津奈美は、凄腕と評判の産婆のオバァに愛する息子の裕司を取り上げてもらう。
が、この産婆がとんだ食わせ者だった。
これまで取り上げた2369人の子にそれぞれ面白半分でまじないをかけて楽しんでいたのだ。
裕司は母親以外の周りの人から見えない姿になっていたのだが、それが産婆のオバァがかけたまじないのせいだと知る。
まじないを解く方法は、息子にかけた7つの願いと同じ願いをかけられた人から願いを奪うこと。
裕司のためならなんだってやる!
そう決意した津奈美は、息子の姿を取り戻すために毎晩命がけで井戸に飛び込み「陰」の世界で奮闘する。


タイトルだけだとしっとり系の話かと思いきや、実は破天荒でスリル満点な疾走感と躍動感に溢れたファンタジー。
沖縄の風土を取り込みながらの物語はおとぎ話のようで、
また、母親の子を思う愛の大きさや深さが痛く強く感じられました。
「自分の子のためなら鬼になる」と、葛藤しながらも悪者となる鬼気迫る母の決意が潔くて美しいのです。


沖縄といえばオバァですね~。
池上さんの描く産婆のオバァといえば、やることがホントにハチャメチャで酷いんですけど、でも、なぜかキャラ的に憎めないんです。
オバァ、最高!
そして、母は強し。


ファンタジーだけど、でも現実的で切ない話でした。
南の島の空気感もいいんですよね。


津奈美は無事我が子をオバァのまじないから救うことができるのか・・
他人の願いを奪っていくということは・・


ラストは泣きました。


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