[2016/07/27放送]カツ丼好きな母親 | なでしこラジオ presented by 日本フードアナリスト協会

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松田陽菜子の「ひだまりフード研究所」のコーナーでは、
心がほっと暖かくなるようなお話を、紹介しています。

今週は、「カツ丼好きな母親」という話です。
はじまり。はじまり。

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大学に進学しなかった俺が、20代半ばで就職活動を始めた頃の話。
ある会社の正社員の面接行った。その時はもうその会社で20数社目で、高卒の俺を受け入れてくれるところはなく、全部駄目だった。



それで、その日は車でしか行けないところだったから、母親が仕事を休んで車を出してくれた。
母親は、俺が面接してもらっている間も、帰らずに駐車場で待っていてくれた。
出てきたのは、社長と人事課長。社長は、絵に書いたような怖い顔で。
面倒くさそうに履歴書見て「高卒で職歴なし?」
「バイトなら経験あるっていったって職歴なしは職歴なしだろう?」
「うちでそんなの雇うわけないだろ?もう帰ってくれ。用はないだろ。終わり終わり」


面接どころか、きっぱりと切られてしまった。



車に戻ると母は面接には触れず、
「また寒くなるんだって、今ラジオで言ってた」
「ごはん食べて帰ろうか」って。
無言のまま、定食屋に入って、カツ丼好きな母親は、カツ丼頼み、食べていた。
そしたら母親が「受かるといいねー」って言うからさ、俺答えに困っちゃって。
いろんな言い訳考えた末に、正直に「いや、駄目だったんだ、今日も」といった。
そしたら母親が、
「今日のカツ丼、あんまりおいしくなかったね。今度はもっと美味しいの食べたいわ。」ていいだして、
「もっと美味しいカツ丼食べがてら、また送ってくよ。」
て言うんだ。
俺は申し訳なくて、目に溢れる涙を隠すのに必死だった。

あれから3年、あの後、内定をもらった就職先で今は働いている。初給料がでて、母親に美味しいカツ丼ご馳走したときの笑顔は今でも忘れない。
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