■26歳。北新地で働くキャバ嬢の職業観とは? | 前川孝雄の"はたらく論"

前川孝雄の"はたらく論"

「人が育つ現場づくり」の専門家集団(株)FeelWorks代表取締役の前川孝雄が、この国の人材育成・キャリア支援をあるべき方向に持っていく処方箋を書き綴ります。


テーマ:

就職氷河期、核家族化、共働き社会、ゆとり教育、インターネットの浸透・・・

大人たちが作ってきた社会が若者たちにどう影響を与えたのか。


調査データでは見えてこない、生の声を私は聞き続けています。

先般も、若手女性の職業観の変化を取材しました。


日本の三大都市のうち、東京や名古屋が100年に一度と騒ぐ前から、

不況にあえいでいた大阪。


若者の多い大阪ミナミと比して、高級クラブもひしめく大人の街キタ。

北新地で働くキャバ嬢の話を聞くことができました。


身長は150センチちょっと。

とても愛くるしい瞳でコケティッシュでアイドルのようなルックスながら

奔放でありつつハキハキと話すギャップがさらに魅力的に見えます。




「家は芦屋です。裕福な家系でした。三人兄弟の長女です。

 祖父や祖母の兄弟・姉妹は、その世代に珍しく皆大学を出ています。

 父も母も中学から大学まで、私立のお嬢様、おぼっちゃん学校を出ているほど。

 両親は商社で働いていて、社内結婚だったようです。

 母は、私が生まれると同時に専業主婦になりました。」


「中学では放送部で生徒会の会長もやりました。

 高校は茶道部に入り、部長も務めました。

 学生生活はとても楽しかったです。

 先生にもかわいがってもらってました」


「中学二年生の時に初めての彼もできました。

 付き合うといっても、とてもプラトニックな感じ(笑)。

 高校の時は、マクドナルドでアルバイトをしていて 

 そこで出会った大学生とお付き合いしました。


 うちの門限が7時と厳しかったのですが、

 親公認でしたから

 彼はいつもうちに来てごはんを食べていました。」


一見、何の不自由もなく、

活発な子供時代を過ごしたように見える彼女。


何か、辛いことはなかったのでしょうか。


「実は、子供のころから父と母の仲があまりよくありませんでした

 私が20歳のときに両親は離婚しています。

 物心ついた時から夫婦の会話を聞いたことがありません。


 母はお嬢様育だったからか、

 50代になった今でも少女のようです。

 ただ、そのぶん感情の起伏が激しく

 泣き出したり怒り出すと手がつけられません。」


母親がヒステリックに怒りはじめると

嵐が治まるのをじっと待つ習性が身についたそうです。


「高校二年生の時に、些細なことで母がキレ、

 深夜に家から追い出されました。

 いつものように、母のヒステリーがおさまるまで

 外で時間をつぶそうと近くの公園に行きました。


 ただ、それが真冬で、パジャマ一枚で

 サンダルだけで出されたものですから、

 どんどん体温が下がっていくのが自分でもわかりました。


 気づいた時には、大学生の彼に抱きかかえられていました。

 自宅に着き体温計を図ると34度くらいしかありません。

 さすがに我を取り戻した母が熱い風呂に入れようとしてくれたのですが、

 どうしても母を受け入れることができませんでした

 結局、私を裸にして風呂に入れてくれたのは彼でした」


それでも、母親のことを嫌いになることはなかったとか。

その環境が当たり前だったからか、

母の顔色ばかりを伺い、母が喜んでくれる娘でいることを

自分に課すようになっていったといいます。


また、感情を押し殺す癖がついたためか、

家庭や家族の記憶が途切れ途だとといいます。


そんな彼女の人生観を作る決定的な事件が

起こったのは高校三年生のある日。


アルバイトから帰ると三歳違いで中学三年生だった妹が、

部屋の中のなのに帽子をかぶっています。


「どうしたの?」


「うううん、何も」(うつむき加減で帽子を目深にかぶり直します)


怪訝に思った彼女は、「ちゃんと顔見せて」と帽子を外します。


なんと、そこには、

見るも無残にまだらの坊主頭になり泣きはらした妹の顔がありました。


「お姉ちゃーん。わー」。

妹は抱きつき、大声をあげて泣きじゃくりました。


キッチンにいた母に「何があったの?」と聞いても、素知らぬ顔。


妹を落ち着かせてわかったのは、些細なことでまた母がキレて、

反抗した妹の髪の毛を母がハサミで切り刻んだ

ことがわかりました。


夜、仕事から帰ってきた父も、「どうした?」と妹に事情聞いたものの、

母の仕業とわかったとたん、無言になり、母には何も言わなかったそうです。



その様子を見て、彼女は決心しました。

将来は、妹と弟をちゃんと私が養おう。

 養えるだけの力を蓄えよう。できるだけ早く自立したい



今すぐにでも妹と弟を連れて、家を飛び出したいと思ったものの、

さすがに高校生ではいきなり生計を立てるのは不可能。

自分の無力さが悔しくて仕方なかったとか。


比較的成績のよかった彼女でしたが、

大学受験に失敗します。一浪したものの、やはり志望大学には受からず。

やむなくCADを学ぶ専門学校に進学することになります。


大学に行かないのであれば、学費は出しません


母の鶴の一声で、彼女はアルバイトで学費を稼がざるをえなくなりました。


それでも、手に職をつけた彼女は、

大手メーカーに設計の専門職として就職します。


「大学に行けなくて母の期待には応えられなかったけど、

 就職では名前の通っている会社に入ることを最優先しました。

 母が喜んでくれるし。」


しかし、そこでの仕事は

「妹や弟を養う力をつけるには程遠い」状況だったといいます。


「とにかく、言われたとおりにCADの図面を書くだけ。

 社風ものんびりしていて、年功序列。

 これなら、高校生のアルバイトでもできるなって。

 

 私はもっとビジネスの全体像が学べる仕事をしたい。

 提案力や営業力も磨きたいし、

 自分がやったぶんだけ跳ね返ってくる仕事がした


入社二年目に入ったころから、

転職活動を始めます。


「でも、たいていの仕事は学歴ではねられてしまうんです。

 私、専門学校卒で大学出てないから

 SPIとかエントリーシートとかも、大学生のシュウカツしてないからわからないし。

 とにかく、会ってほしい。会ってもらえれば、絶対に受かる自信はあったんです」


大卒が必須条件でない会社から

彼女が選んでのは、営業ノルマは激しいものの

実力次第で高給が得られる大手不動産会社の契約営業社員


「5社ほど候補はあったんですけど、

 正直行きたかったのは、2社でした。

 大手企業で母が喜んでくれると思ったから

 転職活動はしてましたけど、受かるまで母には内緒にしてました」


見事、転職に成功した彼女は

母に報告し、喜んでくれた顔にホっと胸をなでおろしたといいます。


「営業の仕事は楽しかったです。 

やればやるほど、お給料に返ってくるし。

自分の提案力がついていくのも実感しました。」


ちょうど、そのころ彼女は合コンで知り合った

大手総合商社の一歳年上の彼と結婚する。


「彼は若いのにしっかりしてるなと思ったし、

 いい会社にいたので、母も喜んでくれたし


当初、結婚生活は楽しかったものの、

営業職として評価され、仕事にまい進する彼女と

伝統的な会社で年功序列の中、若手は下積み仕事しかやらせてもらえない夫の間に

微妙な歪みが生まれ始める。


「夫は、最初は、仕事を頑張り、将来独立も考えている私を応援してくれていました。

 でも、会社で私が評価されるほど夫は不機嫌になっていきました

 そのうち、怒鳴るようにもなってきました」


彼女は、幼少のころについた習性が出始め

夫が怒鳴り始めると、感情を消し無口になり、

嵐がおさまるのを待つようになっていきました。


また、今の仕事を続けていたら破局すると思い、

契約社員の仕事も辞め、家事をこなしつつ、

独立準備をすることとしました。


しかし、そんな夫婦関係も長く続かず、

彼女は夫に家を追い出され、ついに離婚にいたりました。


「コンサルティグ営業の仕事で独立しようと

 40万円ほど貯金をしていたんです。

 でも、家を借りたりしていたら、全部なくなってしまいました。

 会社を設立し、お客様もできたけど、すぐにキャッシュは入ってきません」


困りに困った彼女は、

夜の仕事で運転資金と生活資金を稼ことを決めます。


私、キャバクラなんて大嫌いでした

 JJやCanCam好きな学生時代の友達たちは、そんなバイトしている子はいなかったし。

 キャバ嬢なんて、どうせお客さんとヤリまくってると思ってましたし。


 でも、自立するためにはやるしかない。私決めたら絶対にまっとうするんです。

 バイトサイトで探して、最初は尼崎のキャバクラで働き始めました。

 時給は2100円でした。


 25歳の私は、女の子の中で最年長。新人なのに一番年上

 20歳前後のキャバ嬢はみんな中卒か高卒の子ばかり。

 

 やれるか不安だったけど、一か月でナンバー2になり、

 売上では店でトップになりました。時給も3500円まであげてもらえました。」


A指名(場内)、B指名(場外)、同伴など

最初はわからなかったキャバ嬢用語もすぐマスターしたとか。


すぐに、彼女は新たな目標を見つける。


「やはり尼崎のキャバクラに来るお客さんから

 お金を稼ぐのが悪いなぁ、と思って。

 

 だって、普通の中小企業のサラリーマンが

 お小遣いでやっと一カ月に一度通ってくれる。

色客(恋人と思わせる客)になんて絶対できない。

 ヤルなんてとんでもない。


 そこで、関西で一番の高級クラブが集う

 北新地に行ってみたと思ったんです。」


早速、求人情報を探した彼女は

全国に店を持つ大手キャバクラに合格する。


「今、新地で働いています。週6日。

 昼間は自分の会社の営業もしますから、

 毎日の睡眠時間は3時間あるかないか(笑)。」


80人前後は女の子が在籍するお店で

午後9時半から遅い時は午前3時ころまで働くといいます。

新地というこで、女の子も19歳から38歳までと幅広く、

最年長ではなくなったとか。


今の稼ぎは、月に50万円くらいです。

 トップになると200~300万円くらい稼ぐ子もいる


 すごいなぁと思うけど、私は他のキャバ嬢たちとは違う。

 年内には資金を稼いで昼の仕事一本にするつもりです」


北新地の高級店で働くようになった今も

彼女は夜の仕事は大嫌といいます。


「だって、みんなだらしない。出勤時間もルーズだし、

 お客さんに対する好き嫌いも激しい。突然来なくなってりもするし。


 みんな、『昼の仕事に上がりたい』っていいます。

 でも、私から言わせると『昼の仕事に上がらせてほしい』

 にすぎない。


 彼ができたら辞めるくせに、別れたら、また戻ってくる。

 中には、昼の会社勤めに挑戦する子もいるけど、

 『お給料安すぎ、子供のお小遣いじゃないんだから』と戻ってくる。

 毎日働いて、お給料10数万円が信じられないようです

 

 ただ、尼崎のキャバクラの時より今は気持ちが楽だともいいます。


「今のお客さんから稼ぐのは、悪いなぁと思わなくていい。

 会社の社長、弁護士など士業、医者、特に歯医者さんが多い。

 なけなしのお小遣いじゃなく、あぶく銭出で来ているから


 それに、経営者にたくさん会えるので、

 起業している私にはとても勉強にもなります」


ところで、今の仕事を母は知っているのでしょうか。


母にですか?

絶対言わないですよ。悲しみますし、理解できないと思います。

 それもあるから、早く上がらなきゃ。」


屈託なく話す彼女。

キャバ嬢で働く同世代の若手女性たちはこう見えるといいます。


「今、普通に就職して働こうと思っても仕事なんてなかなかない。

 中卒、高卒だったらもっとない。 

 キャバ嬢みたいにつき20~30万円稼げる仕事なんてないでしょ


「いったんこの世界に入って、

 金銭感覚が変わってしまったら、もう抜けられないみたい。」


そう話す彼女自身、

昼の自立した起業という目標と、

現実的に今稼げるキャバ嬢の仕事の狭間で揺れ動いている。


一見、活発で明るくかわいらしい彼女。


「妹と弟を私は養わなくちゃいけない」

もっともっとと、だれにも頼ろうとせず、自分を追い詰める彼女に

表面上は豊かで幸せなはずの現代社会の哀しさを感じずにはいられませんでした。


豊かな時代に育ったのに

愛情を注がれた経験が少ない若者たち。


大人は、豊かな時代に育った自分を顧み

 若者たちを抱きしめてやならなければならない

そう強く感じます。



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