「この世界の片隅に」と賛美歌

テーマ:

 ヒット上映中の映画「この世界の片隅に」は、ほんとうにいいので、ぜひ観てください。

 

 ところで、映画パンフにも明示されていませんが、作品の冒頭の場面で静かに小さく、賛美歌111番「神の御子は今宵しも」が流れます。おそらく作品を劇場で観たかたも多くは気づいておられないでしょう。私は小学校から高校まで両親の影響でキリスト教会に通っていたので、すぐ認識できました。

 

 調べますと、大阪生まれ在ニューヨークの歌手、コトリンゴが歌っています。この映画の挿入歌はすべて彼女です。主題歌は「みぎてのうた」ですが、ザ・フォーク・クルセダーズをカバーした「悲しくてやりきれない」が中心的に耳に届きます。

 

 ところで、日常生活を戦争と原爆によってこわされていく主人公の物語に、なぜ賛美歌のうちのクリスマスソングを片渕須直監督は配したのでしょうか。

 

 作品は説明しませんが、戦前の日常にも西欧文化が入った華やかなものが多くあったのです。戦前には暗いイメージしか持たしていない教育の影響でしょうが、クリスマスなどは戦争直前まで「狂想曲」と言われるほど、日本社会で満喫されていたのです。監督は、作品冒頭の1933年の少女の様子を描くとき、クリスマスソングを日常の象徴として入れたと私は解釈しました。日常の破壊への監督の静かで大きな怒りを感じます。

 

私のFBより 斎藤浩

 

 

AD

同じテーマ 「映画」 の記事