蛸怪獣ガイロスと戦うため変身しようとしたモロボシダンに、謎の少年真市がダンに叫んだ言葉です。
今回考察する話ノンマルトの使者はウルトラセブンの中も特にシリアスで謎の多い話です。
そもそもノンマルトとは・・・・・
地球原人 ノンマルト
・自称地球の先住民
・大昔は地上に住んでいたが、現在の地球人に追いやられ海底に住んでいる。
・セブンの故郷M78星雲では地球人をノンマルトと呼ぶ。
これが「ノンマルト使者」の時点で分かったことです。
ノンマルトが地球の先住民だとしたら我々人類は・・・・?そう、つまりノンマルトは人類を侵略者だと言ってきているのです。
それまでノンマルトの存在はウルトラでも知りませんでした。その存在が確認されたのは突如現れた謎の少年の言葉がきっかけでした。
「海底の開発をやめてよ!やめないと、大変なことになるよ!」
最初は聞く耳を持たなかったアンヌ隊員。しかし、少年が去った直後、海底開発センターが爆発してしまいます。
その後、その少年を探しますが見つからず、警備隊本部には少年から電話がかかってきた。
「海底はノンマルトのものなんだ!海底はノンマルトにとって人間よりもずっと大事なんだ!」
ここで初めてノンマルトという言葉が登場。
そしてアンヌ隊員は少年を見つけ話を聞くと、とうとうノンマルトは地上を攻撃することを明かされる。
そしてノンマルトはガイロスを操り船を襲う。一度は撃退されるものの、さらにイギリスの原子力潜水艦グローリア号で襲撃、地上を本気で総攻撃をかけてきたのです。
そしてついにダンは謎の少年、真市と対面。ダンは真実がどうであれ、僕は戦わなければならないことを告げると、迷いの中セブンに変身しようとする・・・・・そして真市少年が冒頭の言葉をダンに言ったのです。
ガイロスはセブンに倒され、グローリア号もウルトラ警備隊によって沈められました。その後、ウルトラ警備隊はノンマルトの海底都市を見つけました。なんとここでキリヤマ隊長はノンマルトが侵略宇宙人かもしれないということで、海底都市を攻撃してしまったのです!!全てを破壊し終わった後のキリヤマ隊長の言葉。
「我々の勝利だ!!これで海底も我々のものだ!!海底の開発を邪魔するものはいない!!」
・・・・・・衝撃の発言。キリヤマ隊長らしからぬ発言に驚いた人は多かったはずです。これで完全に人類が悪者になってしまいました。
ダンとアンヌは真市少年と会った海岸に行くとそこには1人の女性。花束を捧げている石の墓標のようなものには
「真市」
という文字が刻まれていた・・・・・
なんともホラーな結末ですねえ。
つまり今までアンヌ隊員と話していた真市少年は、タイトル通りノンマルトが変身した使者だったのででしょうか・・・・・ はたまた、真市少年の幽霊がノンマルトの襲撃を人類に警告をしてきたのでしょうか・・・・・
ここで話は終わってしまい。真相は謎のまま終わってしまいました。
僕はノンマルトの話を信じられませんでした。進化の歴史が正しければ、はるか昔の人類はそこまで力も科学力も持っていません。ノンマルトの方が確実に強いのでおい払うことなどできるはずないのです。僕はノンマルトは元々海底人で、住む場所を拡大しようと狙ってきたんだと思いました。
しかしM78星雲で呼ばれている「ノンマルト」は、現在の人類を指すのか海底のノンマルトのことを指すのか、もし海底の方だったら・・・・・
そしてこの話の31年後、ノンマルトにケリをつけるような話が作られました。
その作品は平成ウルトラセブン最終6部作「わたしは地球人」です。
ウルトラ警備隊のカザモリ隊員の姿を借りているセブンの前にノンマルトの生き残りを名乗る女性が現れます。彼女はノンマルトの襲撃事件を断罪せよと要求し、地球防衛軍の管理するオメガファイルを全宇宙に公開するよう求めてきました。しかしノンマルト襲撃の事実を隠そうとする防衛軍はデータや資料を削除し、ノンマルトの海底都市の攻撃命令を出したキリヤマ隊長を殺し、証拠を隠滅していました。(実は初期の設定ではキリヤマ隊長がノンマルトの海底都市を攻撃したとしてその裁判をするシーンが予定されていたが、キリヤマ隊長の人が亡くなってしまい実現には至らなかった。)
そしてウルトラ警備隊がオメガファイルの開示を参謀に要求しているなか、ついにノンマルトは守護獣であるザバンギを使い攻撃し、自らの手でオメガファイルを開示しようとします。
そして変身したセブンは防衛軍の管理下にあった中国のノンマルトの遺跡から発掘されたオーパーツをみつける。すると中から現れたのは平成セブン最終6部作の1作目で殉職したフルハシ参謀!彼はノンマルトの手により蘇り、数万年前の地球に送りこまれ今の人類の先祖がノンマルトを侵略しているところを目撃していたのだ!
それを知ったダンは、何人たりとも自分の星以外で生きる権利も侵略する権利も無いという厳粛な宇宙の摂理により自分はもう地球人の味方は出来ないという。フルハシは人間は罪を改めて変わっていくから人間を信じてくれと主張するも、ダンは背を向け部屋を出て行ってしまう。知らなければよかったと後悔するダン。
そして、シラガネ隊長の活躍でついにオメガファイルが公開されはじめる!しかしノンマルトは今更滅ぼされた仲間は戻って来ないと、オメガファイル公開の証拠を消そうとザバンギを電波研究所に向かわせる。ダンはウィンダムとミクラスを向かわせるがザバンギの力の前に圧倒されてしまう。
「なぜ人間を許せない!?これ以上力を行使するなら、私は地球人のために戦う!」
意を決して変身するダン!しかし迷いのためザバンギに攻撃できない!そこでフルハシ参謀の言葉を思い出したダンは迷いを振り切り、ザバンギをアイスラッガーで息の根を止めた。
「セブンよ!覚悟するがいい!お前の居場所はこの宇宙には無い!」
辛辣な言葉を残して消え去るノンマルト。そしてセブンはカザモリを解放しフルハシ参謀に分かれを告げると、人類を守り抜いた事に満足して光の中に消えていきました・・・・・
これで一応ノンマルトの話は終わりになります。この話の結論では「人類は侵略者である」という前作の定義が確定されてしまったことになっています。
しかし、本当にそうでしょうか?
僕はどうしてもこの話の結論は間違っていると思います。なぜなら、
本当に女性はノンマルトなのか?
という疑問があるからです。
前作でノンマルトは海底都市を攻撃され滅んでいるはずです。そして突然生き残りを称した女性の登場・・・・・むしがよすぎますね。しかも女性はノンマルトを自称しているだけで、しかも人間体のままだったので本当にノンマルトである確証はありません。
さらに謎なのが、ノンマルトはオメガファイルの公開を目的としていたはずなのに、何故人類がオメガファイルを公開しようとしていたのに邪魔したのかです。そのまま放っておけば目的達成だというのに。
このことから、この女性はノンマルトではなく、別の侵略者だったのではないかという可能性が考えられます。
セブンが言っていたように自分の星以外を侵略することは宇宙の摂理で許されていない。そこで人類とノンマルトの関係やノンマルト事件のことを知っている侵略者は、これを利用しようとたくらむ。まずノンマルトに化けて人類側にオメガファイルの公開を要求する。当然人間側はオメガファイルの公開を渋る。そこで、人類がオメガファイルを公開するはずが無いと考えた侵略者は、公開を求めるという大義名分をたててザバンギを使い人類を絶滅させ、人間がいなくなった地球に仲間を移りすませる計画だった・・・・・・ということにはならないでしょうか?
すると他の事柄にも言い分がたつ。
キリヤマ隊長の殺害など過激な手段で証拠隠滅を働いていた防衛軍の保安部。もしかしてその保安部の人間の中にその侵略宇宙人が紛れ込んでいた、または保安部の人間を操って隠蔽することで人類の信用を落とす作戦だったのでは?(事実、この続きとなる平成セブンエボリューション5部作で防衛軍の人間が密かに宇宙人にすり替わり防衛軍は壊滅した。)
ザバンギもノンマルトに化けた宇宙人が本物のザバンギを操っているかもしれないが実はザバンギに似せて作り出した怪獣兵器だったかもしれません。
また、フルハシ参謀を数万年前の地球に連れていったと言っていますが、それはノンマルトが見せていた幻覚だったのでは?その根拠は、人類だと思われる者がノンマルトを襲撃しているシーン。円盤だと思われる物体が攻撃しているのがわかります。数万年に我々人間の先祖が円盤を作る技術があるということは、現代の科学はもっと進歩していないと不自然です。
まあこの仮説も確定的なものではありませんが、根拠が色々当てはまるこの説が1番有力だと思います。
ちなみに、先に説明した「ノンマルトの使者」は沖縄の植民地時代の体験を基に作られたという噂があります。よく見るとこのノンマルトと人類の先住民はどちらかの話。今日本が抱えている問題の1つ、北方領土問題に似てませんか?日本が住んでいた北方領土をロシアが不法占拠した問題。日本=ノンマルト、ロシア=人類だとすると・・・・? もしノンマルトの言ってる事が完全に事実ならノンマルトがこれだけのことをやるのも当然だと思いませんか?それでもノンマルトが悪者だと言い切れますか?
確実ではありませんが、こういう歴史的な問題を絡めているのかもしれませんね・・・・
みなさんはどうお考えでしょうか?人類とノンマルト、
どちらが先住民だと思いますか?
また、
どちらが侵略者だと思いますか?
今回の考察を終わります。読んでいただいてありがとうございました!