今年は暖かかったので、アブラナ科野菜は早かったですね。

「のらぼう菜」はもう殆ど終わりました。沢山実が付いています。
コレは毎年良くタネが穫れます。
他のアブラナ科野菜と交雑しないので、何処に植えても大丈夫だしネット等で覆わないのでハチ、アブ類が沢山来て受粉してくれます。

コレは「広東ドワーフ・パクチョイ」。
チンゲンサイの親戚です。小型の茎の白い中国野菜です。
コレが今年は一番はやく咲いて、周囲をネットで囲って「隔離」してたんですが、早く咲き終わったのでネットを剥いで後は収穫を待つばかり、です。
ネットハウスにすると雑交は防げますが、モノによっては結実率が落ちてしまいます。
品種によって違うんですけどね、大根の類は特に悪化する感じです。
そんな品種では、毎日、午前10時~昼くらいまでの間に隣の株と花と花とをチョンチョンくっつけて強制受粉させます。同じ株の花ではダメです、同種の別の株の花とチョンチョンします。

これは「ガルギール」、エジプトのルッコラです。
エジプト産の癖に日本の気候に合うのか、ルッコラの中では最も栽培成績が良くて、放任でもよく育ち大きくなります。
味もピリ辛で美味しいです。
なのに何故か売れません。名前が良くないんですかね?
今度から「クレオパトラ・ルッコラ」とかテキトーに名付けて売りましょうか?
売れないので播くのを減らしたら、何故か出来が悪くて2株しか残りませんでした。
なかなか上手く行きませんね。
因みに、辛いの苦手の方には裏技があります。
サラダにした時、マヨネーズをかけると、何故か辛さが消えます。
「ガルギール」は長期間ゆっくりと咲き続けますが、コレも「のらぼう菜」と同じで他のアブラナ科野菜と交雑しないので放任でOKです。
但し「ルッコラ・コルチバータ」とは交雑すると思いますので注意してください。
「ルッコラ・セルバチカ」とは・・・多分かからないと思いますけど・・・試してないので分かりません。

コチラは「鶴斗白菜」。やっぱり「広東白菜」の仲間、って事はチンゲンサイの仲間です。
丁度、チンゲンサイとターサイの間みたいな感じで、茎が白菜みたいに幅広く分厚くなるヤツです。
ネットで巻いてたので花茎が絡まって塊になってしまいました。
でも、実はよく付いているのでタネは沢山穫れます。
ただコイツはチョット形質が不安定なので、もう1、2作は選抜を重ねたいと思います。

ネットハウスの中で「早池峰菜」は今が満開です。
「早池峰菜」はこの手のアブラナ科野菜(カブ、白菜、チンゲンサイの類)では一番開花が遅いものの一つです。
早生小松菜や広東白菜の様な開花の早いモノをハウス内の気温の高いトコに植えて早く咲かせ、晩生の「新黒葉小松菜」や「早池峰菜」を少し気温の低い場所(朝夕日が当たらないとか)に植えて開花を遅れさせると、花期が重ならず雑交を防ぐ事が出来ます。

このネットハウスはワザと完全に覆わずに屋根を開放しているので、少しずつ野生のミツバチなどが入ってきて受粉してくれます。
純粋性を保つ為には、完全隔離が良いのですが、そうすると受粉率が落ちます。
完全隔離して、外からハチなどを捕まえて来て入れてやれば良いんですけど、ハチもお家に帰れなくなると辛いでしょうから・・・・
適度に開けて、同時に同類他種との距離をソコソコに取ったり、間に障壁(家の東と西、とか間に背の高いヤブがあるとか、ネットを張るとか)を設けたりすると雑交が減ります。
ウチはむしろ栽培に影響が無い程度の雑交なら、チョイチョイ毛色の違うのが出てきて楽しいので、極端に純血性を求めない様にしています。
ウチのタネ播いて「醜いアヒルの子」が現れたら、採種でもして長い目で見てやってください。
確率は高くないけど、オリジナルの良い品種になる可能性も無い訳ではありません。
昔の品種はそんな感じで、交雑や突然変異で現れた「醜いアヒルの子」をピックアップして選抜を重ねた結果できあがったのだろうと思います。
色んな野菜のタネを自家採種して販売しようとすると、前の季節の品種の収穫と次の季節の品種の作付けが重なり、その忙しい時期に販売も重なり、下手すると今年みたいに感染症の流行も重なり、ソコへやれ圃場の整備だ、樹木の伐採だ、猪が侵入した、ワンコが山に逃げた、台風が来た・・・
で、毎年グチャグチャです。
ま、世間の「仕事」ってものは大なり小なりそう言うもので、頑張って「イレギュラーが日常」ってトコまで対応能力を鍛えるしかありませんね。