マウイ島に行くと必ずこの風車の近くを車で通ると思います。

オアフ島でもノースショアに行くと、このタイプの風力発電用の風車を見かけますね。

 

ハワイは島嶼地域ということでエネルギーも食料も輸送コストが乗っかるので生活費が必然的に高くなるわけですが、地球温暖化対策とエネルギー自給の両面から再生可能エネルギーの導入が積極的に進められています。

 

2030年までに省エネの効果と合わせて再エネの比率を70%まで高め、さらに2045年に100%を達成する法案が通り、現在その目標に向かって太陽光発電や風力発電のシステム構築を、蓄電技術とともに積極的に推進しているとのことです。

 

マウイ島に関しては2011年から2016年まで、日本のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と日立が中心となってスマートグリッド(次世代送電網)の実証実験が行われていたそうです。

 

その報告がこちら。プロジェクト名「JUMP Smart Maui」

 

電力需要が多くない時間帯に発電のピークを迎える風力発電の欠点を補うため、電気自動車のバッテリーに充電したり、熱に変換したりと様々な工夫がなされたようです。

 

化石燃料の使用を減らすという意味で、電気自動車の利用は一石二鳥。

 

原発だ火力だ再エネだと発電の方法ばかりに気を取られがちですが、再エネ導入に関しては自然エネルギーの出力変動をどう調節するか、どう蓄えるか、そして送電網と使い方まで含めたコントロールがカギを握っているのではないでしょうか。

 

日本では送電線の使用領域に空きがありながら、再生可能エネルギーで発電した電力を接続できないことが問題になっています。「原発を動かした時のために空けておかなければならない」というのがその理由です。

 

原発は出力調整に高いコストがかかるため、使うなら優先的に最大量を使うことになります。再エネ新電力などが現在の大手電力会社の送電網を借りる仕組みでは、基本的に大都市圏で自然エネルギーが広く大きく普及することはあり得ません。

 

地方都市においては、かなりの比率を再エネでまかなえる自治体もすでにあるようですが、もし日本で再エネをベースロード電源になるくらい普及させるとしたら、ハワイで行われているようなエネルギーの地産地消を市町村レベルで独立し、できるだけ小さく完結させる仕組みが必要になるのかもしれません。その上で連結による融通性を高めていく方法がよいのでは、なんて素人レベルでは考えたりもするのですが…


現状では大都市圏の省エネ対策というのが現実的な路線に思えます。



 

再エネに関する国内情報を見ると日立、東芝、三菱など日本の原発開発トップ企業は、実は再生可能エネルギーの分野でも日本のトップなんですね。それぞれ発電プラントの新技術や、洋上風力発電と海底送電ケーブルだったり、スマートグリッドだったり。

 

 


日本ではオジロワシが風力発電の風車に激突死するバードストライクが問題になりましたが、ハワイでも希少なコウモリや州の鳥ネネのバードストライクが問題になっているようです。風が吹き上がる斜面は、上昇気流を利用して飛ぶ生物の通り道でもあります。

 

こうした環境アセスメントも含めて課題が多いのも事実です。

 

しかしそこに向かって行くと決めた以上、投資を集中することで技術的に解決するのは時間の問題。

 

あとはやっぱりコスト。お金の問題でしょうか。