今村省吾『じんかん』です。
久しぶりに、509頁のハードカバーの本を読みました。
数日かかりましたが、読みごたえがありました(内容も)
民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、
なぜ稀代の悪人となったか?
仕えた主人を殺し、
天下の将軍を暗殺し、
東大寺の大仏殿を焼き尽くす・・・・。
時は天正五年(1557年)。
ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。
信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の
謀叛を企てたという。
前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の
小姓・狩野又九郎。
だが、意外にも信長は笑みを浮かべた。
やがて信長は、かつて秀久と語り明かした時に直接聞いたと
いう壮絶な半生を語りだす。
(帯より)
僕も、これまで「言われてきた事」と違う面から見た、
「松永弾正久秀」の人生をよみました。
無論、これは小説ですが、今村省吾氏が調べたことをもとに
書かれている事は、必ずしも間違ってはいないと思いました。
題字の「じんかん」は、人間を意味します。
戦国時代親を無くした子供が、生きるすべはなかった。
身を寄せた山寺も、足軽たちに蹂躙され住職も殺された。
山の中にはそうした孤児たちが、生き抜くため数人集まり野盗と
化していた。
その中に、多聞丸(14歳)を頭とした子供の野盗が、旅人や移動
する荷駄を襲って生きていた。
九兵衛、後の「久秀」は貧しい農家で育つが、ある日、食料を強奪に
きた足軽に父は殺され、一切の糧を奪われた母は餓死でに死んでしまう。
弟と二人になったが、ある寺が二人の面倒をみてもよいとの僥倖。
その寺で三年過ごしたが、野盗に襲われ住職も死んで皆んなまた離散。
人買いに連れられ、足軽の荷駄と共に山を超えているときに、多聞丸
率いる子供達7人に襲われ、頭領の多聞丸に助けられる。
そのような、過去を持つ九兵衛が、三好家に仕え足軽から武士として
の多難人生を送るわけですが、ここでは語りきれません。
面白いし、読んでいくうちに引き込まれていく小説です。
歴史小説が好きな人は、一読の価値はあります!