「共有名義」という言葉を聞いたことがありますか?
例えば親から相続した実家や、夫婦で一緒に購入したマイホームのように、一つの不動産を複数人で所有している状態のことです。
「家族だから大丈夫」と思っていても、共有名義のままだと、後々大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。
この記事では、共有名義の落とし穴と、もしもの時の解決方法について、司法書士が解説していきます。
共有名義不動産で起こりがちなトラブル
不動産は、持ち主の数だけ考え方も異なります。
兄:「老朽化した実家を建て替えたい!」
弟:「費用負担が難しいし、今のままがいい」
姉:「ローン返済のためにも家を売却したい」
妹:「思い出が詰まった家は手放したくない」
このように、共有名義のままだと、自分の思い通りに不動産を活用できないケースが多いです。
特に、売却・増改築・賃貸など、重要な決定には所有者全員の同意が必要となるため、意見が衝突しやすく、トラブルに発展してしまうのです。
共有状態を解消するには?
では、共有名義で揉めてしまった場合、どのように解決すれば良いのでしょうか?
主な解決方法は3つあります。
1. 話し合いによる解決 (協議)
- 弁護士などの専門家の力を借りながら、全員が納得できる条件で合意を目指す方法です。
- 時間や費用を抑えられますが、関係性が悪化している場合は難しいケースも。
2. 裁判所を通じた解決 (調停・訴訟)
- 話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所の調停委員を通して合意を目指す方法です。
- 調停でも合意に至らない場合は、最終手段として訴訟を提起します。
- 裁判所の判断に従うため、必ず解決できますが、時間や費用がかかる点がデメリットです。
3. 共有持分の売却
- 自分の持分を他の共有者や第三者に売却する方法です。
- 早期解決が望めますが、希望価格で売却できない可能性もあります。
どの方法が最適かは、状況によって異なります。
訴訟になればかかる費用は?
共有物分割請求訴訟にかかる費用はおおよそ70~200万円と言われています
内訳は以下の通りです
弁護士への費用:40~80万円
訴訟費用:約5万円
不動産鑑定士への費用:20~30万円
弁護士費用は、「着手金」と「報酬金」に分かれます。着手金は最初にかかる費用で、報酬金は裁判が終わった後に成果に応じて支払います。どちらも20~40万円程度が一般的です。
専門家への相談が解決への近道!
共有名義の問題は、専門知識がないと適切な解決が難しいケースも少なくありません。
お一人で抱え込まず、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。