コレね2018年12月22日、にフェイスブックページに書いた記事です。
ヤフーブログから引っ越してきて、ヤフーの方に書いてた記事は全部こっちに来てるんだけど、1年くらいFBの方にしか書いてなかった記事もあるので、ソレをチョイチョイこっちに追加しています。
ハイッ!「一起、了知亚洲吧!(ご一緒に、アジアを知ろう!)」です。
近年のアジア各国の発展には眼を見張るモノがあります。
幸いユーチューブとかでリアルな動画も見れる時代です。
関心を持って色々探してみると、日本とは異なる様々な「発想」に出会えると思います。
今日はマジメに農業関係です。
"Rice harvester"ッて書いてありますが、要するに「コンバイン」です。
日本では「ハーベスタ」って言うと「脱穀機」の事で、刈取りから脱穀まで全部やるヤツを「コンバイン」って言いますよね。
たぶん(想像ですけどね)、イネを刈って束ねて結束する「バインダー(Binder)」が先に普及して、束になったイネを稲架掛け乾燥してから「動力脱穀機」で脱穀したワケです。昭和の4、50年代にね。
この「動力脱穀機」を「ハーベスタ(harvester)」と呼んで、刈り取りと脱穀が同時にできる様に「バインダー」と「ハーベスタ」を組み合わせた=「コンバイン(combine)」したものッて意味で「 combine harvester」の事を「コンバイン」と呼んだわけです。
そんなワケで日本では「コンバイン(組み合わせ)」の方で呼んでいますが、本来の意味からイケば「ハーベスタ(収穫機)」に重点があるワケです。
日本のは「自脱型コンバイン」と呼ばれるタイプですが、この動画のモノは「普通型コンバイン」の小型のものです。
「自脱型」と「普通型」はどこが違うのか?って話ですけど、機能的にはだいたい同じです。
イネを刈り取って脱穀する機械です。
日本のヤツは「唐箕」の機能も付いていて、籾の選別まで行います。
動画のモノは歩行式の「普通型」で刈り取って脱穀するだけのタイプみたいです。コチラ↓
https://youtu.be/Ofm0lWd7o6M
また、ややこしい話ですが、日本の「自脱型」は「自動脱穀型」の略ですが、「普通型」も自動的に脱穀します。
んじゃ、どこが違うの?ってなりますよね。
「自脱型」(このネーミングが混乱の元なんですけど・・・)は、ま、要するに手作業でやってた収穫作業をそのまんま機械にやらせたって感じです。
先端のバリカンで刈り取って、チェーンみたいな搬送装置で稲束を揃えた状態で「コキ胴」のトコへ運び込んで、グルグル回る「コキ胴」で脱穀します。
この「コキ胴」は丸っ切り「足踏み式脱穀機」のグルグル回る部分そのものです。
で、叩き落とした籾粒を篩とファンで選別して綺麗な粒に揃えてるワケです。
「普通型」は作物(まあ、麦とか大豆とか)を刈り取って、「自脱型」と同じ様に内部に搬送するんですけど、「コキ胴」ではなく「ラスプバーシリンダー」って言う穀粒をコキ落とすコキ棒みたいなモノを円柱形に並べたモノがあって、コレで穂をスリ下ろす感じで脱穀するみたいです。(申し訳ありません。実は普通型コンバインの実物を見た事がありません。日本にはあまりないので・・・)
ウチで麦を脱穀する時は、穂刈りして石臼に穂を放り込んで杵でゴリゴリして脱穀するんですけど、同じ様な感じじゃないかと思います。
麦や大豆は乾燥していればすり潰す様にして脱穀できますからね。
つまり日本の稲では、すり潰し式の「普通型」だと米粒が潰れて屑米になってしまうので、手作業と同じやり方で穀粒を傷付けずに脱穀する「自脱型」が開発された、ッて事じゃないかと思います。
んじゃあ、この動画の稲刈り用の「普通型」は「何でョ?」ってなりますわ、ね。
はっきりとは分かりませんが、このタイプの機械は東南アジアやインド、バングラディシュなどの「インディカ米」栽培地域に多い様です。
よく見ると、刈り取られている稲も穂が長く大きく穀粒が細長いインディカ種です。
たぶん「脱粒性」のインディカ米なんじゃないかと思います。
以前、ご紹介しました中国南部の大寨(Dazhai)の棚田の収穫風景の動画がありましたけど、そこでもやっぱりインディカ種らしき稲を木箱の縁に叩き付けて脱穀しています。
コチラ↓
https://www.youtube.com/watch?v=bLNGm7t0YsI&t=18s
叩いただけで落ちるくらいの「脱粒性」の稲だったら、「普通型」に軽めに?コキ落とす「ラスプバーシリンダー」をセットすれば小さな動力でも脱穀できそうです。
動画の「Rice hervester」でも稲穂をたぐりこむカゴ状の「リール」があって、その向こうに白い横向きの筒状の部分が見えます。
たぶんあの中にコキ棒を円筒状に配置した「ラスプバーシリンダー」が入っていて、ジャリーっと穂から穀粒をコキ落としてるんじゃないかと思います。
日本の農業書なんかだと、「昔の稲は脱粒性だったけど栽培に不都合なので脱粒しないモノが選抜されて、現代の稲は非脱粒性になっている」みたいな事が書かれています。
私はこの説はチョット怪しいと思っています。
だって「千歯扱き」が発明されたのは元禄時代ですし、「足踏み式脱穀機」なんか明治の終わり頃ですからね、作業性から考えてもあんまり穀粒が落ちにくい稲は歓迎されなかったんじゃないかと思いますョ。
「コキ箸」と言う二本の棒で稲穂を挟んで籾粒をコキ取っていたんですからね、手作業で。
昔は「ワラ」も農業資材や建築資材として重要な収穫物だったので、ワラと一緒に穀粒も収穫出来た方が良かったんでしょうね。
だから極端にパラパラ落ちるのはダメってなったんじゃないかと思います。
今は、ワラは収穫せずにコンバインで切り刻んで田んぼに撒き散らしてるんですから、脱粒性品種の方が小さな機械で収穫できる、と言うメリットも出てくるかも知れません。
んじゃぁ、チョット脱粒性のイネを作ってみよう!!と思うんですが、残念ながら今の日本の品種には殆どありません。
「コシヒカリ」のご先祖の一つ、良食味米で現在も現役の「旭」が脱粒性なんですが、古代米みたいにゾロっと落ちる程ひどい脱粒性ではありません。
多用途米(つまりまあ、原料とか飼料用のヤツね)の「タカナリ」と言うのが韓国のインディカ品種から育成されたもので、結構バラバラ落ちるみたいなんですが、タネ籾売ってますかね?
手に入れば作ってみたいと思います。
因みにこの「タカナリ」も脱粒しにくい方向で改良されて「オオナリ」と言う品種が出来ているそうです。
色々、発想を変えて見た方が良いと思うんですけどね・・・・
