まとふ(matohu)２０１３／２０１４年秋冬コレクション

まとふ２０１３／２０１４年秋冬コレクション

matohu

「あはい(あわい)」つまり、日本独特の観念であり、服としても重要な要素である間、時間と空間の
関係性と調和をテーマにしたまとふ(matohu)２０１３／２０１４年秋冬コレクション。

美しい色を使い、空間とグラフィックの中に、自然の風景や物語を感じさせるコレクションを見せた。降り注ぐ雪と屋根のようなファーとツイードのケープ、桜が散っているようにも雪が降っているようにも見えるコート、スパンコール、雲や光。どこまでも深い自然のようなブルーやパープル。そして、墨絵や水墨画のような色たち。絞り染めなどの日本の技術を駆使した色と素材自体が見る者や着る人に語りかけ、自然の風景を感じさせる。虫の声に季節の変化を感じる感覚とも共通する日本的なデザインだ。自然や物語を描き出す色や素材は着物や日本の工芸品から書やイッセイ・ミヤケのデザインなどにまで続いてきたものであり、まとふ自体も１年前、秩父宮ラグビー場で開催された２０１２／２０１３年秋冬の「やつし」のコレクションや２０１２年春夏の「映り」のコレクションなど、これまで何度も見せていたものだが、鮮やかな色や光が新鮮だ。

また、今シーズンはロンドンを拠点に活動するテーティスト播安芸子による帽子とアクセサリーも登場した。頭から垂れた帽子などのデザインは展覧会で漂うように店内に置かれていた、石膏をストッキングで包んで作った「魂（たま）」と共通するもので、１月１８日から２７日まで、表参道本店でmatohuゲストアーティスト・シリーズAKIKO BAN「MYSTIC PARADE　百鬼夜行」がきっかけとなった。パリコレクションでシュルレアリスムがトレンドとして注目される中で、全体のバランスからすると当然とは言え、「目玉」の付いた妖怪や鬼たちでなく、魂が選ばれたというのも興味深い。