~強制認知調停と法務省通達を経験して~
東日本在住 M.K
2007年5月 「医師による離婚後妊娠の証明書を添付すれば現夫の子とする」 という法務省通達が出ましたが、そんな通達が出るとは夢にも思っていなかった、その五ヶ月前の2006年12月31日に、私は息子を出産しました。
離婚から292日目のことです。
もともと出産予定日は離婚から343日目にあたる日でしたが、切迫早産で約一ヶ月半早い出産となり、この300日問題に巻き込まれました。
以前からこの問題に取り組んでいる井戸事務局長に、産院のベッドから藁をも掴む思いで連絡を取り、強制認知調停の準備と共に法務省や議員への陳情、マスコミへの訴えを行ってきたのですが、出産された方やそのご家族の方ならお分かりのように、出産直後の体力のダメージが著しい中のこれらの動きは、それこそ“死に物狂い”です。
この家族会のメンバーも、離婚調停や別居等で、とうに事実上の離婚状態にあり、
あまり知られていなかったこの民法772条に思わぬ形で巻き込まれてしまった方ばかりです。
皆、死に物狂いで動いています。
裁判所や役所とは、弱者の味方と思いきや、随分と冷たい対応でした。
私達の場合も、強制認知の申し立てから一ヶ月何も音沙汰が無く、しびれを切らして連絡してみれば、「一週間後に出廷を」 と急な要請で、いざ初回!と出廷すると、「どうしても強制認知でやるのか」という調停方法の確認だけ。
挙げ句には 「人事異動があるから次回の調停日を早めたい」 だの、「DNA鑑定をするかもしれないので15万円用意してくるように」 と言っていたのが、直前に 「10万円で大丈夫です」 というワケのわからないディスカウントがあったり・・・。
調停でも、裁判官から首をかしげたくなる要請がある等、本当に混乱しっぱなしでした。
そしてようやく調停で現夫の戸籍を認められたのですが、その戸籍謄本には[(現)夫が調停により認知した]という記載が入ります。
これもまたおかしな話で、そもそも認めないのは国や法であって、夫ではないのです。
これではまるで、夫がしぶしぶ認知したみたいで憤りを感じました。
ちょうど時を同じくして法務省通達が出ることを知り、そんな記載をされるより断然いいと通達にのっとって申請をしたのですが、すでに調停で認められているのを理由にすぐには受理してもらえず、結局、戸籍が貰えたのは申請から二週間も経ってからの事でした。
最後の最後まで混乱させられ、本当に疲れました。
[早産]というわかり易さから、調停等比較的スムーズにいくであろうと言われていた私達でさえこのゴタゴタでしたから、今も戦っているご家族の皆さんのご苦労を思うと、身につまされます。
別件ですが最近、最高裁で現代の世相と子どもの人権に配慮した画期的な判決がありましたが、このように司法はもっと、「そもそも何のための、誰のための法なのか」 を、きちんと考えるべきだと、強く思います。