コレね2018年11月27日  、フェイスブックページに書いた記事です。
ヤフーブログから引っ越してきて、ヤフーの方に書いてた記事は全部こっちに来てるんだけど、1年くらいヤフーに書いてなかったのでその間の記事をチョイチョイこっちに追加します。
日に1件アップしてたのですが、間に合わないので2、3件ずつアップします。

 

何十年ぶりかに「農薬」買いました。
今年は麦をたくさん播いたからね。
ココの気候は「赤かび病」が出易いので予防策の「石灰硫黄合剤」です。

こんなにたくさん要らないんだけど、最近小瓶は売ってないからね。
農薬なんか他には使わないから、これだけあったら10年分くらいあるかもね。
まあ、麦を増産すれば別ですけどね。
 

他の作物には全く薬剤使わないのに、何で麦の場合だけわざわざ農薬買って来て散布するかと言うと、麦類に「赤かび病」が出ると「カビ毒(マイコトキシンmycotoxin)」が発生するからです。
麦類の「カビ毒」はニバレノール(NIV)とかデオキシニバレノール(DON)とか言うヤツで、コレが出ると事実上食用にしちゃダメってヤツです。

下手すると残留農薬よりコッチの方が毒性高かったりしますからね。


毒物を摂取した時の急性毒性を表す指標にLD50ってのがあります。
摂取したら半数が死んでしまう体重1kg当たりの量です。
少ないほどアブナイって事ね。
DONのLD50はマウスで46~78mg/kg体重で、石灰硫黄合剤のLD50は442mg/kg(♂ラット)、603mg/kg(♀ラット)なので、カビ毒の方が約10倍くらいアブナイって事ですね。
まあ、マウスやラットと人では違うでしょうけど、仮に同程度だとすると、DONは60kgの大人で2.8g~4.7gだけで100人のウチ50人が死亡、石灰硫黄合剤は26.5g~36.1gで半分死亡って事ですからね。
カビ毒の方が農薬より僅かな量で危険な状況になるワケです。
何でも無農薬が良いってワケじゃないんですよ。
 

因みによく問題になっているネオニコチノイド系農薬の急性毒性はイミダクロプリド でラットで400~450mg/kgだそうですから、石灰硫黄合剤と同等、カビ毒より遥に低い、と言う事です。
今の農薬は急性毒性はだいたい低いんじゃないかと思いますよ。問題にされてるのは残留性とか環境に対する影響とかですからね。
農産物をチョット食べてただちにどうにかなる、みたいな物はないでしょうね。


また「石灰硫黄合剤」は一応、有機JAS規格でも使って良いって事になっている薬剤です。
コレ使ってても「有機農法です」って言って良い、って事ね。
石灰と硫黄、両方自然物の化合物ですから、分解しても元々土の中に存在してる物にしかならないって事でしょうね。


勘違いしてもらっては困るんですけど、じゃあ「石灰硫黄合剤」が安全か?って話になると、そりゃあ違いますよ。

昔、園芸屋で仕事してた時に、冬に庭木の手入れとかしたら「マツクイムシ」防除で松の葉っぱが白くなるくらい「石灰硫黄合剤」かけてましたけど、その頃の印象は結構怖い農薬って感じでした。
強アルカリ性ですから、肌に付いたりすると焼けるんですよ。
目や喉に入ると大変です。
散布する時は保護メガネやマスクが必須です。

一応、殺虫殺菌剤ですから、多用したり濃度が高すぎたりすると生態系に影響がでます。
高温期に使うと薬害が出やすいし、生物の活動期だと当然圃場の生き物が減ります。


まあ、薬剤でも肥料でも、比較してみてどっちが良いかってだけの話なんですよ。
やらずに済めばやらないのが一番、でも、必要な時には適正な使用法で!!
んで同じ使うなら残留しにくいもの、って話です。