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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員
「新任のFRB議長には手厳しい」ことが慣例となっているものの、ここ最近の米長短利回り格差の拡大は、ウォーシュ議長への信認がより低下していることを示唆しています。

米長期金利の上昇はインフレの長期化を示唆しており、FRBがインフレをしっかりとコントロールしているという確信を投資家が持てなくなっているのかもしれません。

米10年債利回りはFOMCを境にさらに上昇し、先月末には一時4.74%にまで達しています。
2023年11月2日以来の水準で、FF金利がまだ5.25-5.50%だったころです。
市場がインフレの長期化を警戒していることが分かります。
一方2年債利回りはさらなる上昇には至っておらず、むしろFOMC以降は上昇が一服しています。
このように短期債利回りが低下し、長期債利回りが上昇する事象を「ツイスト・スティープ」と言います。
7月FOMC後の会見でケビン・ウォーシュFRB議長は、これまでの動きからすでに市場が「引き締め」状態になっていることを指摘しました。
積極的な利上げサイクルからは距離を置く見通しで、これにより投資家はインフレへの警戒を高めているとの指摘です。

FedWatchによると、現時点での年内利上げ確率は86.4%と「1回利上げ」期待を維持しています。
このように米当局とマーケットの見通しには乖離があり、このまま両者が平行線をたどるとなると、長期利回り上昇短期利回り低下が続きそうです。
利回り格差の拡大は、当局への不信と言えそうです。
市場の反応こそが金融環境の引き締まりをもたらしているため、中央銀行は様子見に徹するようです。
そんななか、今週末には「米国雇用統計」、来週水曜日には「米国消費者物価指数」がそれぞれ公表されます。
指標発表が様子見の中央銀行を動かすことになるのか、注目されます。
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