私宛の遺言

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 実の親は遺言を残さなかったが、2015年2月28日に逝去された滝井繁男先生は私に二つの遺言をされた。

 

 ひとつは2007年4月26日付の遺言で、つぎのように書かれている。

「まず、相続財産のうち、5000万円を基金とし、これを行政訴訟を活性化させ、国民の権利重視の行政に向わしめる諸動に寄与せしめるため有意義に使うこととし、その具体策を水野武夫、斎藤浩両弁護士に委ねる」。

 

 ふたつは阿部泰隆・斎藤浩編「行政訴訟第2次改革の論点」(信山社)を謹呈した時の2013年12月の礼状で、つぎのように書かれている。

 「最近の立法状況をみていますと、巨大与党の存在で官庁の力が一段と強くなりつつあるだけに、行政訴訟改革は一層強い抵抗を受けることになるようにみえてくるのです。

 にもかかわらず、よりよき行政訴訟制度のために奮迅の努力を続けられていることに心から敬意を表する次第です。

 もともと実務家として行政訴訟への関与される中で、制度改革の不可避性を認識され、あるべきシステムを探られる中で、着実に学者として地歩を築かれ、かの阿部先生からも一目おかれるようになられたこと、まことに嬉しいことです。何れ、ご高著『行政訴訟の実務と理論』も版を改められることとご期待申し上げております」。

 

 ひとつめの遺言については水野弁護士とともに色々と考えており、第一番目の活動として、佐藤幸冶・泉徳治編「滝井繁男先生追悼論集 行政訴訟の活発化と国民の権利重視の行政へ」(日本評論社)を今月(7月)刊行する。私はその編集実務を担当した。全国の憲法、行政法、租税法、環境法の研究者、実務家が渾身の論稿を書いている。私ももちろん書いた。

 ふたつめの遺言は、私の「行政訴訟の実務と理論」(三省堂)を改訂せよとの滝井先生からのご指示だと受け止めている。色々な他の執筆義務を整理しつつ、これから1年以内にやり遂げたいと思う。

 

斎藤浩

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