかなか再就職しにくいという問題


・企業がスキルのない若者向けに
 新卒一括採用という「入社」の入口を
 作ってくれているおかげで、
 別の入口から就職することが極めて困難になってしまう


・1973年に起こった石油危機

 正社員の整理解雇を厳しく規制することによる
 外部労働市場のフレクシビリティの不足を
 補うべく、配転、出向、労働時間など
 内部労働市場のフレクシビリティに対しては、
 この時期に裁判所が大きく容認する方向に舵を切っていきます


日本型雇用システムとは、
 欧州諸国が公的に面倒を見てこざるを得なかった
 この部分を、企業が年功賃金制度の中で 
 対応する仕組みでした




・雇用システム改革を論じるとは、
 こういう社会システム全体への目配りを絶やさずに、
 どこまで慎重かつ大胆な提案ができるかが問われる
 ということなのです。
 表層的な損得論をもてあそんでいるような人々の
 手に負えるような生やさしいものではありません


・寿命が伸びていくのに、
 高齢者を早く引退させて、減っていく現役世代の
 負担を重くしていくなどというばかげた政策は、
 もはやどの国もとることはできません。

 これは、1970年代から1980年代にかけて
 若者のためと思って早期引退促進政策という
 真逆の政策をとってきてしまったヨーロッパ諸国では
 とりわけ深く政策担当者たちの心に刻みこまれていること


・高齢者の雇用を進めると、
 若者の雇用が奪われるなどと煽情的に語り、
 無用な世代対立を煽りたがる一部の評論家諸氏は、
 高齢者を働かせないでおいて、どうやってその生計を
 維持するつもりなのでしょうか


・日本的にメンバーシップ型労働社会

・欧米風のジョブ型労働社会


・1966年7月の雇用対策法

 中高年齢者の雇用率の設定と適職の選定が規定

 職種の労働者数に占める中高年齢者の割合が
 各雇用率以上となるような努力義務を課す


・1966年4月12日 朝日新聞社説
 
 不足とは、年功賃金制の下で給与の低い、
 しかし将来の可能性に富む若年労働者と
 技能者のことであり、
 過剰とは、職業能力にくらべて
 相対的に給与の高い中高年層のことであり、
 最近の技術革新や経営管理の革新のために
 はみだされつつある中高年層でもある


・1948年に結成された日経連は、
 1950年の『新労務管理に関する見解』において、
 「徒に仕事内容と無関係な身分制の固定化と給与の悪平等」
 を排し、「仕事の量及び質を正確に反映した」
 職階給制度の導入を唱道しました


・賃金制度が職能給という形に落ち着いたことで、
 職務の限定なき雇用契約という在り方が確率した


・最初に整理解雇法理を定式化したのは
 1975年の大村野上事件(長崎大村支判昭50・12・24)


・1977年の雇用保険法改正

 出向先で賃金が下落する労働者にその差額を
 補填する出向元企業にも助成がされるようになりました。
 いわば、出向を企業内の雇用調整措置の一環として
 公的に認めたようなものです


・戦前の1936年に退職積立金及退職手当法が制定されたことが
 定年制の普及のきっかけ


・1941年の労働者年金保険法は55歳を養老年金の
 支給開始年齢と定めました。
 当時の工場ではおおむね55歳定年だつたからです


・1946年4月、日清紡績美合工場では「定年制確立」を
 要求し、これを受けて男子55歳、女子50歳の定年制を導入


・1954年の厚生年金保険法改正は、
 老齢年金受給者が本格的に発生するのを目前にして、
 インフレで機能停止した制度を再建するために行われたものですが、
 労使の反対にもかかわらず男子の支給開始年齢を段階的に
 60歳に引き上げることとされました

 最終的には1974年に60歳に到達することになりました


・1973年9月の雇用対策法の改正

 定年の引き上げ


・1970年代を通じて賃金制度改革による

 定年延長が国の政策として進められた


・「昭和60年に60歳定年」という標語


1986年4月に成立したのが高齢者雇用安定法

 「事業主は、定年を定める場合には、

 60歳を下回らないように務める」


 この規定は1994年改正で義務化され、全国施行された
 1998年4月以降は、定年は60歳を

 下回ることができなくなりました


・55歳から60歳への時代には、

 既に政策方向が「定年延長」として定式化


・ところが、1990年代から始まった
 65歳までの雇用を目指す政策においては、
 65歳定年も選択肢としては挙げられるものの、
 60歳定年を維持したまま65歳までの継続雇用制度を
 導入することが主として推進され、それが努力義務から
 法的義務へと進んできています


65歳定年などと言ったら、60歳までの年功賃金を
 引きずってしまうではないか、
 大幅に引き下げることが難しいではないか


・1990年代前半期に、経営側からしきりに
 ホワイトカラーの生産性向上が議論されていたことも、
 裏返せば生産性の低い(のに年功制で賃金は高い)
 中高年をどうするかが問題意識の焦点であった


・民主党の年齢差別禁止法案 2003年7月
 
 中高年に対する年齢差別をなくすためなら、
 スキルのない若者たちが有利な立場に立てる
 日本独自の雇用慣行をも捨て去るつもりである、
 と宣言していたことになりますね


・2012年

 国家戦略会議フロンティア分科会繁栄のフロンティア部会 
 (柳川範之座長)が2012年7月に好評した報告書
 「皆が75歳まで働くための「40歳定年制」」という提言


・先進諸国がほとんど年齢差別禁止法制が完備されつつある現在、
 かくも露骨に年齢差別的な提案を行える神経には驚かされます


・「年齢差別禁止法制なし」というのは
 日本と韓国だけです


・国勢調査や労働力調査などで国民の職業を分類するときに
 用いられるのが日本標準職業分類

 大分類
 A-管理的職業従事者


・日本の労働社会では、管理職というのは
 いかなる意味でも職種ではない


・長年平社員として一生懸命働いてきた人に
 ご褒美として与えられる処遇であり、
 一種の社内身分なのです


・日本型雇用システムとは、スキルの乏しい若者にとって
 有利である半面、長年働いてきた中高年にとっては 
 大変厳しい仕組みです。
 不況になるたびに中高年をターゲットにした
 リストラが繰り返され、いったん離職した中高年の
 再就職はきわめて困難です。

 しかしながら、その中高年いじめをもたらしているのは、
 年齢に基づいて昇進昇格するために中高年ほど
 人件費がかさんでいってしまう年功序列型処遇制度であり、
 そのなかにとどまっている限り、
 中高年ほど得をしているように見えてしまうのです


・年功制の否定というのが成果主義の中心になるわけですが、
 そのベースとなるべき評価基準は明確ではありません。
 欧米の成果主義はその基本に職務(ジョブ)が明確に存在しており、
 その上で職務ごとに期待される成果がどの程度達成されたかを
 査定して個別賃金が決定されるのです。

 しかし、日本で導入された成果主義賃金は決して職務給ではなく、
 むしろ現在の職能資格を職務等級に括り直しただけ
 というものが多かったようです。

 現在の人事労務管理は職務ベースで行われているわけではないので、
 成果主義といっても職能給マイナス年功制でしかないのが実態でした。
 しかしそれでは、成果主義とは査定の裁量幅の拡大に過ぎません


・日本経団連が2005年6月に公表した
 「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」

 「労働時間」と「非労働時間」の境界が、
 ホワイトカラー、その中でもとりわけ知的労働者層においては、
 曖昧といえる


 ホワイトカラーの仕事の特性を考えると、
 賃金と労働時間の長さを関連させている
 現行の労働時間法制には大きな限界があり、
 ホワイトカラーについては、こうした労働時間と
 賃金の直接的な結びつきを見直す時期にあるといえる


・問題は何よりも管理職クラスに昇格できない
 中高年ホワイトカラーの残業代をどうするか


・労働時間規制についていえば、
 三六協定さえ結べば青天井の残業や休日出勤が
 可能になってしまう点にこそ、日本の問題がある


まずジョブがあってその上に雇用契約がある以上、
 ジョブがなくなったのであれば解雇されるのは
 おかしな話ではないし、逆にジョブがきちんとあるのに
 解雇するというのなら、労働者個人にどういう問題があるかを
 きちんと立証する必要があります


・日本型雇用システムの本質は
 「職務の定めのない雇用契約」


・会社は労働者「の経験と能力を十分に活用できる」「適した職務」を
 社内に見つける義務がありますし、労働者側はどんな仕事であれ
 命じられた仕事を遂行する義務があります


日本の正社員は、
 (1)無期雇用、(2)フルタイム、(3)直接雇用、といった特徴を
 持つだけでなく、職務、勤務地、

 労働時間(残業)が限定されていない
 という傾向が欧米に比べても顕著であり、
 「無限定」社員となっている。そのため、

 職務、勤務地、労働時間が
 特定されている正社員、つまり「ジョブ型正社員」を
 増やすことが、正社員一人一人のワークライフバランスや
 能力を高め、多様な視点を持った労働者が貢献する経営
 (ダイバーシティ・マネジメント)を促進することとなり、
 労使双方にとって有益である


・少なくとも中高年期以降の賃金制度については、
 中長期的には生活給的な年功賃金制度から、
 個々の労働者の従事する職務に応じた
 職務給の方向に移行していかざるを得ない


 中高年期からジョブ型正社員のトラックに
 移行しておくことが不可欠


・女性について結婚または35歳を定年と定めた
 住友セメント事件(東京地判昭41・12・20)


・男子55歳、女子30歳定年が争われた
 東急機関工事件(東京地判昭44・7・1)

女子が結婚せずに又は結婚しても勤務を継続すると、
 モラルと生産能率の低下を生ずることになる


・さすがにこれらの制度を公序良俗違反で無効とした
 判例をようやく立法化したのが
 1985年の男女雇用機会均等法


・大企業を中心として、男女均等法に対応すべく
 導入されたのがコース別雇用管理
 

***********************



日本は一部の論者が指摘するような

若者に厳しい労働環境ではなく、

むしろ中高年にこそ厳しい労働環境である。


それは、年功序列型賃金で

外からみると、長く働くことで

得しているように見えるから、ということが

繰り返し主張されています。


昭和の時代までの

メンバーシップ型の会社組織はもう維持できないため、

欧米型のジョブ型の会社組織を目指すべき

というご主張。


元労働省で法律制定に関わってこられた著者だけに、

政治と法律制定の歴史がとてもよくわかりました。


ただ一点惜しむらくは、

マクロの政治・法整備視点に終始し、

実際の働く人たちや経営者個人の本音や思いを

ふまえた、現実的な未来志向に乏しかったことでしょうか。



確かに、欧米との横並びを考えると、

そう収れんしていくような気もするのですが、

欧米が正しく、日本が間違っている、

欧米が進んでいて、日本が遅れているという前提には同意できません。


僕は個人的には職務分掌をはっきりさせた

ジョブ型、職務給的な仕組みは日本には適さないと考えます。


なぜならば、

日本企業の強みは和とチームワークを重んじ、

現場での工夫改善を

経営力につなげるところだからです。


それに、

変化の時代に伸びる会社に適さないと考えています。


ぞれぞれの職務を決めたとて、

とれに見合わない職務が必ず出てきてしまうからです。


そんな時、「私の仕事ではないから」

という社員が増えたらどうなるでしょうか。


ただでさえ、タコツボ化で問題視されている

会社組織の現状を踏まえると、

やはり職能型で、でも年功制は排し、

チームの目的と個々の役割を重視する

ネオチームワーク型組織と

ネオチームワーク型人材を育成することが

重要だと思います。


*******************************************

ドラマで学ぶ「働く人のルール」講座

 公開セミナー型研修




■対象

・新入社員
・若手社員
・働くリアルを学びたい大学生の方



■開催日時

【1日講座】
・2014年10月 15日(水)10:00~17:30
・2014年10月 16日(木)10:00~17:30
【2日講座】
・2014年10月 15日(水)10月 16日(木)10:00~17:30

■教材

・書籍「あたりまえだけどなかなかわからない働く人のルール」
・研修テキスト


■講師

㈱FeelWorks 講師陣

若者のキャリア支援はもちろん、

上司へのマネジメントやコーチング研修を行う

経験豊富な講師が「若者」「先輩・上司」

双方の視点を解説しながら研修を実施いたします。


※先着順:定員になり次第締め切り
※定員に達しなかった場合、
中止することもございます。ご了承ください。


          ▽    ▽    ▽

■詳細およびお申込みページ■


****************************************




30代はアニキ力: 後輩を育て、上司を動かす (平凡社新書 716)/平凡社

¥798
Amazon.co.jp

仕事の基本 結果を出す人の「報・連・相」/日本能率協会マネジメントセンター

¥1,365

Amazon.co.jp


苦手な人ほど上手にできる 女性の部下の活かし方 (メディアファクトリー新書)/メディアファクトリー

¥777
Amazon.co.jp

あたりまえだけどなかなかわからない 働く人のルール (アスカビジネス)/明日香出版社

¥1,365

Amazon.co.jp



()FeelWorksの活動は、以下でもチェックくださいね
◆FeelWorksのホームページ

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

前川孝雄@FeelWorks代表取締役さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。