UFC305 感想 | 銀玉戦士のアトリエ

銀玉戦士のアトリエ

一応UFC、MMA、海外キックを語るブログ。ゆるーく家庭菜園や食べ物エントリーもあります。

Instagram ID:notoriousginchang

 

オーストラリアで開催されたUFC305感想です。

メインイベントはミドル級タイトルマッチ。

今年1月に前王者ショーン・ストリックランドを破って新王者に戴冠した南アフリカ出身の👑🇿🇦ドリカス・ドゥプレシスに、元王者で挑戦者の🇳🇬イスラエル・アデサンヤが挑むという、ホワイトアフリカンVSブラックアフリカンによるタイトルマッチでの対戦となりました。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

 

⚪️🇧🇷カーロス・プラテスVSリー・ジンリャン🇨🇳⚫️(2RKO)※ウェルター級

 

 

 

長身のプラテスはサウスポー、ジンリャンは基本オーソドックス構え。

1R、中間距離で左右ローキック、右ミドルを蹴ってゆくジンリャンに対し、プラテスは様子を見ているのか序盤は手数が少なめ。しかしプラテスがノーモーションの左ストレートでフラッシュダウンを奪うと、ここからプラテスが徐々にプレッシャーを掛けていき、終了直前に左を打ち込んで2度のダウンを奪い、ラウンドを取ります。

 

ダウンを奪った事で打撃戦のアドバンテージを取ったプラテスは、2Rになると長身+サウスポー構えの利点を生かし、ジンリャンが中に入ってくると左右パンチのカウンターやボディへのテンカオ、左ハイキックをヒットさせ、逆にジンリャンのローやワンツーを空転させて自分の距離で試合を支配していきます。

ラウンド終盤、プラテスが伸びのある左ストレートでダウンを奪うと、そこから更に畳み掛けていき、最後は左右のフックを顎に叩き込んでジンリャンはマットに倒れ込んで失神。

 

カーロス・プラテスが、元ランカーのジンリャン相手に衝撃的なKO勝ちを納めました‼️

この選手はボディへの膝蹴りが得意技で、何度もKO勝ちを納めていますが、ディアス兄弟のようにパンチに伸びがありノーモーションで見切りずらく、精度が高いというのも、ストライカーとしての大きな利点です。

 

 

 

 

⚪️🇸🇷ジョルジーニョ・ホーゼンストライクVSタイ・ツイバサ🇦🇺⚫️(3R判定)※ヘビー級

 

 

 

謎のスプリット判定でツイバサに付けたジャッジが1名居ましたが、ホーゼンストライクが実質完勝の内容で連敗をストップしました。

 

下がりながらのカウンターが巧いホーゼンストライクに対し、警戒してるのか1Rは近い距離に入れないツイバサ。ホーゼンストライクをTD出来るレベルのスキルが無く、そうなってくるとツイバサとしては距離を詰めて打撃を打ち込むしか勝つ術は無いのですが、ツイバサが意を決して踏み込んで近い距離になっての打撃の攻防においても、元キックボクサーであるホーゼンストライクに一日の長がありました。

 

ツイバサは2Rにローキックを蹴った後に足を痛めた事もあり、更に不利な状況に。

中間距離では左ジャブ、距離が近くなるとコンビネーションやクリンチ打撃、ヘッドスリップやサイドステップでのディフェンスが光ったホーゼンストライクが試合を支配し、判定勝利を納めました。

 

ツイバサはこれで5連敗。体型がマーク・ハントに似ている事から、ポストマーク・ハントとして期待されていた選手でしたが、厳しい状況に追い込まれてしまいました。

思えばハントがUFCで活躍できたのも、打撃耐性が求められるK-1で優勝出来るだけのストライキングの技術とタフネスがあってこそ、の部分は絶対にあったと思うので、MMA以外でのキャリアの研鑽がモノを言っていたところはありましたね。難しいものです。

 

 

 

 

⚪️🇳🇿ダン・フッカーVSマテウス・ガムロット🇵🇱⚫️(3R判定)※ライト級

 

 

 

 

ストライカーのフッカー、グラップラーのガムロットによるスクランブル&スタンディングの激しいMMAの試合が繰り広げられました‼️グレーテスト‼️‼️

 

 

1Rは得意の低空タックルでTDを奪ったガムロット、フッカーに立たれた後もパンチでダウンを奪い直後にグラウンドに持ち込んだガムロットでしたが、フッカーもリカバリーしてスタンドに戻ると、すかさずプレッシャーを掛けていってガムロットをケージ際に追い込み、左フックでダウンを奪いました。

 

フッカーはグラウンドの攻防になって立った後もしっかりとプレッシャーを掛けて、得意の打撃でガムロットを下がらせていったのが良かったです。

相手の寝技を恐れず、自分の得意分野であるキックボクシングの技術を信じてプレッシャーを掛けていける。K-1ファイター😝💓の鑑です。

2RもガムロットがTDを奪い、サイドポジションを取ってコントロールしていましたが、フッカーも立ち上がると三日月蹴りや左右パンチをヒットさせてプレッシャーを掛けていき、ガムロットのタックルを切ってのギロチンの仕掛けやウィザーの状態での肘を打ち込んで立て直していきました。

 

3Rはガムロットもパンチをヒットさせ、逆にフッカーのパンチはやや大振りで空転していましたが、それでもタックルは切った上でプレッシャーを掛けていってラストに強烈な左を打ち込み、激しい試合をスプリット判定で制しました。

 

 

 

 

⚪️🇳🇿カイ・カラフランスVSスティーブ・アーセグ🇦🇺⚫️(1RTKO)※フライ級

 

 

 

両者オーソドックス構え。

脱力されたジャブと絶妙なカウンターの左フックを得意とするアーセグに対し、距離を詰めてのコンビネーションが得意なカラフランスは右ボディストレートをヒットさせつつ、スイッチしてからの一発を狙っていきますが、アーセグはバックステップでかわします。

じわじわとプレッシャーを掛けていき、ガードの隙間にノーモーションの左ジャブをヒットさせるアーセグ。と、カラフランスが大きく踏み込んで右オーバーハンドを放ち、アーセグがバックステップでスカすと、直後にサウスポーにスイッチして大きく踏み込んで体重移動で威力を乗せた左オーバーハンドがヒットし、アーセグはダウン‼️

アーセグは立ち上がりますが、直後に右ストレートで再びダウンを奪ったカラフランスがパウンド連打でレフェリーストップ‼️

 

スイッチフェイントを織り交ぜた技ありの豪快なKOで、カイ・カラフランスが勝利を納めました‼️

 

 

一応フライ級の次期挑戦者は朝倉海と噂されていますが(っていうかUFCデビュー戦でいきなりタイトルマッチだなんて、こういう契約を無理矢理ねじ込んだのは絶対にバラちゃんの仕業だろ💢‼️)、その次は今回KO勝利したカラフランスか、10月のファイトナイト大会でメインイベントで戦うブランドン・ロイヴァルVS平良達郎の勝者になると思われます。

 

 

 

 

 

⚪️👑🇿🇦ドリカス・ドゥプレシスVSイスラエル・アデサンヤ🇳🇬⚫️(4R一本・リアネイキドチョーク)※UFCミドル級タイトルマッチ

 

 

 

1R、遠い間合いで強めにインロー、サウスポースイッチしての左ミドルをヒットさせるアデサンヤ。フェイントを入れて王者ドゥプレシスを反応させて下がらせ、ドゥプレシスの右を振ってからのボディロックもディフェンスするアデサンヤ。

アデサンヤはドゥプレシスの左ハイキックもブロックし、上段にガードを固めたダッチブロッキング構えの空いた中段に、強めにボディブローを打ち込んで初回を取ります。

 

2R、カウンタータックルでTDを奪ったドゥプレシス。アデサンヤが立ちあがろうとしたところへすかさずライディング(馬乗り)の状態でバックを取ってバックマウントでアデサンヤを組み伏せ、RNCで一本を決めようとしますが、アデサンヤもこれを外してリカバリーしてスタンドに戻り、直後にプレッシャーを掛けていってコンビネーションを放ち、ダウンを奪うも、アデサンヤがスリップしたところでドゥプレシスもケージに押し付け、ケージレスリングの攻防で終わります。

 

3R、疲れが見えているドゥプレシスに対し、左右ボディブローや三日月蹴りをヒットさせていくアデサンヤ。ガードの隙間にアッパーをヒットさせつつ、中盤にはカウンターのバック肘をヒットさせ、ドゥプレシスのパンチにもバックステップで対応し、打撃戦を優位に運んで3Rはアデサンヤがポイントを取ります。

 

 

4R、上下のコンビネーションをヒットさせ、ドゥプレシスのタックルも切ってゆくアデサンヤ。3Rと同じく三日月蹴りやボディブローをヒットさせ、タフなドゥプレシスを消耗させて反撃に備えていきます。

踏み込みのスピードも鈍り、パンチやローキックが空転させられるドゥプレシスでしたが、ラウンド終盤に踏み込んで打っていった左右フックがヒットし、アデサンヤは下がりますがなおもパンチを被弾して直後にドゥプレシスがボディロックでTDを奪うと、そこからバックを取ってリアネイキドチョークで締め上げ、アデサンヤはタップアウト。

 





 

劣勢に立たされた状態からの逆転一本勝利‼️‼️

南アフリカの重戦車、ドリカス・ドゥプレシスが初防衛に成功しました‼️‼️

 

 

 

アデサンヤファンの自分としましては悔しい結末でしたけど、両者の意地と勝利への執念が感じられた、素晴らしいタイトルマッチでした‼️‼️‼️グレーテスト😝‼️‼️‼️‼️

 

スタンドの攻防ではやはりキックボクシングの試合経験が豊富なアデサンヤが全体としてはペースを握っていました。

今回はポイントアウト的な試合に留まらず、強めに左ミドルやボディブロー、三日月蹴りを叩き込んでドゥプレシスのスタミナを消耗させて、タフなドゥプレシスの反撃に備えつつ、攻め所ではコンビネーションを打っていってフィニッシュを狙っていました。

2Rのあわや一本負けのピンチを乗り越え、その後の試合のペースを握っていけたのも良かったです。

 

ただドリカス・ドゥプレシス・・・この選手のタフネスというのは生命として謎に満ちています。

パンチもキックもフォームがブレてますし、明らかに疲れている雰囲気でしたし、踏み込んで打つ時はドタバタしているようなフットワークですし、一流のキックボクシングの試合だったらまず当たらないだろうという打撃なのですが、何故か当たって効かせてしまうというのがドゥプレシスの不思議なところですし、MMAの試合ならではなんだと思います。

構えをスイッチしたり、予測不能なタイミングで打ち返してきたり、相手にとっては読みにくい攻撃なんですけどね。

アデサンヤも試合を優位に進めながらも、ドゥプレシスのタフネスと予測不能にギアを上げていく攻撃に、見えないプレッシャーを感じていたのだと思います。

ドゥプレシスは体幹とフィジカルが物凄く強い選手なんでしょうね。

パンチを効かせた後にすかさずレベルチェンジしてボディロックでTDを奪い、素早く一本で仕留めていったのも見事です。

 

 

 

勝った王者ドゥプレシスは、次戦の相手は元王者ショーン・ストリックランドになるとの話です。

 

一方の負けたアデサンヤ。これでミドル級では再びのタイトル挑戦は遠のいた感じですし、王者時代にミドル級のランカー達とは対戦が一巡したので、今後はライトヘビー級に上げての2階級制覇を目指すのも良いかと思います。

 

 

 

試合前はアフリカの人種問題の歴史認識でヒートアップしていた両者も、試合終了後はリスペクトし合っていました。

かつてアパルトヘイト政策でアフリカの黒人を虐げてきたヨーロッパ系白人の子孫であるドゥプレシスと、アフリカで最も治安の悪い国であるナイジェリアで生を受けたアデサンヤ。 

試合が終わったら両者綺麗にわだかまりが収まったという事で、再戦は行わないほうが最も美しいと思います。 

というわけでアデサンヤはライトヘビー級に階級を上げて2階級制覇を狙って欲しいです。